お天気のきまぐれにもめげず、桜は思ったよりしっかり。ここのところ毎夜三鷹駅を降り立つ私を少しずつ趣を変えつつ迎えてくれます。ひとときの感動を記憶にとどめておくだけでなく、わかちあいたいとシャッターを切るのですが、三脚があるわけでもなくなかなかうまくはいきません。

日曜朝の井の頭公園。朝の陽光に散る水しぶきに散り際の仄かな桜色の花が似合っていました。手に持つリードの先の犬たちは地面に散らばるモノにからだを奪われて、落ち着いたシャッターを切ることが容易ではありませんでした。

花見がてら犬の散歩は井の頭公園へ。朝7時だというのに、もう少なからぬ人がいて、ブルーシートが敷き詰められていました。写真を撮るとすると池越しか見上げるかしかありません。昔は水面まで垂れ下がっている枝を伝って池に落ちるのが流行っていました。雨が降ってしまったから昨日で見納めかな。この儚さもまた、よし。

飯田善彦さんの集合住宅を見学に花見でにぎわう井の頭公園をかすめて吉祥寺まで足を伸ばしました。3〜6階の住宅部分に4階のSOHOフロア?からアクセスする新しいしくみはここなら受け入れられやすいかと思いました。バルコニーの手摺に蔦がはえるようにセットされているプランターと灌水設備が今一番の関心事にぴたり。幸せなことに建物の向かいに蕎麦「上杉」。遅い昼食をここでと決めていました。常温の菊正宗で板わさとせいろ。勝沼に設計しているワインバーのメニューもこういった感覚でいきたいものです。ここのせいろはおろしと葱だけで山葵はオプションなのですが当然板わさには山葵。バス通りの喧騒を摺ガラス戸一枚で隔てて静かな昼下がり。こぢんまりとした空間にほどよくおさまった蕎麦好きの手元には申し合わせたようにお銚子が置かれていました。つゆは私の好みより幾分甘め。佇まいは申し分なく、お気に入りの蕎麦屋です。

デイベッドで寝ていて、お腹をすかせた猫に起こされました。小動物とはいえ、顔を間近下から見上げると迫力があります。しかも猫はしつこい。中庭に出るとジューンベリーの白い可憐な花。ほんとうに春です。向こうに写っているのはやっと蕾をつけたモッコウバラ。何色の花が咲くのでしょう。楽しみです。

Dylan。東京7公演の隙間の休日に歌舞伎座さよなら公演を鑑賞したそうです。そういうところも好きだなあ。32年前の初来日の直後の4月1日、現在の「木下道郎/ワークショップ」の前身「ワークショップ」という設計事務所を北山恒さん谷内田章夫さんと始めました。ということで昨晩は4月1日恒例の
Beach Houseへ。北山さんの「建築学会賞作品賞」のビッグニュースも肴にしてしまって、建築の可能性について語り合いました。まだ公表前で大きな声では言えないようですが「おめでとう」。熱い32周年の夜。酔い潰れないほどに切り上げたところは成長の証し?。この日は毎年花見で盛り上がる時節。二次会で青山墓地の花の下に繰り出したこともありました。写真左上がその青山墓地。他の2枚も大昔「ワークショップ」があった霞町、六本木界隈の桜。寒さにじっと耐えた後の突然の20℃に加えて目も開けていられないほどの風。自然は意地悪だけど、満開の桜は意外に強い。



勝沼へ。「塩山」からタクシーに乗るよりも一駅前の特急の止まらない「勝沼ぶどう郷」から歩いて現場に向かうのが好きです。勝沼でも開花はぴたりと止まり、李も桃も桜もほぼ一週間前のままです。改築棟の「はつり」工事がほぼ終わり空間の全貌が視野におさまるようになりました。現場用の蛍光灯に照らし出される粉塵で霞んだ地下空間に「ブレードランナー」で描かれた廃墟のイメージが重なりました。
