鲍勃迪伦衫

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今年のBob Dylanフジロック出演を記念して日本で企画されたCD「ライヴ:1962-1966〜追憶のレア・パフォーマンス」の選曲は賢い。欧州の著作権法対策で形式的に発売され市場に出回ることがなかった膨大な音源の中から最重要の30曲を厳選し彼のデビューからロック転向へと至る激動の5年間を2枚のCDに凝縮させている。このうち14曲は私のライブラリーにもあるのだがこんなに巧く編集したことはないのでほとんどの曲が眠っていた。こうして曲目の重なりなく代表曲がほぼ時系列に並んでいるのを聴くと彼の凄さがあらためてひしひしと伝わってくる。あまりに出来がいいコンピレーションなので結局全世界で発売されることになって、おそらく日本サイドは駆け引きをしたのだろう、日本盤のみ“Judas!”で有名なLike a Rolling Stoneが最後に収録されている。おかげで収録時間なんと82分49秒。ジャケットデザインも日本製だから珍しくよくできていて、日本のファンとして鼻高々だ。amazonでは洋盤は\1,852だったから、1曲多いだけで\3,024もする日本盤はどれくらい売れたのだろうか。その日本盤販促アイテムの「みうらじゅんデザインTシャツ」を抽籤で77名、はさすがにハードルが高そうなので、できるだけ手元の遊休資産を活用して応募したら、なんと幸運なことに当たった。うれしい。家宝にする。中国語ではBob Dylanは「鲍勃迪伦」、「衫」はシャツ。17年前の今日2001年9月11日にDylanの”Love And Theft”発売。この日にSeptember 11 attacksが起こって世界が一段と険しくなった。
 

雪晃木雪苺

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日曜日はいつもの出勤時刻より少し遅めに家を出た。パシモンホールの樹々には珍しくオナガがいていつもなら遅れてはいけないと思って長居はしないのだがゆっくりと観察。鳥は気長に時間をかけないと楽しめない。新宿駅からの動く歩道は日曜日は休んでいたはずだが何故か動いていたかわりに公園でもぶらぶらしてゆっくり事務所に着いて、しまった、それでも一番乗り。デスクの上で迎えてくれたのは白い実がかわいいシンフォリカルポス雪晃木snowberry。一か月ぶりに営業を再開したハナミドリでやっと手に入れた。ネットからBob Dylanの1992年Bromberg Sessionを引っ張り出して聴きながら快調に手を動かしているうちにだんだんスタッフも増えて来た。音楽の流れる仕事場もたまにはいい。
 

卒業謝恩会

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2015年の卒業謝恩会の籤でいただいたchemexを割ってしまった。ガラスと木と皮と紙で美味しいコーヒーを淹れる優れもの。39年前に初めて設計した住宅の厨房カウンタートップは200角のタイル貼りで、木片を留める革紐をその上で締めたら切れてしまい勢いで本体が倒れた。幸せな会に学生たちが選んでくれた思い出の品だったのに残念。潮時?。そろそろこちらが卒業なのかなとか思う間もなくamazonから発注翌朝に代替品が到着。これで今までどおり、というより前のよりガラスが厚くしっかりしている。あえて割高の「正規輸入品」にしたからだろう。そんなものさ(苦笑)。こうして安くて便利だからとamazonに頼っているうちにamazon主導の市場になってしまうのは困るのだが、欲しいものを探しに行く時間をつくるのはなかなか難しいし、困った。写真はブラジル先住民の椅子展から。

鴎外記念館

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grutto pass #4。「舞姫」を書いた帝大出の軍医は嫌いだ。陶器二三雄の設計した建築もわざわざ見に行くほどの興味はなかったのだが、それこそパス効果、夜の会食までの時間調整を兼ねて文京区立森鴎外記念館へ。内部の打ち放し主体のミニマリズム空間は好感が持てる。道路側ファサードで異彩を放っている金属ルーバーは展示空間からは認識できず、図書室や事務空間の目隠しでしかないようなのは残念。山手線が環状運転を始めたころの地図や写真は見ていて飽きなかった。加賀乙彦、安野光雅、平野啓一郎が鴎外を語るビデオは食わず嫌いの私に多くの刺激を与えてくれた。「空車」(むなぐるま)か安野が熱く薦める「即興詩人」でも読んでみようかと思ってしまうのだから私も素直だ。勢いで鴎外が考案したという「東京方眼図」をお土産にしてしまった。受け取ったレシートには「指定管理者樺O青社」とあった。なるほどね、と思うのは偏見だろうか。

公園鳥犬猫

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スマホのhealthアプリによると、日平均歩行距離が2ヶ月前までの8.0から7.0kmに落ちている。熱いからと副都心線に直行して西新宿から歩いているのが原因だろう。そう言えば少しだがからだが重い(笑)。というわけで昨日の朝から渋谷で降りて5階分を登りJR新宿から歩くようにした。実はこれが平均所要時間が一番短い経路。新宿中央公園を抜けるから鳥も犬もたまには猫もいて楽しい。夢中で歩いて撮り忘れたので、写真はブラジル先住民の椅子展から。

愉楽犇弑逆

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林真理子の新聞小説「愉楽にて」が終わった。やたらと多い登場人物のほとんどは酷く豊かで社会的な地位も高く「愉楽」だけが感心ごとだ。その日常を描く作者の筆にも熱さが感じられない。そんな煩わしいものを読み欠かすことがなかったのは、50過ぎの女性についての記述が興味深かったからだろう。どんなひとにも同じように「死」が訪れるというオチが取って付けられて、終わりは淀みがなかった。終わった次の日には紙面の同じ場所に違った小説が載っている。これはすごい。池澤夏樹「ワカタケル」。雄略天皇の物語と聞くと退いてしまうけれども、今のところ熱い文体に引っ張られている。弑逆、犇、喋々喃々、嫋嫋、3日分でこれだけの日本語に初対面なのだから、本はたいして読んでいないということだ。失礼しました(笑)。写真はブラジル先住民の椅子展から。

庭園美術館

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grutto pass #3。庭園美術館に着いた時は台風21号由来の気まぐれな雨が降っていた。緑いっぱいの庭園にもアマゾンの奥地で創り出された作品群にもぴったりの雨。アールデコの洋館も伊東豊雄の会場構成もよかった。特に新館のホワイトキューブのジャングルに置かれた大きなクッションにからだを沈み込ませて動物たちを眺めるのが素敵だった。何と言っても主役の動物たちが素晴らしく、たくさん写真を撮ったのでそのうちに次々とアップします。いい時間だったなあ。

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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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