保田には漁港があって美味しい魚があがる。漁れたての鯵や鰯を舟の上で叩いて味噌で和えた「なめろう」を鮑の殻に詰めて焼いて山仕事の時に食べるのが「山家(さんが)」だそう。山家は汁にすることもある。道の駅では山家は鯵、つみれは鰯だった。写真は鯵フライとつみれ汁。美味しくかつ安価だった。
平実檸檬。保田の別の道の駅でシークワーサーを見つけた。沖縄の柑橘類だ。江の浦測候所にこの実がなっていたなあ。思ったほど酸っぱくはない。
「道の駅保田小学校」市場には安房の花、野菜がいっぱい。水仙、小松菜、ロメインレタス、橙2個でなんと\450。橙は正月によく合う。そう言えば「すずき」の赤ナマコには必ず橙で、今は亡き大将手製の橙絞りまで見せてくれたなあ。関西では一列に並ぶ干柿10個の上に橙が座れば「外はにこにこなかむつまじく」だ。
水仙群生地には飯田市から贈られた「麻積の里 舞台桜」が植えられている。すっかり葉を落とした味わい深い桜の枝に野鳥がさっと飛んで来たのを私だけは見逃さなかった。腹が黄色いから黄鶲に違いないとネットの画像を確認してfbにアップ。「しばらくして「鳥の達人」が尉鶲♂であることを教えてくれて訂正。うれしいコミュニケーション。
「道の駅保田小学校」がある鋸南町の山側には佐久間ダム親水公園がある。湖畔の水仙群生地が美しかった。
ロンドン在住の旧き友の里帰りに合わせて北山さんが「道の駅保田小学校」を案内してくれた。しっくりと町に溶け込んだ建築がみんなに受け入れられて賑わっている様を楽しんできた。プログラム優先のいい建築だ。上総の向こうの安房の土地の恵みが体育館から生まれ変わった市場に並んでいた。新しい建築を感じる60歳を超えた私たちには40年来の旧交の遠い記憶がふと蘇って感無量。アクアラインをくぐって東京に戻って居心地いい蕎麦屋で宴。酔いが進むに連れ、想い出がふつふつと輪郭を露わに。瀬戸の海に浮かべた鯛舟の記憶のディテールは3人3様。時は決して戻らないことだけは確か。この旧い縁に新しい縁がそっと絡み始めている幸せ。いい一日だったなあ。
なんだ雀かと仰るなかれ。街の雀熟柿を啄むの圖。鵯などと同じようにからだを捻っていた。