谷津干潟自然観察センターにも鳥おじさんはいて干潟の沖の杭に留まっているミサゴを教えてくれた。初見だ。英名のospreyは事故率の高い軍用ヘリの愛称になっている。ミサゴにはなんの罪もない。福祉関係の予算が削られて行くなかで諸費用含めると300億もするF35を100機も買わされたそうだ。オスプレイも17機。だから税金はどんどん増えて行く。
この黒い鳥はオオバン。サギの白とオオバンの黒が白茶けた枯色とよく合う。この鳥に最初に出会ったのは葛西臨海公園公園の野鳥園。湾岸にはほかにも「野鳥の楽園」「三番瀬」がある。鳥に魅入られるまでは知らなかったことだ。古来自然のなかには鳥が棲んでいるのだから私たちの身近には鳥がいてしぜんなのだが近代社会の私たちの住み方はそれを蔑ろにしてきた。今の歳になってやっと鳥に目覚めたのにもわけがあるということだろう。
谷津干潟で一番有名なのがセイタカシギ。長い脚で干潟を歩く様はちょっとしたダンスだ。よく観察すると頭が縦に長い個体もいる。鳥にも個体差が在るのは当然だ。ここは2本の水路で海と繋がっていて干満があるから干潟なのだ。1.5〜2時間のタイムラグがあるそう。経済原則最優先の沿岸埋立のなかで、ここがなんとか残ったのは不幸中の幸いだろう。干潟の陸地側には中層の「マンション」が密集していて、センターからのスカイライン遠景は悲しい。
谷津干潟の自然観察センターに行った。京成の谷津駅から歩いて辿り着く干潟の北端からはぐるっと干潟縁を半周したところに立派な施設がある。干潟に面した横長の大きなガラス窓からは干潟やその手前の葦原の鳥たちを観察することができる。鳥にも時間割があるようでたくさんの鳥でにぎわっていたかと思うと俄かに飛び立って静かになってしまう時もある。
10月に呑川緑道を池上まで歩いた。途中暗渠が開放されて垂直壁水路になって少し行った中原街道の少し手前あたり。カラスがうずくまったハトの傍らにいるのに気づいてカメラを向けるとカラスは飛び去った後の写真。激しく争ったような跡はないが水辺が不自然に濡れている。少し間を置いて戻ったらカラスも戻っていてまた逃げた。今度はハトは水辺から離れて立っていた。カラスがハトを襲ったということなのだろうか。鳥にもそれぞれのドラマがある。自然は過酷だから傷ついた生き物が自力で生き延びるのは難しいかもしれない。
東京で目にするセキレイはほとんどがハクセキレイだが初めてお腹が黄色のセキレイが撮れた。キセキレイのはずだ。「めぐろのいきもの」によると鳴き声はハクセキレイと違うとのこと。英語では何故かyellowでなくgrey wagtail。マナバシラと呼ばれていた頃にお腹は何色だったのだろうか。
事務所の界隈の神田川はもう川の体を成さない巨大な用水路だ。風情は無いかわりに垂直の岸壁から鳥の平面図のようなものを撮ることができるのは思わぬ余禄だろう。ここには冬はたくさんのカモがいて彼らの周りを2,3羽のセキレイがひらひらひょこひょこと飛び回っていることが多い。動きの速いセキレイを真上から撮る機会はそうはないのだがこの日はカモのおかげかうまく写真におさまった。殺風景な用水路の柵に身を寄せて眼下を一心に見つめる高齢者の姿は他人の眼にはあたたかくは写らないかもしれないが僕のハートはあたたかいよ。