築地の鮨屋の大将にはお薦めの食事処も尋ねた。当たり前かもしれない、魚はあんまりねということで、「鳥藤」の名が先ず上がった。それからシュウマイ、吉牛並びのカレー屋、団子。いきいきした魚介類の中をひとしきり歩き回った後、場内の鳥藤をめざした。やはり長蛇の列で、大将の「並んでは食べない」を思い出して場外の分店へ。2人待ち10分。「親子カレー」に惹かれたが「親子丼」を選択。おいしかった。鳥スープも抜群。「親子丼しお二号」も気になる。場外はそのまま残るそうだから、また来るのかな(笑)。
もうずっと以前から築地市場に行ってみたいと繰り返し思いながら実現しなかった。移転が決まって強く決心をしながらその移転の延期に救われて安心しているうちに、いよいよ切迫詰まって行くことを決めた日にちが9月15日。なんとマグロ競り見学の最終日だった。前日の毎日新聞に14日の申込行列が記事になっていて、5時開始の受付が2時で120人の定員に達したという。豊洲では階上からガラス越しの見学になるという。14日は近くに宿を取っていたので、並べなくはないが、連れを巻き込んでこういう時間の使い方をしていいものかどうか迷った。中條正義展に顔を出した後とりあえずネットの情報から選んだ手頃そうな鮨屋を目指した。案の定の満席で紹介された格上の系列店におそるおそる入った。丁寧な技が施された握りを堪能して気持ちよく生酛がまわって大将ともことばをかわした。競りの見学のことも聞いてみたが、何も知らない代わりに、すっと入っちゃえばいいよと教えてくれた。10時くらいだったか帰りに行列を確かめに寄ったらもう十数人。並ばない決心ができた。翌朝は精一杯早起きをしたけれども競りが終わる頃に場内へ。想像以上の活気に圧倒された。立って運転する電気運搬車が狭い通路を音も無く猛スピードで走る。パイクも自転車も人も走る。湾曲した平面を待つ独特の上屋が力強い。床仕上げのピンコロが丸くすり減っている。外は雨だ。小さな店が連なる棟違いの長屋群には無数の行列ができている。フレードランナーの世界。永い時が積み重ねられた空間の力が生き生きした魚介類とあいまって高密度の熱気に満ちている。感動した。この時空を棄ててしまうのは無念。カジノなどもってのほかだ。
amazonが私の嗜好をかなり正確に把握していることは予てから気づいていたが、amazon.usaがpretty birdというかわいい鳥が大写しされたCDはどうかとメールして来たのには驚いた。鳥関係のモノをネットで買ったことがないからだ。中身はフォークよりのカントリーのようだが知らないミュージシャンだなあと忘れかけていたら、五十嵐さんのfb音楽情報に同じCDが登場していてBobbie GentryのあのOde To Billie Joeのカバーも入っていることがわかって、結局amazon.co.jpに頼んでしまった。Blonde On Blondeなどで好演を聴かせてくれたCharlie McCoyが3曲で参加しているのもうれしい。Jesse WinchesterのLittle Glass of Wineが出色。さすがamazon、鳥はたまたまで中身で判断しているのだ。chemexもdog page-a-dayもpretty birdもamazonに事務所に届けてもらった。若いスタッフの手を煩わせてしまって申し訳ないのだが、我が家に送ると母に常ならぬ負担がかかる。彼女は「またなにかきましたよー」と笑いながら荷解きから風袋廃棄までやってくれる。私に任せるとゴミを貯めるからなのだが、うれしい。
フジロックの後に続いたDylanの極東ツアーは8月28日に終わった。セットリストはほぼ不動だったが結局シナトラナンバーの復活はなかった。苗場でのノリがきっかけになったのだろうか。いずれにせよ私としてはうれしい。苗場のあとの14回のライブで新たに加わったのはわずか4曲だがそのうちの3曲はサプライズと言える。不思議な人だ。シドニーの小さなハコでのVisions Of Johannaはなんとピアノ弾き語り風アレンジ、最終日のクライストチャーチではコントラバス弓弾きのLike a Rolling Stoneと13年ぶりのIt Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cryヘビーブルース仕様が登場した。10月からの合州国ツアーとフィラデルフィアのオペラハウスこけら落とし公演で今年は計77回ということになる77歳。夢の中でバワのルヌガンガのような美しい芝生の庭園に立ち寄ったら「ディランさんが犬を連れてリハビリされていますので、そっとしておいてあげてください」と(日本語で)言われた。会えなかった。写真はブラジル先住民の椅子展から。
15日にニューヨーク公演7回が発表されて2018年は計84回になった。
週に1度うっとりとこの曲を聴いているうちにCDを手元に置きたくなってしまった。ダンボール箱のなかにある2000枚のLP、3000枚超のCDのなかにどういうわけかプレスリーはDylan作のTomorrow Is a Long Time 1曲しかないのだ。TVドラマに合わせて出たばかりのベスト盤には彼の唯一の社会派曲In the Ghettoが入っていないので同じような選曲でそれが入っている十数年前に出た#1ベストの方をゲット。exelのライブラリーに登録して驚いた。同じCDがなんと十数年前に記録されていた。とんだ犬智慧。箱から発掘したら大切な人にあげる(笑)。中身も意匠も同一だが昔のはRCA製で今度のはSony製。時代は変わる。それにしてもいい曲。歳とったなあ。ドラマは昨晩で終了。写真はブラジル先住民の椅子展から。