Mozia

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Sicilia series。甘いワインで有名なマルサラの湾に浮かぶ小さな島モツィアは紀元前8世紀から1000年くらいのあいだフェニキア人の都市だったのが近年の発掘調査でわかってきた。島の対岸には古くから製塩所があって風車などが復元され実際に製塩も行われている。天日干しの塩の山の雨よけが瓦なのが面白い。製塩所の脇から小舟で10分くらいで遺跡の島に着く。野口教授がここは癒されると感無量だった。そう歴史の研究者なのだ。島にいた犬はどう見てもコイケルホンディエ。パレルモの公園でも同種の犬に出会って、思わず飼い主に「kooikerhondje?」と英語?で尋ねたら「犬」とイタリア語で返されてしまった(笑)。

よかった

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最近は大好きな虎だってテレビ観戦は皆無だしテレビでサッカーなんてこともないのだが、4年ごとに俄かサッカーファンになる。録画しておいて情報をシャットアウトして帰って即寝て早起きして観る。薄氷のトーナメント進出、よかった。今日はこれからゼミ旅行。京都に向かっている。

土地 テロワール 旬

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勝沼逍遥。ディナーは「ミルプランタン」を選んだ。設計したワイナリーがオープンする時にお世話になったシェフの店だ。設計監理の仕事の前に事業策定の仕事を受注していて、その段階で営業、宣伝、企画、醸造、資材などメルシャンの多様な社員からなるチームをつくってもらい、私もその一員となってチームとして会社に事業計画案を答申した。ワイナリー事業のすべてを考えるわけだからその中のレストランのメニューにまで首をつっこんだ。ほとんどが醸造の現場の人たちから教わったことがヒントになっているのだが、例えば赤ワイン醸造の時に使う卵の白身のあまりの黄身を使ったカヌレ、葡萄の若葉のフライ、間引かれた青い葡萄の実を絞ってつくるドレッシング、まわりの山にたくさん棲息する鹿料理などなど。採用されたものは実はないのだけれど、その議論の過程の中で「土地の恵み」が大切であることを学んだ。そう言えばワインそのものが「土地の恵み=テロワール」だけから生まれる稀有な酒だ。期待通り「ミルプランタン」のメニューも土地の旬の素材の持ち味を巧みに引き出していた。写真は土地で獲れた野菜をキャセロールで蒸し焼きにしたもの。青紫色のブロッコリーを使うことで見事な彩りの一皿にしたところは技あり。ワインは赤にしたかったのでボルドーの手頃なものにした。日が落ちた後の山ぎわの青が美しかった。駅で燕のつがいに見送られて列車に乗った。幸せでいっぱいでもうワインはほとんど要らなかった。

清流 やまなし 宮沢賢治

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勝沼逍遥。勝沼は緩やかな傾斜で水はけがよく周囲の山から流れ落ちてくる水が豊富だ。大きな日川と並行しておそらく用水路が起源だと思われる水量の多い小さな川が幾条もある。そんな川の一つに面した気持ちの良いテラスのあるワイナリーが「勝沼醸造」。川の向こうに垣根式の葡萄畑がひろがっているからついワインも進んでしまう。有料試飲8種のうち6種が甲州なのがうれしい。赤は山葡萄系の小公子と私が苦手なマスカット・ベーリーA。白の甲州に次ぐ赤の日本在来種の成長が望まれる。帰りの車内用に小公子をゲット。ディナーまでにはまだ時間があるのでワイナリーもう一軒と思った手の先にいい印刷物があった。勝沼界隈で食・酒・宿泊・アートを楽しめる古民家を集めた「山梨古民家倶楽部」の冊子。勝沼醸造、原茂、丸藤に並んで「くらむぼんワイン」が載っている。このワイナリーの変な名には好印象を持っていなかったのだが、冊子に宮沢賢治の童話に由来するとあって、調べてみたら童話「やまなし」の動画に行き当たった。清流に棲む蟹がつぶやく言葉が「くらむぼん」。カムパネルラ、ザネリ、宮沢賢治の得意技だ。蟹は泳いでいる魚が翡翠に捕食される瞬間を目にする。動画でのこの瞬間は印象的だ。「自然環境と人間の共存を目指すワイナリー」だからこそのネーミングなのだと知れば行かないわけにはいかない。訪ねてわかった、2014年までは「山梨ワイン」だったから耳慣れなかったのだ。新参ではなく1913年開業。リリースされたばかりの蟹のエチケットの甲州と天然酵母無濾過の甲州を試飲して後者を選んだ。靴を脱ぎ座敷で寛いだ時間もよかった。勝沼は着実に成長している。

酒石 シチリア 四季島

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勝沼逍遥。「勝沼ワイナリー」で店長に薦められて急遽「丸藤葡萄酒」を訪ねることにした。勝沼は日本のワインづくりの原点と言える場所で、歴史ある醸造所も多い。ここも1890年創業で見学した施設の特に地下部分には永い歴史が刻み込まれている。壜貯蔵庫の壁には無数の酒石が付着してきらきらしているのだが、もともと貯酒のためのコンクリートタンクだったのをリニューアルしたからだそうだ。ここではびっくりするような出会いがあった。なんと施設見学一行数名の一人がこの5月のシチリアの旅のメンバーだったのだ。念のため申し添えておくとシチリアは建築の旅でワインの旅ではない。たいがいのワイナリーでワインは飲めるけれど食事まで提供してくれるところはそう多くはない。ランチは葡萄畑を数分歩いて「ルミエール」のレストランへ。グルテンフリーにも細やかに対応してくれる。甲州をマセラシオン醸造した「オレンジワイン」がぴったりのランチだった。豪華列車「四季島」1泊2日クルーズは塩山で途中下車してここでワインセミナーだそうだ。参考までに最廉価室で2人64万円、雲の上だ。往路の車窓に多数群がっていた撮り鉄のターゲットは「四季島」だったのだ。次は塩山停車中の「四季島」をカメラに収めよう(笑)。

鳥 ワイン 鉄道

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勝沼逍遥。山々に囲まれた平らな盆地に湖に浮かぶ島のように存在する小さな岩山の頂部にワイン蔵+温泉+宿「ぶどうの丘」がある。勝沼町だった1975年につくられ今は甲州市営。予約が取れないので定評があり今年も12月まで休前日は満室。現場に通い始めた10年前から幾度となく宿の予約を試みて初めて今回泊まることができた。標高は500mで麓の平地とは120mの高低差があるから眺めはいい。西側にある露天風呂からの夕景はみごとだ。地盤面から120mの高さで空の下の湯につかるのは格別で夕夜朝と天空を楽しんだ。アイレベルを鳥たちが飛び交う様を撮影できないのは残念(笑)。東向きの客室の窓の正面に一面の葡萄畑と近くに迫る山並みとがあるのは常ならぬ眺めだ。点在する民家にあと僅かでも文化的統一感があれば絶景と言えただろうと惜しまれる。街並みも景観も地域の共有の資産であるという認識が将来の日本をつくることになるのだろう。今でも望遠レンズで激しくトリミングしてしまえばまだまだ映えどころはある。勝沼ぶどう郷駅は標高がほぼ同じで盆地の周縁部を南から北へ下りながら駆け抜けていく中央本線の車輛がジオラマのように楽しめる。

漁街

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Sicilia series。高台にある旧市街の下には漁港沿いにできた新しい町があって、現在のシャッカは水産加工の町として有名になっている。イタリア産のアンチョビはほとんどここで加工されているはずだ。陣内さんの本に実測図が載っているコルティーレ・カリーニの入口の脇の小さな店でマグロの瓶詰に出会えたのは野口教授のおかげだ。右上の写真左がアーティチョークとマグロのパテ、真中がボッタールガのパテ。十数年前に谷内田さんにお土産に買ってきてもらった塊のボッタールガは、その後の黒マグロ情勢激変のせいか、今回の旅でも見つけられなかった。漁港の脇に水産品マーケットを見つけたのだが開店中にアクセスできなかったのが悔やまれる。ここならあったかもしれない。

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木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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