スタッフの妹さんがfbにアップした木の実たくさんの写真に惹かれて初めての小石川植物園。園内にかなりの高低差があって植生の幅が広いのがいい。桜もちょうど散り頃でいい時間を過ごした。帰りに寄った「シチリア屋」はシェフがミラッツォで修行した本格派家庭料理。1年前の旅の思い出が鮮やかによみがえった。
lunetteの裏の少し高くなったところは昔「十二社」という地名だったところで、今も細い路が多く猫もたくさん棲んでいる。そのはずれにある小さな公園にはかなり年季の入った櫻の大木があって花がみごとなうえ人はほとんどいないので独り花見の穴場だ。満開になった後少し風が出てはらはらと散り始めた昼に近くのサラダ屋で仕入れたランチを楽しんだ。花吹雪が感動的だったので珍しくスマホ動画を撮ってみた。花びらが何枚もロメインレタスにからんだ。
東急東横線の中目黒駅上りプラットフォーム最前部から撮った目黒川の桜。下界は歩くのに難渋するほどの大賑わいだがここからは咲き誇る花の中心に近いアイレベルで純粋に愛でることができる。ベンチもあって呑めないことはないがみんなスマホをかざしているだけ。警備員の声がけはうるさい。
大学の設計演習課題の敷地を東京の水系沿いから選ぶことにしようと思いついて過日の教室会議で承認を得た。第3クォーターの課題なのだが敷地候補の下見を兼ねて「お花見クルーズ」に参加してみた。日本橋の袂から乗船してうっとおしい高速道路の下を抜けて少し進んで隅田川を下って東に折れると桜の名所大横川。ここからは和船も漕ぎ出ている。常日頃と違った視点から眺める桜を堪能した。都市もいつもとは違う視点で捉えてみると新しい展開が生まれやすいに違いない。
今年は桜がいつもよりも少し早く開いて冷え込みもほとんどなかったから花見にはよかった。満開もいいが散り始めてからのはらはらした風情がまた桜らしくていい。日本橋の高速道路脇にも桜があって船着き場には花筏。粋な呼び名だなあ。
杉本博司の写真作品は「夏至光遥拝ギャラリー」に置かれている。水平線を撮った写真7点。大谷石の壁に沿う100mの長さのリニアな空間と江之浦の自然を仕切っているのは枠もなく自立しているガラスだけ。両端にある扉も、ガラスの手摺も実にスマートにおさめられていて自律的にただそこに在る。写真の水平線の連続の先には相模湾の水平線が在る。江之浦測候所での豊かな時間には建築とは何かという自らへの問いがしつこく付きまとっていた。なにはともあれ杉本さんの英断に敬服。
コルテン鋼の「花道」が円形劇場を突き抜ける脇にふっと出現する石室のような空間は好きだ。「花道」に正対する壁に全身が写る鏡面が在って手前直ぐの天井には正方形の明り取りが穿たれている。二人でいればここでツーショットを撮るのが成行きだ。異なる時空に自分たちがいるかのような映像が残る。おもしろい。