
MIYAKE ISSEY展@国立新美術館。年に2度の髪切りはもう何十年も麻布十番。昼は「たき下」で高校同期の東京マラソン完走話を聴きながら焼き魚定食。その後に六本木界隈で展覧会3題が加わった高効率街歩きの構成要素の一つがこれ。歴代の服が並んでいるだけではないだろうなとは思っていたけれど、予測を遥かに超える見応えでした。展示の主眼はデザインのコンテクストすなわち背景やプロセス。つまりかなり建築的なのですね。あの独特のスタイルが天才の閃きというばかりではなく製造プロセスと深く絡んだ挑戦の産物だったのはうれしい。ちょっと手が届きにくいけどまた少しくらいは着てみたくなりました。プレゼンテーションのレベルの高さは建築展の比ではありません。紙の布をつくるプロセスをミツマタ(かな)の刈り取りから記録した映像は美しくかつ説得力大。大昔「紙舗直」さんの小国のアトリエにお邪魔して紙漉きの手伝いをした時の達成感を思い出しました。美術館から駅に抜ける裏通りで撮った写真は展示とは無関係です。

宮川香山@サントリー美術館。去年大学生の娘と由比の静岡市東海道広重美術館に行った時にたまたま宮川香山展をやっていたのが初体験。かなり強い印象を受けていたので迷わず麻布十番帰りに寄ってみました。リアルな蟹、鼠、鳥などが花瓶に取りついた「高浮彫」を中心とした前半に先ずは圧倒されます。宮川の凄さは作品の質を世界的なものにするために手法を考え技術を鍛錬するところ。表面的な装飾に頼るのではなく、技術に裏付けされた表現により、他を寄せ付けない作品を生み出しています。高浮彫で世界を席巻した次をさらに考え続ける執拗さにも脱帽。後半は釉薬などの技術的挑戦で新たな美を生み出しています。釉薬に明るくない私のような素人が感動できる斬新な作品が何点もあるのは流石です。写真の作品含め4点のみ撮影可能だったのがうれしい。残りは図録で。

天ぷらの具材が冷蔵庫に溜まってきてしまったので初めての天ぷらに挑戦。ネット上で、水の代わりに酒を使って玉子と冷水を使わないレシピを発見。アルコールが小麦のグルテン化を防ぐのだそう。火加減はIHがばっちりやってくれるので初心者にしてはからりとおいしく出来上がりました。しかし翌朝つくったかき揚げの方はまったくまとまらずにバラバラ。出汁に浮かべて「抜き」にしたものを掬ってご飯にのせた「ばら天丼」が海老、蓮根などの食感が独立していて意外にいけました。

3月25日。居住空間デザインコース25周年OG会@都庁展望台。会場で配布された「25周年の歩み」小冊子がおもしろい。宮脇賞と称する優秀作品選考会の結果及びゲスト審査員、新入生歓迎レクチュアのゲスト、京都研修旅行レクチュアのゲスト、歴代教官・非常勤講師、卒業生が一覧になっている。私としても12年かかわらせていただいて、もう断片化していた記憶がひとつにつながると、コースの持ち味が再確認できる。立派な厨房のある製図室で培われるコミュニケーションの能動性は貴重。で4月3日には18期生と目黒川で花見。写真は3月31日の熊野神社の桜。

3月25日。北山恒さんの最終講義@YCCヨコハマ創造都市センター。「近代から解放されて」と題された講義の結詞は「建築とは身体的に社会を実感させるメディアである」。北山さんの教え子たちが編集した退官記念のK-bookも興味深い。この本ができあがっていくプロセスで私は北山さんの教育の成果を実感した。建築写真としては学会賞受賞作をはじめとした北山さんの作品のかわりにWORKSHOPのfrom DANCEだけが使われている。K-bookのインタビューで私と谷内田さんがfrom DANCEを語ってはいるのだけれどfrom DANCEが一番重要だと発見したのは編集者たちだ。教育とは能動性を培わせること。で4月1日の旧WORKSHOP創立記念日には編集者のひとりも交えてApril fool WORKSHOP。写真は3月30日の目黒川の桜。