エストニアの作曲家ウルマス・シサスクの「赤道の星空」世界初演を秋葉敬浩さん吉岡裕子さんのピアノで聴いた。西洋音楽の枠組みを超えてアラブやアジアの音楽語法も散りばめられた色鮮やかな音楽だった。たかぎひろみちさんのナレーションにもさまざまな地域の物語が登場して興味深かった。中国神話の怪物「渾沌」が道教にも荘子にも登場するそうだがこの音楽全体が「渾沌」なのかもしれない。現代音楽でもないサティでもない新しい音楽と言えるだろう。偶然だがこの一連の写真がよく似合う音楽だ。
最終日ということもあるのだろうけれど盛況で人があふれていた。シンプルな仕組みの膨大な数の重積でできた空間が多様な情景を創り出しているのがすごい。人が背景にいたり手前にいたりする映像もおもしろい。空間に居る人がほとんど例外なく撮影行為を繰り返しているようすは不思議な感じがする。
バード倶楽部野鳥写真展の会場は新宿御苑のインフォメーションセンターだったから、御苑も楽しもうと楽しみにしていたのだが、天気が悪かったのでほかに何かないかなと思ったら、スパイラルの田根さんシチズン展があった。運よく最終日だった。行ってよかった。素晴らしい時間を過ごしてたくさんの写真を撮った。暫くこの時の写真をご覧ください。
シギはかわいい。田圃、干潟、渚など浅く水があるところに姿を現すから、普段の都会の生活で出会うことが無いだけに、余計かわいい。鴫という漢字もあるがこれはタシギにぴったり。いつもはセイタカシギが多い干潟で初めて出会ったこのシギはイソシギかな。
もう最近は[doglog]は鳥ばかりだ(笑)。斎藤さんのリサイタルの打ち上げで知り合ったバード倶楽部野鳥写真展にも出かけた。撮り鳥とはほどよい距離を保ちながらつきあっていきたいという決意に冷や水をかけられるような作品を楽しんだ。驚いたのは会場にいらしたバード倶楽部の会員の一人の娘さんがなんと大学の教え子だったこと。世の中は狭い。縁は面白い。鷺はこうしてうずくまるとまた別の鳥のようにも見える。
古代の中国にも鳥はたくさんいたからそのころできた漢字があるのだそうだが、文化が発達した中国の内陸では大海にいる魚は馴染みがなかったので、魚偏の字は国字がほとんどだそうだ。鳥は旁、魚は偏が多いのはそのあたりの事情なのかもしれない。ただし鵜は元々中国ではペリカンを意味し、「う」は国訓で漢字のウは鸕だそう。よく観ていると鵜はけっこう鳥なつこいようで鷺の近くに寄るのが好きなようだ。鷺の探索から逃れた魚を潜って捕獲するためかもしれない。
カワウとウミウは大きさが少し違う程度で私には見分けがつかない。干潟は塩水だけれどもセンター発行のフライヤーにはカワウしか載っていないからこれはおそらくカワウだろう。偶然離陸?の瞬間が偶然捉えられた。この後海面すれすれを長く滑空して飛び立って行った。日本では鵜飼で使われるウはウミウだそうだ。