初雪はさっと通り過ぎました。翌朝のあたりの様子は犬が喜ぶというほどのものではなく、歩き易くなっている轍の頭上に絶妙な間合いで雪解けの滴を落としてくる幾条もの電線を恨めしく思いながら、先ずは散歩の好きな犬たちを歩かせました。木々の枝に僅かに残る雪が朝の陽を受けて輝いていました。

鷺の別称の「雪客」を「うたの動物記」で習いました。鳥に雪は鷺で魚に雪は鱈。日本語はいいなあ。ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット。表音表意とりまぜて、節度なく、というか、しなやかに思いを綴っていきます。2月に入ったところで東京では久しぶりの雪が降り始める中、
吉岡裕子さんのピアノを聴きに行きました。ショパン、メンデルスゾーンとその姉のファニー・メンデルスゾーンなど。会場でいただいたブックレットには彼らのあいだで交わされた書簡も添えられていました。メンデルゾーンのピアノ三重奏曲第一番。第二楽章が気に入りました。

quantum、量子。Dylanの公式サイトで興味深い投稿に出会いました。
Changing of the Guards: A Quantum Song。1978年発表のStreet Legalの一曲を量子論に関連付けて読み直しているのです。「お遊び」なのですが、そこに登場するquarkが実に面白い。受験の物理で習ったかどうかさえ記憶にはなく、つい最近の小林さんと益川さんのノーベル物理学賞受賞を機会に出会った程度だったので、ネットで少し学習を試みました。さっぱり解りません。が、6種あるquarkと呼ばれるものに、動きを表すup、down、位置を表すtop、bottom、素性を表すstrange、charmと3組の対をなす名前がついている「しくみ」に惹かれてしまいました。この要素にからめてなら詩にもなるし、思想にもなるし、哲学にもなりうる。でも物質の最小限の要素であるquarkがどうして?・・・・。もう少し勉強しておくんだったなあ・・・・。驚いたことにこのquarkという単語はJames JoyceがFinnegans Wakeのなかで造った言葉がもとになっているとのこと。知の世界は際限なく広がっていくのだなあ。そう言えばDylanの詩のなかにも最近Joyceが出てきていたなあ、とアタマは時空を駆け巡りながら、SACD版のStreet Legalを味わいました。1978年の初来日の時とほぼ同じつくりこまれたケレン味あふれる演奏も曲によってはきわめて上質であることを確かめました。Changing of the Guards の歌詞。冒頭のSixteen yearsの後に続く掴みどころのないSixteen banners united over the field。その後さらに繰り広げられる不可思議な世界はquantum云々というよりJoyceなのかもしれません。目の前ではフクが昼前の惰眠。ある、ない、あるかないかわからない。モノの本質は奥が深いんだなあ。

ソウル2004年冬¶また民俗村。ただの古民家ではなく生活もそこにあるところがいいと思いました。まわりでは野菜もつくっています。のどかだなあ。

勝沼も暖か。夕方になると急に気温が下がり空は冴えわたりました。飛行機雲が幾筋も交差した後、少しずつ青味を闇に預けていく空にくっきりと三日月が浮かび上がっていました。

予報どおり13℃まで急上昇。不思議な天気だなあ。朝の散歩の時は三鷹ではまだ僅かに氷点下。犬たちと一緒に井の頭公園に着いた時には、霜が降りたグラウンドの向こうにゆっくりと太陽が昇ってきたところでした。ほどよい寒さと澄み切った空気のせいか、昨晩飲まずにダージリンにしたせいか、頭が妙に冴え、朝陽を背に歩きながらとあるエスキスがどんどん進み始めました。寒さの緩み始めた新宿中央公園では、巨大な欅の枝の先に一羽で止まっている鳥を都庁舎と合わせて写真におさめるなどしつつ、事務所に着くころにはエスキスは頭の中では完成。パソコンを開くと、いつものように限りなくジャンク・メールに近い楽天やYahooにまじってStarbucksからはHelp Haitiのメール。まあプロモーションの一環と言えばそれまでだけれども、やるな、と感じました。デザインもいい。こっちは「4億円」で持ちきり、か。Dylan関連のポータル・サイト
expecting rainでさえ、ここのところのトップ情報はずっとHaiti Earthquake Relief。私はと言えば、先週の木曜のランチで80過ぎのアメリカ人から「eightyはどうする?」と話し掛けられHaitiのことだと気付くのに一瞬ではあるけれど間が出来てしまっていました。「ハイチ」じゃなくって「ヘイティ」だったから? 違うな。

