ポルトガル語の原題はÁguas de Março。ジョビンの名曲です。こちらの三月の雨は妙に気まぐれ。水ぬるむとは言え、まだ寒々。やっと雨がすっかり上がって遅めの散歩に出たところ、家の前につぶれた蟇蛙2体。お向かいの家には小さな池があって、この季節はゲコゲコと賑やかなのです。明日は暖かいとの予報。こうやって春になっていくのですね。

「いさなとり」やわらかい響き。海、浜、灘にかかる枕詞でクジラの古名「勇魚」(いさな)から来ていることを小池光さんの「うたの動物記」で習いました。ゆっくりゆっくり進む原稿書きと同じ画面で、チリの大地震に因る海の脅威が一日中画面に映し出されていました。岸壁が潮で洗われる程度の被害で済んでよかった。まだ降りやまぬ雨をながめるハヤとわれ感ぜず眠るフク。午後に雨が上がって犬たちは救われました。

ぐずついた天気が続いています。重い原稿を背負い込んだ私にとっては励ましの雨かな。Dylanの極東公演はソウルまででどうも中国は流れたようです。bobdylan.comには6月の東欧公演が発表されました。最近の曲I Feel a Change Comin’ Onの中にJames Joyceが出てくるのに影響されて「ユリシ−ズ」か「フィネガンズ・ウェイク」でも読んでみようか、でも長いな、原語じゃ無理だろうな、などと考えていたところに丸谷才一による新訳「若い藝術家の肖像」A Portrait of the Artist as a Young Manの新聞広告が飛び込んできました。曰く「あの難解とされた名作は、こんなにも面白かった。見事な日本語訳、詳細な注、清新な解説・・・」。一発でノックアウト。その日のうちにオーダーしてしまいましたが、車中で読むというのには(内容が)重すぎ、仕上げなくてはいけない原稿がたまっている時にゆっくり読み始めるわけにもいかず、積んだままになっています。この子たちは本は読みませんが仲良しです。

縁あって35年前の勝沼のヴィンテージが手もとにあったので、週末に事務所で開けてみました。つまみのメインはそのままの野菜に梅塩添え。早くも鰹が出ていたのでバルサミコと醤油で軽く和えてクレソンを山のように合わせました。淡い褐色にまで熟成した甲州を堪能した後に続いたのは概ね日本で生まれたワインでした。35年も熟成したワインは初めての体験。まあ、国産だからと、それほど大きな期待は持っていませんでしたが、筋道を立てて理解しようとする頭を超えて、時の積み重ねの妙味に私は浸ってしまいました。満足。


ソウル2004年冬¶の旅で出会ったネコたち。三毛ではなく二毛のようでしたが日本にいるネコと変わりません。半島には昔は虎がいたんだっけな。今年の虎はダメだろうなあ。


1962年のレコードFolkways FH5013。Dylanのほかでは聴けない曲が4曲含まれているBroadside Ballad vol.1は生半可な中古屋通いの私では出会うわけもない高嶺の花でした。何年か前から米国内ではSmithsonian Folkways がCDRとしてオンデマンドで提供していましたが、4曲のうち2曲を別のCDで入手できたということもあり、追跡の手を緩めていたところ、なんと新宿のタワーで偶然に発見。めでたく[doghouse] libraryにおさまりました。オリジナルの解説や楽譜がpdfで添付されているのはうれしいのですが、スキャンがまっすぐでなかったりするところが、アメリカ仕事だなと思いました。写真は[doghouse]の食卓の花。器もかわいい。

吉岡裕子さんのリサイタルで出会ってから気になっていたメンデルゾーンのピアノ三重奏曲第一番が届きました。ピアノRubinstein、チェロPiatigorskyそしてヴァイオリンHeifetz。1950年モノラル録音。私が生まれる前の演奏です。素晴らしい。米BMG盤が送料込みで\830。こんな値段なのはSONYに吸収される前の商品だからなのでしょうか。そう言えば私が最初にのめりこんだレコード音楽がHeifetzのベートーベンヴァイオリン協奏曲。指揮はToscanini。幼稚園のころ毎晩寝る前に必ず全曲聴いていたのだそうです。3分と待たずに寝入ってしまう今の私に不眠を楽しんだ過去があったとは信じられません。[doghouse] trioは何に集まっているのでしょう。
