2010年にメルシャンの勝沼ワイナリーを設計した縁ですっかり日本ワインのファンになった。せっかくのマイ・ワイナリーなのだからと「プレステージ会員」になって年に12本送られてくる限定ワインを楽しんでいる。1月に届いたのが北信右岸シャルドネ2017 (樽選抜220本)、鴨井寺シラー2016、北信カベルネ・ソーヴィニョン2015。すべて葡萄畑まで明示されている。かなりテロワール度が上がってきているな。いつ誰と飲もうかな。
Sula Vineyards Zinfandel 2017。ムンバイの北東140kmナーシクのワイナリー。Zinfandelはもっぱら北米西海岸でつくられている品種だがプーリアで18世紀から栽培されているPrimitivoと同種だそう。事務所の近くにある南インド料理のCochin Nivasで出会った。カレーに合う酒類はないというのが持論だがワインはいけるかもしれない。品種の特性がうまくででいるとは言えない並の赤が、それぞれ風味が異なる3種のカレーの美味しさを引き立てていた。
Davenport Horsmonden dry white 2017。マンチェスター郊外のDavenport Vineyardsのオーガニックワイン。酸化防止剤表記はない。ロンドン在住の旧友がワイナリーで仕入れて年末に手渡してくれた。ブドウはBacchus, Faber, Huxelrebe, Ortega, Siegerrebeと知らない品種ばかり。ローマ帝国時代にはいいワインはできなかったようだが今は違う。テロワールの効いたある意味でKoshuのようなワインだ。
谷津干潟に白波がたつほどに強い風のなかヒヨドリたちはお気に入りの木の実の樹に群れていて、隙を見ては下の淡水池の淵に降りて水を飲む姿がかわいい。一羽二羽と連れが増えて五羽も並んで水を飲むの圖。
トムヘネガン退任展の東京藝大美術館へは根津駅から坂を上って行った。わざと路地を通り抜けて大学の周りを寺社が取り囲むあたりまで来たところで枯枝にヒヨドリの向こうには月。岡田信一郎設計の陳列館はもうすぐそこ。
青葉台の現場の近く目黒川沿いにまだ残る朽ちた家には立派な柿の木があって熟した実に鳥たちが群がっていた。もう柿の実はほとんど無くなって屋根の上の啄み落としを漁っていたのはちょっと珍しいウズラ。こんなところにもいるんだなあ。樹の下の空地には昼前になると弁当屋の車が入ってきて人々が群がり鳥たちは暫し姿を消す。
2月3日galleryMA。RCR Arquitectes:Geography of Dreams。カタルーニャに根をはやした建築家たちの外連味の無い清々しい展覧会。吉野との深いつながりが丁寧に描かれた映画も見応えがあった。大地の色を滲ませたかのような手漉きの和紙が無数に吊り下げられた空間に私は「紙舗直」を連想した。もう30年くらい前にその紙の世界を知るきっかけをつくってくれた元ワークショップスタッフとその会場で出会ったのはただの偶然なのだろうか。会場の開口部のガラスが模型の上にたまたま造り出した虹のラインが似合っていた。