ティガー

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六本木ヒルズには出来るだけ近寄らないようにしているのだが年に2回だけカットハウスに通う時にはたいがいここを通る。街に積み重ねられてきた重い歴史を白紙に清算して創り出された空間は、砂漠に唐突に出現したショッピングモールのようなもので、薄っぺらで地域性は皆無だ。漂白されてしまったエリアから周りのまだなにがしかの名残のある界隈へと通り抜けたあたりで出会った男の子。子供らしい無造作はティガー(かな?)には心地いいだろう。

ウヰスキー

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六本木ヒルズ。合州国の組織設計事務所に頼んで生まれたファサードは侍の兜がモチーフだと言うから笑ってしまう。低層部には大手企業の宣伝のための空間がひしめきあっていてそこそこに賑わっているから商業的には及第点なのだろう。こんなに不愉快な処でも足が止まってしまうこともあるから街歩きは忙しい。まあなんでも繰り返し並べると目は驚くものだ。ウヰスキーはストレート、百歩譲って水割り、と思い込んでいるので、我が意を得たり。

金 宴 群

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黄金の壁に鳥が群れて幸せな宴へと誘う都会

命 群 貴

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すずめたち群れてひとつひとつのいのちの貴さ

群 芝 秋

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雨上がりの芝に餌を啄む椋鳥群れて秋の始まり

大さん橋

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横浜、大きな客船が泊まっているのに惹かれて大さん橋までふらっと歩いてみた。Diamond Princess 115kt。三菱重工長崎造船所火災に係る難産による大型船は日本の造船業の凋落を象徴している。長崎ではこれを上回る大きさの船を何度も目にしているが、間近だとさすがに大きい。1337室。海に向かってバルコニーが積層する姿は集合住宅のようで、外観は重視されていないのかデザインはお粗末だ。けれども非日常的巨大構築物と横浜の日常の風景の一部となった刺激的建築物のとりあわせは意外に面白い。大さん橋の芝生の丘のデッキにはたくさん人がいて座り込んでピクニックをしていたりベンチに並んで絵になったり思い思いに楽しそうだ。送迎デッキくらいはどこの桟橋にもあるだろうけれど、それが公園として機能しているのは見事。5時近くになるとDiamond Princessの反対側に停泊している小さなNippon Maru 22ktのデッキには乗客が集まり始めたので何事かと思っているうちに銅鑼が登場して出港の宴であることがわかった。両船とも5時出港。大きな船は音もなく離岸して行く。小さな船ではなんとテープ投げが始まった。もう何十年も前の記憶の片隅にわずかに残っている情景。ここで見るとは思いもよらなかっただけに盛り上がった。両デッキの高さが揃っているし、おそらく寂しい別れはひとつもないはずなので、典型的な別れの情景とはかなり趣の違う楽しいイベント。テープの芯のいくつかは直撃してくるのでそわそわとファインダーを覗いた。ほど近い横浜スタジアムでは戦意のない広島に横浜が勝って読売のCS不出場が確定しお祭り騒ぎ。楽しい街です。

竜胆

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「あゝ、りんだうの花が咲いてゐる。もうすっかり秋だね。」と言ったのはカムパネルラだった。映画「銀河鉄道の夜」の細野晴臣の音楽も好き。ますむらひろしによる猫仕立てもはまっていた。段ボール箱のどこかにDVDがある。季節だ。ジョバンニや鷺捕りのおじさんは元気だろうか。

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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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