コクチョウ

170328.jpg
水戸の千波湖には白鳥と黒鳥がいた。黒鳥はかなり狂暴らしく人を襲うこともあるということ。この日も白鳥を威嚇して追い払っていた。「黒い白鳥」が17世紀末にオーストラリアで発見されるまで「あり得ないもの」の代名詞だったのだそう。起こるはずがないと思っていたことが起こると代償は大きい、というのがブラック・スワン理論。3・11がそうだ。
コクチョウ黒鳥Cygnus atratusカモ目カモ科ハクチョウ属。英名black swan。

シジュウカラ

170326.jpg
鳥の知り合いがどんどん増えている。鳥そのものが増えているとは思えないからこちらの懐が深くなって判るようになったということだろう。20年くらい前に高校同期が脳外科クリニックを開業した時に「脳は四十から」とあいさつをくれた。もう遥かに時間が過ぎているから気を付けなくては。
シジュウカラ四十雀Parus minorスズメ目シジュウカラ科。英名Japanese tit。

コサギ

170327.jpg
鳥はそもそも哺乳類から見ると随分と変わった形態をしているのだかなかでも鷺の立ち姿は独特だ。車窓の田畑に白い姿が点在していると里の風情がひろがり始める。アニメの「銀河鉄道の夜」の暗い画面に散る鷺もいい。そう言えば「鷺捕りのおじさん」は元気かなあ。
コサギ小鷺コウノトリ目サギ科。英名little egret。

勝沼行脚

170325.jpg
170325a.jpg170325b.jpg
photo lower left by ay.

18きっぷは5枚構成なので短い有効期間に1人で使い切るのは難儀だが同行がいれば簡単。水戸の残りは翌日の勝沼行きに充てた。中央線には各停のグリーンがない代わりに「ホリデー快速ビューやまなし」がある。この全車2階建て車両は旅ごころ満載で固定ボックス席なので4人組には最適だ。特急料金なしなので18きっぷと組み合わせると超お得な鉄道旅になる。今回の主眼は建築がきらいと大泣きをしたまま卒業してしまいそうな学生に刺激を埋め込んで送り出すこと。で2010年に竣工した[シャトー・メルシャン]勝沼ワイナリーへの小旅行となった。ただ建築でワインではなく設計した建築を見守り続ける建築家の姿勢を体感させることもある。雲一つなく晴れ渡った勝沼がルンルンと迎えてくれて楽しい一日になった。使われ方は想定の枠をはみ出しながらも成長している。商業施設としてはほぼ定着したと言っていいだろう。左下のバーカウンターの写真は別の学生の撮影。狙いを理解したいい写真だ。件の学生に埋め込まれたタイマーはきっといつか作動する。

水戸逍遥

170324.jpg
170324a.jpg170324b.jpg
VIEWカードにたまったポイントは換金率が高いグリーン券に替えている。このただ同然のグリーン券が18きっぷの旅の強い味方なのだ。各駅の旅で車窓を楽しみながらゆっくり飲んだり食べたりするのは乗り鉄の醍醐味だ。18きっぷの魅力のひとつには行き当たりばったりというのもある。偕楽園でもライトアップが開催中であることがわかったので帰りを遅くして空いた時間に水戸の街をブラブラすることにした。それなら弘道館より芸術館だと思いついて藤森照信展へ。彼のアートは私の考えるアーキテクチュアを逸脱しているので身を固くせざるをえないので勇気をふりしぼっての思いつきだ。私が種苗屋だと思い込んでいた「たねや」が実は菓子屋だったのは学習。その「たねや」製の鳥の工芸菓子が唐突に出現するなど展示自体はアートとしてよくできている。出色は磯崎新による解題「暗号解読の手掛かりは『つくりもの』にある。」。アーキテクチュアを「国家・都市・建築・芸術を貫通する社会的制度」と定義したうえで藤森のモノを「古来日本でいいならわされてきた『つくりもの』」と断じている。みごとだ。その磯崎の設計した器はどうか。恣意性を排除しかつ類例のない形状を持つ塔はランドマークとして完璧だが、彼の言説に育てられて建築の道を歩み続けてきた私にとって芸術館に付与された作為と向き合うのはやはり辛かった。がしかし展示も含めて豊かな時間だったと思う。日没までまだ少し残った時間をどうしようか迷った。東山魁夷は亡き父のお気に入りだったこともあって好みなのだが、同行を巻き込むにはあまりにも個人的なので口にはださなかったが、すっと決まって水戸近代美術館にタクシーをとばした。閉館時刻を過ぎていて犬智慧に終わるところを「東京から来たのなら」と計らってくれて最後の客となった。唐招提寺御影堂障壁画が創り出す空間に圧倒され言葉もなく感動した。墨によるモノトーンの画の技量は衝撃的だ。ここでは言説はいらない。来てよかった。

偕楽園

170323.jpg
170323a.jpg170323b.jpg
恒例の青春18きっぷで水戸偕楽園へ。録画してあったブラタモリに素直に反応してしまった。2年前の1月にやはり18きっぷで常磐線を北へ走ってフクイチ近くの「現終点」竜田まで日帰りした時に水戸駅の手前で偕楽園の脇を通って鷺が梅林を歩いているのを見て興味は持っていた。臨時停車駅の偕楽園で降りて、ブラタモリで習ったとおり、反対側の表門から入った。確かに薄暗い竹林を抜けてふっと開けたところに優雅な梅の園という流れはいい。鵯、鶫、百舌もそこらじゅうにいる。3層の好文亭に上がると梅林が点描画になっていてその向こうには千波湖も見える。ふらりと来てライトアップも体験できたのは運が良かった。花そのものの美しさは暮れなずむころの灯が一番かもしれない。夜になると偕楽園には列車が止まらないので水戸駅に回った。2年前のとは大違いの楽しい旅だが北のその先の状況はほとんど進展していないのだろう。その状況を知る手段さえ朧げな時世だ。3月11日の朝刊トップは朝日新聞も含めみな「南スーダン撤退」でフクイチは東京新聞だけだったようだ。

モズ

170322a.jpg
170322b.jpg
新宿御苑で鳥や花を見て何時間も楽しめるのだから思っているより歳をとっているのに違いない。いや犬が日常から消えてしまったからそのあたりの気持ちの先が変わっただけのことかもしれない。御苑には犬は入れないからなおさら鳥に敏感になって常緑樹の枝に潜んでいた小さなモズまで目にとまった。一度富士吉田で見たことがあるがかなり珍しい。見かけは可愛いが獰猛なのだそうだ。そう言えば獲物を枝などに串刺しにする「はやにえ(早贄)」の習性があると習ったことがある。興味深い。この日はツグミもカメラにおさめた。バックシャンだ。
モズ百舌、鵙Lanius bucephalusスズメ目モズ科。英名bull-headed shrike。

Profile

image
kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

New Entries

Comments

Categories

Archives(4185)

Link

Search

Library

Counter

27898094