1617年建立の東照宮。最後に来たのがあまりに若い時だったために猿と猫と金箔だけが華厳の滝と共に摺りこまれてもうそれで充分だと思い続けていた。場所全体の存在感は記憶の中にまったく残っていなかったので空間体験は新鮮だった。何百人の団体行動中に見えるものは限られているし、人の成長と共に空間・建築の捉え方も変化していく。雨上がりの杜の中の時間を愉しんでいると、まわりを飛び交う知らない言葉をうるさく感じなかった。
1893年開業の金谷ホテル。東照宮、二荒山神社等のある山と大谷川を挟んで向かい合う高台というロケーションがいい。新緑が芽吹いている中にソメイヨシノやヤシオツツジの淡いピンクが点在している。一時間ほどの建築ツアにも参加して見どころを聴いた。木造一部大谷石造の本館の1階部分は1936年に地下を掘り下げて増築されたものだそう。横文字の館名板は開業当時のもの。ロビーに展示されている宿泊記録の中にライトとレーモンドがあったのはうれしい。随所に顔を出す自慢話はホテルマンの仕事場への愛情の証だ。結婚式、ピアノコンサートなど地元に愛されていることが分かる。永い時間を経た空間をこうして使い続けて行くことの大切さを感じた。
日光はおそらく最後に行ったのは小学生のころのはずだからなんと50年振り。十数年前に那須の国立公園内にホテルを設計していた時に日光市内の公園事務所を訪れたことはあるがただ仕事だった。金谷ホテルなら泊まってみてもいいなと思ったのがきっかけ。列車は浅草発ではなく新宿発の「日光」を選んだ。JRから東武鉄道に乗り入れるので特急券込みで\4,000と割高なのだがえきねっとのトクだ値だと\2,400。車輌は以前のNEXで使われていた253系でオリジナル彩色。栗橋で東北本線から東武線に乗り入れる時に架線のない「デッドセクション」を通過するのが乗鉄には重要。一瞬だが非常用照明が点灯する。終点の東武日光駅の200m東にあるJRの日光駅は写真のような趣。莫大な設備投資をして他社線を走った挙句に肝心の駅舎をスキップせざるを得ないJR社は無念だろう。
日光で出会ったカワガラスが出たついでに4月中旬の日光ぶらぶらから先ずは鳥。雨上がりに鶯が囀る森の端に姿を現したこの鳥の名前はわからない。
photo by kay
ウミガラスが出たついでに日光で出会ったカワガラス。流れの速い大谷川(ダイヤガワ)に飛び込んでいるところを連れが見つけた。よく観ると親が餌を取って仔にやっている。岩に糞の跡がいっぱいあるからここらが文字どおり島なのだろう。ここに写っているのは仔で親はもう少し色がはっきりしていてイソヒヨドリの雄と似ている。カワガラスPasseriformes cinclidaeスズメ目カワガラス科。brown dipper。
エトピリカと同じ科で同じ水槽?にいるウミガラスは小ぶりのペンギンといった容姿。エトピリカよりもっと俊敏だ。動きが速すぎるので動画に撮ってスクリーンショットして拡大。ウミガラスCharadriiformes alcidae uriaチドリ目・ウミスズメ科。common murre。
ペンギンは飛べないから囲いだけでいいがエトピリカはそうはいかないので水族館ではガラス越しにしか写真が撮れない。からだの割に大きな黄色い嘴がかわいい。動きも早いしボケボケ写真だ。エトピリカCharadriiformes alcidae fraterculaチドリ目ウミスズメ科。tufted puffin。