臨海公園、海浜公園にも「鳥おじさん」がたくさんいた。三脚に望遠レンズの本格派が例外なく男一人なのがおもしろい。顔見知りも少なくないようだし連日通っている人も多いようだ。リタイア後の時間の使い方の一つとして定着しているのだろう。青春18きっぷ旅もそうだったなあ。同年輩のカップル2,3組は一眼レフどまり、望遠レンズを抱えた「鳥おばさん」をやっと見つけたけれど三脚はなしなど、つまらないことに関心が行っているのに苦笑。こちらはたかだかコンデジだけれどセキレイの背景に枯茶色を選んで写真として仕上げることができる。ハクセキレイMotacilla alba lugensスズメ目セキレイ科セキレイ属。white wagtail。
アオアシシギに夢中になっているとシラサギが葦の陰から姿を現した。シラサギは白い鷺の総称で大きさでダイサギ、チュウサギ、コサギと区別するらしいがなんだかつまらない。これはチュウサギだろうか。葦の枯茶色に純白が美しい。そうしているうちに鳥類同好会の学生グループがやってきた。先輩が早速コチドリを見つけて後輩に教えているのだがどう眼を凝らしても私より鳥類発見能力が高い連れにも発見できなかった。悔しい。スズメより少し大きい程度だからこの距離では確かに難しい。チュウサギArdea intermediaペリカン目サギ科アオサギ属。intermediate egret。
鳥類園の池は水辺まで樹木が茂っていてところどころにある観察舎や観察壁の小窓から鳥を眺めるしくみになっている。一羽もいないように見えていても人によっては何羽も見えていたりするから面白い。汽水池を俊敏に駆け回って漁猟している4羽のハト大の鳥も連れに教えられてやっと見えた。初めて出会うアオアシシギだ。不思議なもので一度見えると見失うことはない。4羽の動きにそれぞれ個性があるのも面白くて夢中で何枚もシャッターを切った。
小値賀で撮った鳥はシギの類に違いないと確信した。アオアシシギTringa nebulariaチドリ目シギ科クサシギ属。greenshank。
2月に駆け足で通り過ぎた葛西臨海公園「鳥類園」に行ってみた。淡水池のほかに海水と淡水が混ざった汽水池があってその先は海水だから生態系が多様なのだろう。鳥の世界の向こうに谷口さんのドームがしっくりおさまっている。「汽水」というのは馴染の薄い言葉だ。英語ではbrackish。「汽」は「水気を帯びた」という意味を含んでいるそうだ。
はなみぎわ、いい響きだ。川面に散って水際に漂い着いた花のうたかたの姿を今年の桜シリーズの締めにしよう。儚い樹の影も気に入っている。わたしたちの四季に感謝。
なんといっても花には鳥だ。満開の少し手前くらいの花には鳥が群がって蜜を吸っている。手前にある花や枝が焦点合わせの邪魔をするのでうまく撮るのには根気が必要。この日の新宿御苑の桜はヒヨドリがほとんど。しなやかに伸びるからだが美しい。水辺ではゴイサギとカワウに出会えた。そう言えば今度の朝ドラのヒロインはスズメ(鈴愛)だ。
桜の花が舞い落ちるようすを写真に捉えるのは手持ちカメラではむつかしい。小石川植物園で太い桜の木の樹皮を背景にしてなんとかこんな写真が残った。桜はらはらと言えば高校生のころだったかに観ていたく刺激を受けた吉田喜重の「秋津温泉」を思い出す。舞台となっているのは岡山県北部の奥津温泉。少し北に10km行くと地理でウランが採れると覚えさせられた人形峠がある。この鳥取県との県境がこんなに北よりだったとは。東40kmのところの西粟倉は映画「おだやかな革命」で取り上げられていた間伐材の村だ。行きたいところがたくさんあるな。