アルメニアから

アルメニアから
160913a.jpg
160913b.jpg
アルメニアの音楽がECM経由で届いた。彼の国の5〜20世紀の宗教音楽と新しいピアノの融合した清々しい音が宗教色を超えて耳に心地よい。モノクロの朧げな写真、陰りのあるメロディが、民族の苦難の歴史と豊かな文化に重なるような気がする。

八ッ場ダム

160912a.jpg
160912b.jpg
吾妻線の旅。2年前に訪れた時は新線に切り替わって旧川原湯温泉駅が廃駅になる直前で、いずれは湖底に沈む吾妻渓谷を脳裏に焼き付けようと散策を愛おしんだ。2014年9月2〜6日の[doglog]にアップしています。下り列車は月島駅を過ぎると急に速度を上げる。新線は深いトンネルを抜ける代わりにほとんど直線なのだ。長いトンネルを一気に抜けると新しい川原湯温泉駅。旧駅からは1km以上離れまわりは新しくできたものばかりだから降りる気もしない。そしてまたトンネルを抜けると「やまどり」の終点の長野原草津口駅。こちらも駅舎もまわりも新しく草津に行くバスの乗換駅に徹しているようす。40分の暇にできるだけ歩いてみたけれども吾妻渓谷はカミソリ護岸に仕上げられてしまっていて秋を楽しむ風情もない。いつのことになるのかは情報がないのだが湖が満水になると護岸の上まで水面が来るということなのだ。遠景は美しいし近くもうまく切り取ればいいところなのだけれどなあ。群れ飛ぶ燕が偶然写っていたのだけはラッキー。これからどんどん人口が減っていくというのにこのような新しい水瓶が本当に要るのでしょうか。ちゃんと真面目に将来の日本を考えている人がいるのかなあ。

エッグ

160911.jpg
西宮へ仕事の旅 締め。使い始めてやっと一年のiPhone6は便利だなあ。facebookにアップした夙川の写真の近くに教え子の実家があることが直ぐわかりました。芦屋にOGが出張で来ていることも伝わってきましたが残念ながらニアミスに。現場は阪神芦屋駅前だそうですから私はその直ぐ横を通って梅田へ。旅の締めに決めていたガード下「新梅田食道街」には5時前に着いてしまったので「たこ梅」のおでんで一杯やってから立ち飲み屋「北京」へ。カウンターに置いたキャッシュがデリバリーごとに減っていく飲み過ぎにくい粋な店。かなり狭い空間はほぼ常連で埋め尽くされ、酒を介した人のつながりで成り立っている空間。それでいて余所者にも身の置き所はあるところが浪速らしいと余所者は感じる。急速に変わりつつある梅田再開発の大波もまだ暫くここまでは届かないようだ。開いたばかりの時に撮った不思議なセルフィーの下の方に名物の「エッグ」が写っています。激熱の陶器の小鍋に生卵2個と塩を入れただけのものなのだが、混ぜながら刻々変化する様々の容態を楽しめる絶妙のアテなのです。

やまどり

160910.jpg
やまどりは群馬の県鳥でそれに因んで「やまどり」と名づけれれたのがJRの485系特別車輌。大宮・長野原草津口間を走る「リゾートやまどり」は快速なので指定席料金\520の追加だけで乗れる。18きっぷを使うと特急往復\9,760のところ\2,890になる勘定になるのでたいへんお得、である。しかも1列が2人掛け+1人掛けのゆったり配置は特別なグリーン車だけの仕様で「リゾートやまなし」の固定ボックス席とは格段の差がある。この日は予約完売。始発の大宮駅に着くとあろうことか熊谷で人身事故。永い待機に備えてベンチを探しているとカップルの男性の方が席を譲ってくれて、ありがとう。カップルはふたりともテディベアをかかえていてやはり18きっぷで「やまどり」。同じようなことを考える鉄道ファンは少なくないようなのは、うれしいのかさみしいのか複雑(笑)。籠原駅の高崎寄りにある車両基地から回送されてくる車輛が大宮に着くのは難儀で結局2時間以上の遅延。特急券なら2時間遅延で払い戻しだがただの指定券にはその規定がありません。JRも現金なもので後発の特急が1時間遅れくらいで先に行ってしまいます。テディベアのカップルがホームに並んで先に行く列車の車窓にクマの手を振っています。不可思議な情景。こちらは目的地は一応あるものの「やまどり」が主題なので待つ以外の選択肢がないことはJRも承知しているようで情報はろくに伝わってきません。テディベアの彼が足繁く階上に通って情報を伝えてくれるのが救いでした。結局4時間以上あったはずの吾妻線での時間は半分に減ったけれども「やまどり」運休は免れ渋川で無事途中下車してハラミュージアムARCへ。すっかり仲良くなったテディベア2匹が渋川駅ホームの窓の向こうで手を振って送ってくれました。いろんな人がいるんだなあ。同じようなことを考えていても他のことについてはひとさまざま。朝7時45分に同じ線の上で誰かが命を絶っている。2時間半待った人々は誰一人文句も言わず時間を楽しんでいる。寒くなるのとは違う感じの味わい深い「やまどり」の旅でした。鳥のやまどりもかわいい。

Restlessly Yours

160909.jpg
photo courtesy of Facebook

ボブ・ディランの2014年と2016年の録音を担当したアル・シュミットが6月17日のインタビューで2016年の録音は30曲だと語っている。録音したのは新曲ではないという別の情報と今夏のアメリカツアーで初登場したI Could Have Told You、How Deep Is the Oceah、That Old Feelingの3曲が何れもシナトラの持ち歌であることから判断すると、断定はできないものの、30曲もの旧き佳きアメリカの歌が新たに録音されたものと想像される。2014年に録音された23曲のうち22曲はShadows In the Night、Fallen Angelsの2セットのアルバムとして発表されていてiPhoneにこれら22曲をプレイリストAl Schmitt Sessionにまとめて愛聴している。65歳にもなった私に合わせてディランが歌ってくれているような幸せな心持なのだが、聴き馴染むに連れ言い知れぬわだかまりがうずき始めているのに気づいた。自身の音楽のルーツを辿るのはいいけれど、もっとほかのルーツもあるじゃないか。例えばウディ・ガスリー、黒人のブルーズ、ハリー・スミスのアンソロジーに収められている曲あるいはそもそものBasement Tapes。それなのにどうしてこんなにもシナトラなの?。細やかに気持ちを込めて歌われる歯の浮くような歌詞ばっかりじゃイヤだ。2000年以降'Love And Theft'、Modern Times、Together Through Life、Tempestの4作で巷の音楽を縦横無尽に咀嚼して自らの歌を再構成する方法を堂々と展開してきたわけだが、ほんとうにTempestがシェイクスピアのThe Tempestのように自作ラストになるのかなあ、と心配していたら9月8日のRolling Stone情報によればMavis Stapleに一緒に歌うための曲を贈ったということだから杞憂かも。一方、’Portal’と題された金属細工の新作がメリーランドのカジノに設置されるそうだ。何を考えているのだろう。自由な人!。とりあえず凡人はブートレッグ・シリーズBlood On the Tracksを首を長くして待とう。写真はfacebookから拝借した自画像を手にする60年代のディラン。この絵が表紙に使われたSing Out誌をおよそ50年前に父の友人から贈られていて[bigdog house]の膨大な「ライブラリー」に埋もれている可能性もなくはないのだが捜索活動にはまだとりかかれていない(笑)。

甲州種

160908.jpg
シャトーメルシャン勝沼ワイナリーではワインも楽しみました。中庭の葡萄棚にもしっかりと葡萄が実りいい雰囲気です。ワインにまだあまり慣れていない学生たちが気に入ってくれてぐいぐい行ったのはうれしかったな。やっぱり一番人気は日本固有種の甲州。おくゆかしい品種で香りが派手ではないかわりに仕立て方で風味が個性を発揮します。3種を飲み比べて「黄いろ香」が特に受けていました。写真は垣根式の試験ブドウ園の甲州。透けて種が見えますからかなり糖度は上がっていますが、日本生まれの甲州は湿気に弱く棚式の方が生育がいいのだそうです。余談ですが「ケルナー」というドイツ系の葡萄の白が勝沼限定で売られていたのでゲット、暑い日に飲んでみましたがドイツ系特有の甘さが低めでいけました。

研修旅

160906a.jpg
160906b.jpg
インターンシップの学生たちを連れて今年竣工した富士ミネラルウォーター[aqua gallery]と2010年竣工のシャトーメルシャン勝沼ワイナリーへ。作品を体験してもらうことが設計事務所を理解するのに役立つだろうと考えました。[aqua gallery]の展示計画はまだ着手前で一般公開はもう少し先。どちらも山梨県なのですが2地点を結ぶ鉄道の便が悪く、富士吉田に向かうバスは新宿発8時15分。この路線は富士急ハイランドに行く学生たちや富士山に向かう外国人でいつも混みあっているのですがこの日は初老?のグループツアの一群が目立ちました。定年後年金生活になって時間をもてあましているのだと思われる元気な人たちの一行。流れに合わない自分たちの挙動が他の客の迷惑になってしまっていることに気づくのに時間がかかり過ぎ。そう言えば先日の西宮でランチに入った居酒屋で隣り合わせてしまったのも同類項。昼から酒を飲み与太話で超うるさい6人組がお店からラストオーダーを宣告されて焼酎のボトルを追加している醜態に衝撃を受けました。歳は私とそう違わないはずです。こういう現実があるんだなあ。もう同年輩どうしでは飲まない(笑)。仕事がある幸せをしみじみと感じました。旅から学ぶこともいろいろ。


Profile

image
kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

New Entries

Comments

Categories

Archives(4185)

Link

Search

Library

Counter

27959219