凍雨

妙に寒い日が続いています。うっかり早く開いた桜も逡巡していることでしょう。ラジオを聴いていたら、非常にめずらしい凍雨を観察したと耳に入ってきました。Wikipediaによれば、透明あるいは半透明の氷が雨のように降る気象現象で霙 (Sleet) と霰 (Graupel) の両方に含まれるのだそう。よくわかりません。英語ではIce pellets。朝の散歩、久しぶりに上水まで足を伸ばして、凛とした桜を楽しんできました。
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Forever Young



熱い嵐が過ぎ去りました。ディランの重さを思い知らされるとともに、ひとの縁の愉しさを噛みしめさせてくれる、かけがえのない19日間でした。サービス精神満点の前回の曲球選曲からは一転、最終日は直球勝負でした。アンコール前の固定曲に代わってForever Youngが登場したことと、ついにセカンド・アンコールに応えてくれたことだけを、取るものも取りあえず報告しておきましょう。ディランもライブの成果にご満悦のようすでした。写真は「祭りのあと」。
ライブ盤を出すのならこの日の録音という感じの手堅いセットリストでした。今回のツアーで4回以上登場になる、おそらくバンドとして手応えを感じている曲が並びました。The Levee's Gonna Break、Spirit On The Water、Cold Irons Bound、I Don't Believe You、Desolation Row、Can't Wait。Cold Irons BoundとCan't Waitの重く力強いサウンドは現在のディラン・バンドの持ち味を最大限に発揮した「燻水銀」の演奏です。どれも今年最高の出来と言っていいでしょう。驚いたのは前半唯一の初登場曲My Wife's Hometown。Together Through Lifeに収録されたWillie Dixonのブルースを下敷きにしてどうでもいい詞をとりつけた最近お得意の「クリシェ」が、CD収録曲とは趣がまったく異なるヘビーなブルースに生まれ変わりました。どうにも気になる趣味の悪い詞も、こう表現されればもうどうでもいい。ディラン・バンドの底力に打ちのめされました。最高のノリと裏腹に私がどうにも好きになりきれないのが固定曲として毎回必ず登場したThunder On The MountainとJolene。典型的ロックンロールにどうでもいい詞がつけられたライブ用の曲を要に配して「所詮、音楽は音楽。ノリがすべてさ」を貫いています。私にとっては遥か昔に作られたThe Lonesome Death Of Hattie Carroll 、John Brown、A Hard Rain's A-Gonna Fall、Master's Of War、Desolation Rowなどでのストーリー・テラーとしての歌い手ディランの力量のほうにより感動してしまいますが、そんなことを超えてしまえるところが、ディランの偉大なところなのでしょう。しかし、刻々と姿を変えながら盛り上がっていく演奏に乗せてめくるめくストーリーが語られる最終日のDesolation Rowには鳥肌が立ちました。2008年10月から歌われ続けていた定番のBallad Of A Thin Manに替えて2007年以降4回しか歌われていなかったForever Youngを登場させるサーヴィスは気まぐれディランならでは。そして、ついについに2nd encoreが実現しました。「one more」の大合唱。「ありがとう」の声、声。ディランも人の子、ほんとうにうれしそうでした。古い、新しい、他人の、自分の、に係わりなく、あらゆる音楽を今のかたちで表現することこそが自分の音楽であるというディランの確信がこの感動のフィナーレにつながったのでしょう。
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思い残すことはありません。

Simple Twist Of Fate



Dylan東京6日目。オープナーは待ち望んでいたGonna Change My Way Of Thinking。素晴らしい出きでした。2曲目と4曲目が2009年には一度歌われただけのLove Minus Zero/No LimitそしてSimple Twist Of Fate。Workingman Blues #2とNettie Mooreが原曲をより力強くシンプルに2010年式に再構築され、2010年初登場がなんと5曲。バンドはそんな事とはまた別にますます絶好調。4度目の登場のHigh Waterも最高の盛り上がり。固定曲Thunder On The Mountainは別の曲かと錯覚してしまうほどの仕上がり。ラストは前回に続きBlowin' In The Wind でヴァイオリンがより強調されたアレンジでした。センターステージで歌い始めたSimple Twist Of Fateの3コーラス目からディランがキーボードに戻るとノリが突然変わったのが印象に残りました。いつもより少し長いあっという間の2時間。最後の挨拶?でディランはいつになく左へ右へとせいいっぱいの気持ちを伝えていました。気持ちよくノレたのだと思います。半世紀前の曲でも去年の曲でも、定番曲でもレアな曲でも、鉄壁のディラン・バンドにとってはすべてが「今のディラン」です。ちょっとは疲れたけれども、2階指定席よりずーっと1階がいいと感じました。気持ちよくからだも動きましたが、前の男性が直立不動で拍手もしないのが少しだけ気になりました。録音していたのでしょうね。これで13日で64曲。東京6日で54曲。最終日はどうなるでしょう。Dylan通いが続いて、気持ちの片隅で小さくなってしまっている桜。家の前の通りの古木ももうこんなに花開いています。
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春眠

久しぶりの晴れ。You TubeでDylan公演を反芻しながら、のんびりとからだを休めました。犬たちものんびり。奥の方にも一頭横たわっています。[doghouse]の植物も春本番一歩手前です。上がブルーベリー、下がアロニエです。Dylan日本公演もあと2日。昨年末のボストン、ニューヨークで歌われたのに日本未演なのは、My Wife's Hometown、It's All Good、Workingman Blues #2、Ain't Talkin'、Nettie Mooreといった新しい曲と1980年以来29年ぶりに歌われたGonna Change My Way Of Thinkingのみ。1978年2月28日に武道館で初公開されたIs Your Love In Vain?が32年ぶりに歌われるようなサプライズもあり得ないとは言えません。Is Your Love In Vain?と言えば開演前に流れるBarbra Streisandは私の32年前の苦い想い出と切り離すことのできない因縁の歌。すべてが懐かしいと言える歳になりました。
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Blowin' In The Wind



Dylan。今夜が最高、が続いています。演奏がもちろん素晴らしいのですが、昨晩は選曲の意外性に頭までホットになってしまいました。3曲目に2010年初登場のJust Like Tom Thumb's Blues。メロディーを抑えた力強い表現で、曲の峻別に手間取りました。ギターを手にした1曲はギター向きとは誰も思わないMake You Feel My Love。最後の曲の前に短く挟まるメンバー紹介のあいだにDonnieがヴァイオリンを鳴らしているので、All Along The Watchtowerの新アレンジが聴けるのかなと思っていると、なんと始まったのは去年の5月から封印?されていたBlowin' In The Windでした。去年4月にパリで聴いたのとほぼ同じアレンジですが、はるかに力強い演奏。前回、一緒だったディラン初体験者の「風に吹かれては、歌わないの?」に「ラスト5曲は去年夏から完璧に固定されているので登場はあり得ませんね。」と自信を持って応えたほど、76回続いたAll Along The Watchtowerのトリに終止符は予想外でした。演奏中にローディがCharlieの控えのギターを入れ替えに出てきたので、もしやアンコールもう1曲と期待しましたが、それは叶わず。ラストを含めLay, Lady, Lay 、Every Grain Of Sand、Sugar Baby、Make You Feel My Love、Po' Boy、I Feel A Change Comin' Onとバラード系が多かったのも特色。たまたま私の席は昨晩だけ2階指定席。おそらく関係者ばかりと思われる200席は1階の熱気とは隔絶された別世界。「陽水が来ていて、後で楽屋に・・・」といった囁きも耳にしてしまいました。熱いステージを鳥瞰的に遮るものなく視野におさめることができるのですが、臨場感、一体感という観点からは1階にかないません。椅子にからだを落ちつけて聴くのに比較的適した選曲だったのはラッキー。Love And Theftから5曲も歌われたのも珍しいことです。選曲は開演少し前に決定されてキューシートがつくられるのだそうですが、思いつくまま、なのでしょうね。 ほんとうに、不思議な人です。前日と同じ曲はわずか5曲。東京5日間では49曲。2010年通算12日間で59曲。驚くほどヴァラエティ豊かな選曲です。大阪が遠い過去になり始めました。 話は無理やり跳びますが、大阪市営地下鉄の女性専用車は徹底していました。東京で一般的な時間決めでなく平日の終日を専用としています。しかも専用車一両だけが白系になっていてぱしっと目立ちます。解りやすい。御堂筋線はホームの空間も立派です。エスカレーターの立ち位置が大阪と東京で違うのは不思議ですが、なんと名古屋はほとんど歩かない習慣に変わりつつあるようでした。一部東京式の名残がありましたが・・・。葱も大阪と東京ではモノも食べる部位も違っていますが、名古屋には青白両方を食べる「名古屋葱」があるそうです。狭い国なのに面白いですね。
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When The Deal Goes Down



Dylan終演後、有明から湾岸の夜景を楽しみながら事務所近くまで戻り、[二軒家アパートメント]仲間4人でワインで感動を再確認。 クライアントと私の双方がDylan好きだったことが縁で[二軒家アパートメント]ができあがったわけですからこうして一緒にDylanを体験できて感無量です。この宴のディテールは後日お伝えします。ディラン・バンドは絶好調。A Hard Rain's A-Gonna Fallが今夜のお気に入り一番。2010年初登場When The Deal Goes Downが12曲目にやっと登場。写真は名古屋の旨いもの一番「あつた蓬莱軒の櫃まぶし」。ここのはやはりおいしかった。山葵、あさつき、海苔を鰻丼に和えるの二膳目が一番好きかな。いろいろやってみようという名古屋スピリッツ大好きです。
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It's All Over Now ,Baby Blue



東京2日目のDylan。ノリも抜群でしたが選曲が良かった。一語一語噛み含めるように力強く唄われる強烈な反戦歌John Brown、Master's Of Warが感動的。お気に入りのForgetful Heartも登場。Under The Red Skyでのボブのギターもよかった。ここまでに挙げた好演は何れも大阪5日目でも歌われた曲。4回目の登場となる新アレンジのShelter From The Storm も地に足がつきました。いい。おまけに2010年初登場の1曲がIt's All Over Now ,Baby Blue。文句なし。ロックバンドとしてのノリも確かにみごとなのですが、いい曲を再表現するボブの燻銀の歌唱力が最大の魅力であると確信しました。
写真は2007年に登場した新幹線N700系。ユーロスターのような旅の楽しみとは無縁ですが、通勤電車に匹敵する頻度で運行されているわけですから、機能性に特化して洗練させるデザインは間違っていないと思います。各座席窓下部にコンセントが用意され、wifiなどによるインターネット接続が可能になっているのもうれしい。私が使っているairHだと停車の前後以外は移動速度が速すぎて接続がもどかしい感じでした。よく乗るような仕事が来たら接続契約をします。
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木下道郎 ・ 建築家
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