小江戸大多喜

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上総の旅 5。かつて城下町の中心だった通りには渡辺家住宅、豊乃鶴酒造、大屋旅館など名残がぽつぽつとある。一方建て替えられた末に空き家となった老朽建築も少なくない。新しく建ったものの方が街の寂しさを受け止めにくいようだ。こういう状況での設計は建築家の腕が問われる。難しいがやり甲斐のある仕事だろう。大多喜小学校(1997年)は日大生産工学部の講師仲間の小島広行さん。カーンのバスハウスの面影もあって、並の公立小学校の水準は超えている。遠くに写っているのが大多喜城。

大多喜鉄道館

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上総の旅 4。大多喜は歴史のある城下町。1912年には大原⇔大多喜に人車軌道が開通し1930年に国鉄木原線が大多喜まで開業している。早くから鉄路と縁があったせいかどうか、鉄道模型のジオラマが置かれ鉄道関係の標識などが陳列された「房総中央鉄道館」がある。唐突な踏切標識に誘引されてしまった。模型を運転させてもらえるようで何人かの大人が自らの世界に浸り込んでいた。あぶない。

夷隅鉄道

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上総の旅 3。小湊鐵道の終点上総中野からは「いすみ鉄道」。木更津⇔大原の木原線が未成に終わり国鉄・JRがもてあましていた赤字路線を引き継いだ公営に近い線。ちなみに木更津側はまだ久留米線として残っている。放っておけば廃線になったところを経営努力でなんとか存続に持ち込んだ点は評価できるが、地域とは無縁のグローバルなキャラクターに縋りついたところは私には疑問。城下町大多喜という上総随一と言っていい地域資源を活かし切れていない。車内アナウンスも人気プロによる録音だ。おかげで地域との密着度が小湊鐵道ほどではなくなっていると思う。いすみ鉄道の5.6%の株を持つ小湊鐵道に統合した方が地域のためかもしれない。ともあれ黄色と緑の車輛が里を長閑に走っていく様はいいものだ。

小湊鐵道


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上総の旅 2。「新宿さざなみ」は五井で降りて小湊鐵道に。「トロッコ列車」は鐵道の守備範囲外なので避けようかとは思ったのだが付き合ってくれそうなので挑戦。秋晴れに違いないだろうと窓なしの開放車輛を予約。子連れが大勢を占めている中に独りで乗るとしたらちょっと自意識が昂るおそれもある。蒸気機関車風なのが悲しいところなのだが天気が良かったせいもあって風に吹かれて味わう里の風景は期待以上だった。各駅に停止し通常の半分くらいの速度でしかも地元愛あふれる解説付きだから、地元がよく見える。世界一大きいトイレ、陶芸家が自宅庭につくったミニチュアトロッコ列車、大銀杏など話題にもこと欠かない。合間に上総伝統の「川回し」のことも話す。里見駅ホームでは地元の人たちがお弁当、茸汁、地酒などを売っている。いい地域鉄道だ。

房総特急

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上総の旅 1。えきねっとの35%割を利用して往復とも新宿発着の特急。左の「新宿さざなみ」は257系で「かいじ」と同じ車体とは思えない仕上がり。やはりデザインは重要なのだ。右の「新宿わかしお」は255系。榮久庵憲司のGKのデザインで1993年に房総ビューエクスプレスとして登場している。ここで青と黄の房総カラーが定着したのだろうか。当時の「房総バケーション」という小泉今日子のCMの爽やかさが記憶に残っている。彼女が唄う「しおかぜが〜よんでいる〜」は市販されなかったが今ならyoutubeで聞ける。この頃の時差通勤CM「電車は走る〜」もやはり彼女の唄だった。どちらも好きだった。こういうはなしに深く相槌をうってくれていた太田憲治さんはもういない。

「中心のある家」

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阿部勤さんの「中心のある家」2度目の訪問。台風に伴う激しい雨だったのだが阿部さんの「雨が似合う家なんですよ」の一言で雨が私のメモリーから消えた。2人とも晴れ男なのだ。家の中心にある正方形の平面の空間をほどよく分節された小空間がぐるりと取り囲んでいる。不思議な回遊性があるから見て回るのが楽しい。ところどころに吹き抜けもあるので家中に散らばった私たちに一つのまとまりができる。宴が進んでくるといくつもの小さな集まりが物陰にある。チベットの寺院と空間構成の共通点があるのだそうだ。彼方では大日如来が鎮座している中心に此方ではメキシコの太陽神の絨毯が敷かれている。空間の魅力もさることながらそこに場所を占めているさまざまなモノが重要な役割を果たしている。川崎毅の陶芸の街、レゴのサヴォア邸、田中潤作のぶらさがり棒、専用台に据え付けられたハモンセラーノ、トルコで駱駝の背に掛ける布袋。私も29年前の旅でこれを買って[doghouse]に置き忘れてきた。好きなモノに囲まれた暮らしは居心地がよく空間は楽しい。今回は居住の学生たちもアルテックOGも一緒でひときわ楽しかった。早く[bigdog house]を片付けよう。fbのmichio kinoshitaアカウントにほかの写真を8枚アップしています。

雄鶏稲藁

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勝沼ぶらぶら 9。甲斐ワイナリーの小さなワインバーに置かれていたさまざまな鳥のオブジェの一つ。

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木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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