
「ぎんきょう」の前に泉幸甫さんのご自宅「而邸」見学会。泉さんの学生向け説明に聴き入りました。いい写真がたくさん撮れましたが雰囲気を一枚で表しているのはこれ。奥は深い。

泉幸甫さんのご案内で泉さん設計のフレンチ「ぎんきょう」へ。美しい空間でいただくフレンチにワインも進み話もはずみました。学生さんたちもいい勉強になったことでしょう。

マンハッタンのPaley Parkの滝に比べると美しさでかなわないけれど、新宿副都心のこの滝も悪くはない。アングルを選んで手前の雑物をはずしてしまえば、柔らかい日差しが緑で映える初夏のランチタイム。



富岡・高崎の旅の目玉は吉岡裕子さんのプレイエル・コンサート。三鷹の[doghouse]の隣にずっと旧くから住んでいる斎藤輝彦さんはコントラバスを弓で弾く演奏家で食の趣味がぴったりあったりしたことなどから友達付き合いをさせていただいています。彼のコントラバス・リサイタルに通っているうちに作曲家ボッテジーニが好きになりさらに伴奏の吉岡さんのピアノにも気持ちが入るようになって、幼少期以降はクラシックと言えばサティくらいだった私の音楽世界が少しずつ拡がりました。吉岡さんはエストニアの音楽に精通していて彼の国の作曲家シサスクやスメラをよく演奏します。スメラに惹かれるようになったのは彼女のピアノのおかげです。やはりエストニアの作曲家ペルトのあまり知られていない連弾ワルツ
Ukuaru Vaissもやはり彼女のリサイタルから。そんな吉岡さんの今回のリサイタルは高崎市下小鳥町の信用金庫リノベーションのアトリエ・ミストラル。1905年製のプレイエル・ピアノが金庫のステンレス扉と共存している魅力的なコミュニティ・サロンです。自動車で来なかったのは私だけでしょうが、JR高崎駅の次の駅から歩25分という遠さを補って余りある素晴らしい時間になりました。近県にお住いの方はぜひお見知りおきを。カードを咥えている犬もかわいい。



群馬県の鳥はヤマドリということで「リゾートやまどり」と名付けられているのが
吾妻線への旅で出会って以来気になっていたジョイフルトレイン。もともと交直両用特急用の485系を改造した車輌。1列+2列の座席配列で展望室、キッズルーム、ミーティングルームもある一見特急グリーン列車。同じ編成で「特急リゾート草津」として運行されていたこともある。これに指定席料金\520で乗れるのはうれしい。始発の大宮駅に撮鉄が群がる中これに乗り込むのはちょっとした気分。でも中はガラガラでじっくりと車輌を探訪。高崎で降りてしまうのはもったいないから18切符の季節に吾妻線の終点まで乗ってみたいな。余談だがここのところ遅延常習の高崎線はこの日も人身事故。高崎線に責はなく前橋から沼津まで繋がった超長距離運行と自殺頻発の社会が悪い。悲しい。


JR高崎駅に並列する0番線が下仁田まで走る上信電鉄。1897年開業の古参私鉄でかつては信州まで延伸の免許を取得していたことから「上信」となっているそう。日本一揺れる路線として有名だそうだが今回乗らなかった上州富岡-下仁田間のことかもしれません。赤い車両は比較的新しいオリジナル車輌6000系。内部の写真は現存最古参の200形駆動車のクハ300。高崎-上州富岡往復に富岡製糸場入場券が付いた\440割引切符を見落としてしまったのは大失敗。ただし入場券の学生割引の方が大きいので学生は割引切符に手を出さないように。初めて乗る車輌が長閑に進み行く関東平野はまさに麦秋。
麦秋の中なるが悲し聖廃墟
水原秋桜子が原子爆弾禍の浦上天主堂を読んだ句。オバマの名演技には不覚にも感動してしまいそうだったが、過ちだと認めない限りは核兵器廃絶への途は始まらないのでは。台詞として、英語であれほど心に滲みるのに、後に続いた日本人役者の演技のなんと薄っぺらなこと。情けない。

本命のTNA設計上州富岡駅。TNAパートナーの鍋島さんは日大生産工学部居住空間コースのOG。無人駅も多いローカル線ですから駅舎とは言っても大きめの四阿といったスケール感。歴史ある街からの参照を「お題としての煉瓦」のみに限定して建築としての自立性に重点を置いています。特に現在の「観光地富岡」を体験してみるとその姿勢は賢明だったように感じられますが、実は地域性はかなり希薄であると思いました。軽くさわやかではあります。屯できる場がそこここにあって居心地のよい場所として街に馴染んでいます。お気に入り写真はどこにでもいそうなおじさんたちが気持ちよく海の向こうの音楽を奏でるの圖。後ろの車両は根性の入った鉄ちゃんなら上信電鉄と分かるかもしれません。