桃の咲く路

ランチの定番になった「味陶庵志奈川」。店の前に季節の花が飾られているのがうれしい。方南通りの一筋裏側の生活道路がこの花々で楽しくなっています。この少し先には「とりの志な川」、そのすぐ先を右に曲がって急な狭い坂路を上る途中に「品川亭」。綴りこそ違え、十二社時代から続く三店兄弟とのこと。色街の風情のかけらがところどころに残る街です。
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犬と読む街

休みの日の朝の散歩は天気がいいと遠くまで足が伸びます。玉川上水沿いに朝陽に惹かれて井の頭公園に向かうのがみんなのお気に入り。公園の周辺の住宅街にはちょっと足が止まってしまう住宅も少なくありません。時々カメラを構えて止まってしまう時も犬たちはそれなりに自分たちの時間を楽しんでいます。普通の家を巧みに景観に調和させている美しい塀。ヴェンチューリが設計したかのようなあの時代風の家。家の良し悪しは外観では判断できませんが、街を良くしていることだけは確かです。
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春を呼ぶ包

春節が過ぎて山珍居に潤餅(ルンピィアー)が登場。包餅(小麦粉でつくったクレープのような皮)で野菜を巻いたもので、中華料理屋の春巻とはまったくの別物。中に砂糖まみれの落花生の粉片が入っていて、食感・味覚とも台湾です。ベトナム式生春巻ともかなり違います。大将自ら巻きたてを運んできてくださいました。気持が大切な一品。春なのですね。ランチとは言え潤餅だけでは足りない抑えの魯肉飯 (肉そぼろ煮込み丼)が出てきてびっくり。初めて、でした。レタスとの取り合わせがよく美味。なぜ今までパスしていたのでしょう。
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そう言えば、包餅は[HEARTLAND]に続いたビア・マーケット・シリーズ[DOMA]の名物料理だったなあ。

亡き友に盃

1986年の[HEARTLAND]「穴ぐら」「つた館」以来の永いおつきあいだったキリンビールの塩見さんが急逝されたのは3年前の1月でした。1995年の彼の結婚のお祝いに集まって飲み明かした仲間がその同じ処に集まって思い出を語り合いました。この一連のおつきあいには数限りない出会いがありましたが、その一つがチェコ出身の音楽家Iva Bittováとの出会い。ワークショップ時代に宇田川町のラブホテル街入口に設計したワインのパイロット・ショップ[from DANCE]で演奏してもらったのです。衝撃的表現力でした。仕掛け人の田村光男さんが当時制作したCD ”River of Milk”は私の宝物のひとつです。灯台もと暗し。彼女は去年「土と水の芸術祭」に来日し、田村さんによれば、夕暮れの信濃川縁で「演奏し唄い、踊り、話しかけ、そのまま人々を引き連れて夕焼けの空へ舞去って行くようでした」とのこと。貴重な機会を逃してしまっていました。アンテナは磨いているつもりだったのだけどなあ。偲ぶ会の準備でメールをやり取りしている最中にふとパソコンにほぼ20年ぶりに現れたIva Bittová。彼女の新作がいつもチェックしているECMのサイトの表紙になっていたのです。びっくりしました。大きくなっているのですね。途切れかけていた20年来の輪が繋がりました。塩見さんに感謝。写真はこの宴のために〆鯖をつくっているところの圖。塩麹の力を借りた塩鰹の方ができがよかったかな。
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家の中の家

[doghouse]の中のハウス。クレートと呼ばれるプラスチック製のケージがマルの住処になっていて、夜はここで眠っています。人間世界では聴きなれない言葉ですが、荷づくりの箱を表す英語crateからきているようです。何にせよハウスがあるのは幸せです。叱られて「ハウス!」と言われるとここに退散するわけですが、自らすすんで引き籠っていることもあります。私もこういう狭いところは好きです。目聡く食物を見つけて腹におさめてしまうところはラブラドール譲りですから、目は離せません。85cmの高さのサービスカウンターの上にあったはずのパンがなくなったという騒ぎがありましたが、マルの仕業に違いありません。
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心も寒い朝

新宿駅から通い抜ける凛と冷えた中央公園。普段は園内を走ることのないトラックが姿を現しホームレスの住処の残骸を運んでいました。警察権力が介入するわけでもない静謐な退去。随所に個々の資産がまとめられていて、移動手段を有する人は準備を完了。虫じゃあるまいしもう少し暖かくなってからでもいいのでは。
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取り付く島

犬たちの大好きな「島」が暫く一つになっていた間、一つの島をめぐってかなり激しい諍いが何度も起こり、手を焼いていましたが、このほどめでたく島が二つになりました。島を心おきなく独り占めしている様は幸せそのもの。
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蕎麦宍倉

事務所界隈にやっと納得できる蕎麦が出現。「吟品」の陳さんが台湾に帰ってしまった後にできた「宍倉」です。へぎ蕎麦を名乗っているわりには布海苔の印象が薄いけれどもしっかりとした蕎麦で、気に入っています。山葵でなくカラシを添えているのは、煮干しの強いダシに合わせてと説明されましたが、もともとへぎ蕎麦はカラシで食べていたようですね。ここでのお気に入りは暖かいつゆでいただく野菜天もり。天ぷらは一部を塩でいただき後はつゆに浸してヌキで。暖かいつけ汁だとカラシの持ち味がより発揮されます。もうこれは週一欠かさずですね。蕎麦の香りが伝わるような写真は撮れなかったので、土曜日の八雲の夕景です。
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丸長悠長

猫に引かれたわけではないのですがおよそ10年振りに松が丘の[TRINITE]へ。「バイクスルー」に改装された一室を見学して来ました。六本木から1997年11月に事務所が松が丘に移り2000年2月に東中野に設計した[BALCON]へと巣立つまで4年間過ごした界隈。懐かしかったなあ。飲食店は多くが入れ替わっていましたが当時行きつけだった「丸長」のあたりは時間が止まっていました。ラーメン類が暫定的規制対象品目になっているため唾を飲みました。
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雨水紅梅

やっと雨水。命が蠢き始める頃合いの匂いを的確に表すお気に入りの季語。[doghouse]の通りの紅梅も開き始めています。春よ来い。
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茶酒肴曲

[bigdog house]で母と弟と3人で一献。楽しい宴でした。独り暮らしの家がひとときですが賑やかになって、父も喜んでくれたことでしょう。家族4人で観た記憶が鮮明に残っている「夢であいましょう」の今月のうた がBGMにぴったりはまりました。写真は紅茶に眼がなかった父を偲んで淹れた去年のスリランカ土産の紅茶のシルバーチップ。「未だ葉が開かない産毛に包まれた銀色に輝く新芽」だそうで湯に浸る姿は蓴菜(ジュンサイ)のよう。さすがに絶品でした。日本では手が出せない価格のようです。
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原爆原発

日大生産工学部の卒業設計審査会。みんな頑張りました。最終審査に残った16人のうち10人が女性、受賞8人のうち6人が女性。印象に残ったのは広島の平和資料記念館から原爆ドームへの軸線の突き当たりに計画された「広島宣言--つないでいく記憶--」。未だ終息しないフクイチ原発禍の原点がここにあることを再確認するための建築です。これは得票8位。うちの事務所の4月からの新人は1票差の得票2位で桜建賞。発表を見守りながら久しぶりに汗をかきました。
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自他虚実

マル8カ月。先住のフクやハヤとは違って鏡やテレビの映像に関心があります。庭で用を足すクウをうっとり眺めているうちに鏡に映る自信に気付き、暫し観察をしていました。
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蕎麦立喰

蕎麦屋で一献の蕎麦とはまったく別物なのですが駅蕎麦も大好きです。それなりの個性があってチェーンになっていない独立系でできればラチ外がお気に入り。そんな中での異色が新宿駅西口の布屋太兵衛新宿地下鉄ビル店の立喰。駅蕎麦の天ぷらとは格が違うしっかりしたタネとは言え、肉天、春菊天などどれも\680という立喰にあるまじき値段。タネなしのざるには卵をつけて、すべて値段が同じなのは営業戦略なのかな。小海老がしっかり入った春菊天もりの蕎麦を半分たいらげ、天ぷらを一齧りしたくらいのところでつゆに蕎麦湯を注ぎ、天ぷらをヌキにして食べるのが好み。気を利かせてくれて熱いつゆが別に出てくると、それはそれで満足。成り行きまかせも楽しいものです。写真に撮って面白いものではないので新宿駅ラチ内でのショット。山手線103系導入50周年記念のラッピング車両です。「電車が走る、電車が走る」のCM、よかった。
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東京駅から

新装なった東京駅を今頃になってやっと外から眺めました。長大なスケールとライトアップが印象的。たくさんの人がカメラを向けていました。これは英断と言えるでしょう。内側にあるステーションホテルでとある会の最後の晩餐。みごとなセッティングで、新たな展開につながりそうです。
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冬の我が家の幸せ

窓辺のシクラメン。冬の陽射しを受けた紗が柔らかな光の背景となって花の色が浮き立ちます。休みの日の昼下がり、犬たちを傍らにファインダーを覗いているのが好きです。
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転轍機のある一日

境南町から三鷹駅まで線路沿いの「電車庫通り」を歩いてみました。denshakoおもしろい響きです。車両の傍らを歩いて、フクと何度か来た跨線橋で暫し線路を眺め、頭の中を〆鯖でいっぱいにして三鷹駅から荻窪へ。魚屋には案の定いい鯖が並んでいたのですが2軒とも産地が私的倫理基準に合わず、献立を鰤に変更。薄造りの鰤と薄切りの大根をさっとダシにくぐらせたお椀もいけました。
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[Big/Small House]

武蔵境に竣工したスタジオ宙の住宅を見学させていただきました。道路拡張で面積が8.1坪になってしまった敷地にぎりぎりに3階が収まっていました。南側の生活道路側の全面開口の外側のパンチングメタルが効いています。夜景はまた違った印象でしょう。この狭さで二世帯住居というのも驚き。クマちゃんが居住者というわけではありません。
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三酪三色

斎藤輝彦さんのワインの夕べのおつまみのひとつ。コンテComtéミモレットMimoletteゴーダGouda。どれもしっかり熟成していて重た目の赤にぴったり。作り方もいろいろ。酪農国の文化ですね。
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三頭三様

思い思いに時を過ごすクウ、ハヤ、マル。おなかいっぱいで、みなが気持ち静かな時は、空気は穏やかです。離れ過ぎず、近づき過ぎず、群を感じつつ、個を楽しんでいるのでしょう。
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夢であいましょう

1961年.私が10歳の頃から5年間ほどNHKで放映されていた「夢であいましょう」。その「今月のうた」のほとんどがCDになりました。「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」「遠くへ行きたい」「帰ろかな」懐かしい曲目白押し。西田佐知子、丸山明宏もいます。DVDによる映像も付いていてあの頃の白黒テレビの世界にいっきに引き戻してくれます。歳とったんだなあ。
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犬の想いと猫の記憶

屋外扉の設計の参考にならないかと撮った写真は犬たちとの散歩路にある住宅。3人で設計事務所ワークショップを始める少し前くらいに建築雑誌に掲載されていた記憶があるのですが誰の作品か判りません。30年も前に流行っていた音楽とかその時私が着ていた服とかやたら細かく記憶している彼ならば答えが出せるかなあ。
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遥か遠くの海辺へ

cochin nivasの新メニュー、チキンプラオセット。南インド風ピラフ。ここのインド米パスマティライスはお気に入りです。残念ながらシェフの里帰りで昨日から28日まで休業とのこと。故郷は南インドケラーラ州コーチンでコロンボの北西500kmくらいのところ。あのインド洋に面した港町です。帰国後の新メニューが楽しみだなあ。
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ねこのいるところ

最近のクウのお気に入りは食洗機前のこげ茶のラグ。いい色合いです。食洗機の蓋が開放されると、猫にとってのキャノピーになり犬除けにもなるので安心。床暖もあるしオーブンもあるし暖かいのだろうな。
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ひとたちのすむところ

イタリアに侵略されて以来の泥沼から這い上がろうとしているリビア。ナショナルジオグラフィック日本版2月号のリビア特集を興味深く読みました。なかでもローマ帝国以前に遡るというオアシス都市ガダーミスGhadamèsの空撮には目を見張りました。街路からのアクセスとは別に女性のための通路が屋階に巡らされているそう。おもしろい。ぜひ体験してみたい空間です。世界遺産。地下資源を喰いものにするだけではない、のか。
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photo courtesy of National Geographic

二軒家ペントハウス

久しぶりの[二軒家アパートメント]ペントハウス。食いしん坊が集まって主題はイタリアでした。[doghouse]はマルの入院で灯が消えたよう。家族4人のアイドルとしての大きな存在なのですね。早くお帰り。
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月に吠える

月ではなく月色のフリスビー。ここのところのマルの超お気に入りを求めて鳴いていますが、鳴くのはいけません。鳴くと絶対に思う通りになりませんよ。マルは避妊手術のため今日入院。さみしいなあ。
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日が昇る空に向かって

受験生につきあって5時起床の勢いで日の出時の散歩。上水の街路灯がまだ灯ったまま。淡いローズピンクがゆっくりと濃くなって行く東の空に誘われて歩を進めました。地平線近くは薄く雲がかかっていて日の出はお預けでしたが気持ちいい小一時間の犬連れ。写真は6時17分撮影。意外に寒く手が冷たかった。
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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