

厚木の住宅街に建つ個人の音楽堂でのコンサートに出かけました。設計は小川真樹さん。近在のソプラノ歌手大島富士子さんと建築の出会いからこのコンサートシリーズが始まったのだそうですが、今年4月に彼女が亡くなってこの第6回が最期。彼女のウィーン国立音大での同胞が演奏するゆかりのブラームスのヴァイオリンソナタ完全全曲。気持ちのこもった音楽にホールの音の良さを忘れてしまうほどでした。1番「雨の歌」と3番のAdagioが好き。アンコールの声楽曲リヒアルト・シュトラウスのMorgen! と「夏の思い出」に胸が熱くなりました。声の響きが特に素晴らしい建築だと感じました。人が建築と作り出すかけがえのない時間を共有させていただいて、私にもいい思い出ができました。ありがとう。
facebookにも数枚写真をアップしています。

西宮へ仕事の旅つづき。1995年の大震災の被害は灘も甚大でした。20年が経ってなんとか立ち直りつつあるというところなのでしょう。白鹿酒造に展示されている写真が惨状を如実に伝えています。小さいころ神戸は御影石でできているから地震は来ないと聞かされていました。美しき佳き我が国には地震があるということを忘れてはいけません。原子力発電所の立地不適合は明白です。よりによって川内と伊方は大活断層際です。

日曜日にlineで薦められて思い立ち「シン・ゴジラ」鑑賞に出かけてみたら直近の2回は満席で2日後のレイトショーを予約、初めての体験をしてきました。シニア割引も初体験。ほぼ全員がカップルでポップコーンや飲み物を乗せた大きな三角トレイをあいだに置いてデート。時代は変わる、ですね。映画は荒唐無稽に近い荒っぽい筋立てだけれど眠くなることなく一気に楽しみました。日本がいまだに合州国傘下にあり有事、とくに原子力がらみの有事には統治下に置かれる定めにあるという事実を映画に描いたことは評価していいと思うが、電通+フジテレビという体制側の中核部隊の制作したこの映画の主眼はこの不都合な真実や有事には国民は棄てられるということを甘受させるための大衆教育にあるのかもしれない。しかし原子力禍に「キリン」の圖は闇の中に隠蔽されているフクシマの悲劇を思い出させてくれるし、閣僚はこっけいなまでに役立たずに描かれている。けれども自衛隊はそれなりに大活躍。ゴジラの体内で生成された新元素の半減期が20日という都合の良い設定によって首都圏のフクシマ化という想像力に麻酔をかけようとしている。白か黒かではなく白黒まだらの映画なのだ。ゴジラそのものは良くできていて特に第一形態が地上を這っているさまは猫っぽくて好き。ということで写真は猫。しっぽがあるよ。


仕事で西宮今津郷へ。地図をよく見てびっくり。58年前まで住んでいた家から歩10分という距離。小学校1年の時に転居しているので生活圏はそう広くはなく記憶の中には今津という地名はかすかにあるものの灘五郷は抜け落ちていました。灘を東西に走る「酒蔵の道」を横切って幼稚園に通っていたことになります。家は甲子園球場から浜の方に300mほどのところで当時はすぐ先に競輪場がありました。宿泊が近くだったので朝の散歩で昔の痕跡を探しに行きましたが当時の街の面影はまったくありませんでした。甲子園球場も外観が一新されています。阪神パークも阪神路面電車も競輪場もありません。通っていた南甲子園小学校は一学期までは鳴尾小での仮校舎で確か二学期に竣工したばかりの新校舎に移りました。その南甲子園小学校は58年前竣工の校舎を解体中でその北側に新校舎が建っていてほとんど記憶とつながるものがありません。不思議な体験でした。58年は永いということなのでしょうが、百年が短いようなゆっくり変わっていく街は居心地がいいだろうなあ。

この暑い時節は花よりも葉もの。この緑のおかげで気持ちが涼しくなります。チョウジソウ丁字草リンドウ目キョウチクトウ科Amsonia elliptica。ハナミドリの長期夏休みの隙間に運よくゲット。