春節が過ぎて山珍居に潤餅(ルンピィアー)が登場。包餅(小麦粉でつくったクレープのような皮)で野菜を巻いたもので、中華料理屋の春巻とはまったくの別物。中に砂糖まみれの落花生の粉片が入っていて、食感・味覚とも台湾です。ベトナム式生春巻ともかなり違います。大将自ら巻きたてを運んできてくださいました。気持が大切な一品。春なのですね。ランチとは言え潤餅だけでは足りない抑えの魯肉飯 (肉そぼろ煮込み丼)が出てきてびっくり。初めて、でした。レタスとの取り合わせがよく美味。なぜ今までパスしていたのでしょう。


そう言えば、包餅は[HEARTLAND]に続いたビア・マーケット・シリーズ[DOMA]の名物料理だったなあ。
1986年の[HEARTLAND]「穴ぐら」「つた館」以来の永いおつきあいだったキリンビールの塩見さんが急逝されたのは3年前の1月でした。1995年の彼の結婚のお祝いに集まって飲み明かした仲間がその同じ処に集まって思い出を語り合いました。この一連のおつきあいには数限りない出会いがありましたが、その一つがチェコ出身の音楽家Iva Bittováとの出会い。ワークショップ時代に宇田川町のラブホテル街入口に設計したワインのパイロット・ショップ[from DANCE]で演奏してもらったのです。衝撃的表現力でした。仕掛け人の田村光男さんが当時制作したCD ”River of Milk”は私の宝物のひとつです。灯台もと暗し。彼女は去年「土と水の芸術祭」に来日し、田村さんによれば、夕暮れの信濃川縁で「演奏し唄い、踊り、話しかけ、そのまま人々を引き連れて夕焼けの空へ舞去って行くようでした」とのこと。貴重な機会を逃してしまっていました。アンテナは磨いているつもりだったのだけどなあ。偲ぶ会の準備でメールをやり取りしている最中にふとパソコンにほぼ20年ぶりに現れたIva Bittová。彼女の新作がいつもチェックしている
ECMのサイトの表紙になっていたのです。びっくりしました。大きくなっているのですね。途切れかけていた20年来の輪が繋がりました。塩見さんに感謝。写真はこの宴のために〆鯖をつくっているところの圖。塩麹の力を借りた塩鰹の方ができがよかったかな。

[doghouse]の中のハウス。クレートと呼ばれるプラスチック製のケージがマルの住処になっていて、夜はここで眠っています。人間世界では聴きなれない言葉ですが、荷づくりの箱を表す英語crateからきているようです。何にせよハウスがあるのは幸せです。叱られて「ハウス!」と言われるとここに退散するわけですが、自らすすんで引き籠っていることもあります。私もこういう狭いところは好きです。目聡く食物を見つけて腹におさめてしまうところはラブラドール譲りですから、目は離せません。85cmの高さのサービスカウンターの上にあったはずのパンがなくなったという騒ぎがありましたが、マルの仕業に違いありません。

新宿駅から通い抜ける凛と冷えた中央公園。普段は園内を走ることのないトラックが姿を現しホームレスの住処の残骸を運んでいました。警察権力が介入するわけでもない静謐な退去。随所に個々の資産がまとめられていて、移動手段を有する人は準備を完了。虫じゃあるまいしもう少し暖かくなってからでもいいのでは。

