
朝の陽に透かされた新緑は輝くようだ。人の眼はカメラの望遠機能はないが感知した映像を脳が自由自在に読み取り、カメラがそれに従う。同じ情景を若いころの私はどう読み取っただろうか。鳥、花、緑が見えなかった頃もあるように思う。長閑な朝。

水辺のベンチに四半時も座っていると時の流れは緩やかだ。鴨が珍しく一羽で滑るように前を横切って流れ落ちる白い水飛沫を上って行く。翡翠の姿は今日は見えない。サクラはあっという間に散ってしまって新緑で埋め尽くされた風景の中に小さな花を見つけた。背景は水面に映る新緑。

木曜朝は洗足池現場定例。[bigdog house]から呑川緑道を歩40分。晴れていれば余裕を持って出て洗足池を楽しむようになった。渡り鳥がいなくなって冬の賑わいはないが犬、鳥、緑、花、清々しい。今は樹々に一斉に新芽が出て若い緑が気持ちいい。翡翠と出会った水辺の高木の頂部に留まる鴉を撮ろうとした瞬間飛び立った。路に屯している鴉は醜いが大空を飛ぶ姿は美しい。

花筏の大岡川を歩いた。黄金町あたりは学生だった頃にはかなり怪しい人臭い街だったがアートと建築を手掛かりに新しい街に変貌を遂げている。京急のガード下に嵌め込まれた建築はYGSA飯田義彦スタジオの設計。大岡川に浮かぶ船を見ると40年前の卒制手伝いを思い出す。


野毛は味のある街だ。動物園から下りてきたところに開けっ放しの渋い「包丁処」を見つけて思わず吸い込まれた。鮪のなめろう、〆鯵、タケノコ焼き、みな仕事がしてある。「こつ蒸し」を頼んでみたら長崎の武蔵の「かぶとむし」だった。表に青い干物網?がぶら下がっているところも同じだ。「たち花」、奥の深い店であることは確か。


横浜ぶらぶら。中華街で朝粥とくれば「安記」。45年前と変わらない選択が当たっているのかどうかはわからないが、納得。裏路地の雰囲気も多くは昔のままだ。学生時代にお世話になった「新楽」もまだあった。懐かしい。

やはり洗足池のシダレヤナギ。このなよっとした感じは風土にあっていると思う。こういったものはあまりクリアに写すよりも僅かにぼけていた方がいいのかも。