
洗足池の現場から事務所に戻る時は池上線に乗る。五反田と蒲田を結ぶのどかな路線で同じ東急電鉄でも東横線とはかなり趣が違う。駅舎も古いものが多く柱に木が使われている駅もある。通勤電車というより暮らしの一部という感じでどこか楽しい雰囲気だ。その中の戸越銀座駅は最近新しくなったばかりで屋根を構成する木の架構の柔らかさに目をひかれる。ネットで調べてみたら東大の稲山研究室が基本設計で地元商店街と東急電鉄とタッグを組んで創り上げた駅空間のようだ。こういう地に足が着いた公共建築が増えていくのはいいことだ。

今年は花見がしばしば。元気いっぱいのせいだろうか。2日に千鳥ヶ淵、青山墓地。4日目黒川。6日は朝打合せ前に呑川緑道と洗足池桜山。夜に千鳥ヶ淵ライトアップ。7日は新入生歓迎会の後lunetteの先の古木。8日は不忍池から入谷。写真は6日の桜山。住宅街と池に挟まれた小山が桜で覆われている。鵯がたくさんいる。犬もたくさん通る。

4日の帰りに中目黒で途中下車して目黒川の夜桜。一人だったので飲まなかったのはえらいとも言えるけれどあの盛り上がりのなかで素面はありえないとも言える。今年は久しぶりに新しい仲間が増える。大学の教え子だ。昨晩はlunetteで歓迎会。おいしい日本のワインをたくさん飲んだ。いい夜だった。

久しぶりに新卒が入ってきたせいかスタジオが賑やかだ。私にとって初めての窓際席は所内動線の要衝に位置しているおかげで生産性が高いような気がする。下階のサテライトデスクでときどき息抜きをと思っていたがそんな暇が今のところない。今日は朝に佐野ももさんの北鎌倉の住宅を見学。夕方に「家の列島」展レセプション。夜は新人の歓迎会でみんなでlunette。いそがしい。写真は2日の半蔵濠。千鳥ヶ淵の南側は静かだ。
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2016年に竣工した神宮前の集合住宅 [alley#1]は住宅街の小さな行止まり路地を建築につなげることで街を豊かにする試みでした。奥に続く敷地にもうひとつの集合住宅[alley#2]ができあがって[alley]と名付けた界隈が完結します。4月13日13時〜17時にオープンハウスをします。興味ある方はws@workshop-kino.comにメールをください。ご案内pdfをお送りします。


大塚聡さんが「花やしき」近くに設計した「浅草九倶楽部」を体験。「浅草九劇」と[wired hotel]とサロン[zakbaran]からなるエンタテインメント建築。「劇団子供鋸人」のパフォーマンスはこんな機会でもなければ出会うことはなかっただろう。ホテルの客室の一部がドミトリーのようだったり時代の最先端を行っている感じがわかる。居住空間コースのOGに遭遇したのはびっくり。余談かもしれないが事業主のレプロエンターテインメントがかかわるタレントリストは新垣結衣、川島海荷、能年玲奈、清水富美加、吉川ひなの、長谷川京子、など魅力的だ。後に近くの「お多福」に寄れたのはよかった。京都麩屋町で正月に出会ったおでんの対極にある関東風だが雰囲気全体を楽しんだ。写真は「動物集合」から蛙と狐。前者のシルクオーガンディにシルクスクリーンの方法が興味深い。


4月からスタジオに新人が加わって6人組になるのに合わせて私が席を移動することになった。数年間居座り続けてたくさんのモノが堆積していたので片付けが難儀だった。創造性の入り込む余地がほとんどない片付け作業の手を止める誘惑がモノの中に密かに散らばっているので作業には膨大な時間がかかる。間に合わせなくてはという責任感と情けなくなるような遅滞でストレスの密度が高くなっていく。土日に出てもこのままだと終わらないかもしれないと暗澹とし始めた時に賢い助っ人が現れて作業の監視に来てくれることになった。状況の本質をよく理解しているのだ。おかげで寄り道やつまみ読みがぴたっと止まり急速に片付けが進み、てきぱきと手伝ってくれた上に掃除までしてもらってなんとか新しい席に移ることができた。今までと違って目の前が透明な窓で混沌としたスカイラインの中にはパークハイアットも見える。緑もあって空もあって鳥が飛んでいる。みんながしょっちゅう後ろを通るから周りを散らかしておくわけにはいかない。これはいい席かもしれない。写真は「動物集合」から犬と虎。