最近は大好きな虎だってテレビ観戦は皆無だしテレビでサッカーなんてこともないのだが、4年ごとに俄かサッカーファンになる。録画しておいて情報をシャットアウトして帰って即寝て早起きして観る。薄氷のトーナメント進出、よかった。今日はこれからゼミ旅行。京都に向かっている。
勝沼逍遥。ディナーは
「ミルプランタン」を選んだ。設計したワイナリーがオープンする時にお世話になったシェフの店だ。設計監理の仕事の前に事業策定の仕事を受注していて、その段階で営業、宣伝、企画、醸造、資材などメルシャンの多様な社員からなるチームをつくってもらい、私もその一員となってチームとして会社に事業計画案を答申した。ワイナリー事業のすべてを考えるわけだからその中のレストランのメニューにまで首をつっこんだ。ほとんどが醸造の現場の人たちから教わったことがヒントになっているのだが、例えば赤ワイン醸造の時に使う卵の白身のあまりの黄身を使ったカヌレ、葡萄の若葉のフライ、間引かれた青い葡萄の実を絞ってつくるドレッシング、まわりの山にたくさん棲息する鹿料理などなど。採用されたものは実はないのだけれど、その議論の過程の中で「土地の恵み」が大切であることを学んだ。そう言えばワインそのものが「土地の恵み=テロワール」だけから生まれる稀有な酒だ。期待通り「ミルプランタン」のメニューも土地の旬の素材の持ち味を巧みに引き出していた。写真は土地で獲れた野菜をキャセロールで蒸し焼きにしたもの。青紫色のブロッコリーを使うことで見事な彩りの一皿にしたところは技あり。ワインは赤にしたかったのでボルドーの手頃なものにした。日が落ちた後の山ぎわの青が美しかった。駅で燕のつがいに見送られて列車に乗った。幸せでいっぱいでもうワインはほとんど要らなかった。
勝沼逍遥。勝沼は緩やかな傾斜で水はけがよく周囲の山から流れ落ちてくる水が豊富だ。大きな日川と並行しておそらく用水路が起源だと思われる水量の多い小さな川が幾条もある。そんな川の一つに面した気持ちの良いテラスのあるワイナリーが「勝沼醸造」。川の向こうに垣根式の葡萄畑がひろがっているからついワインも進んでしまう。有料試飲8種のうち6種が甲州なのがうれしい。赤は山葡萄系の小公子と私が苦手なマスカット・ベーリーA。白の甲州に次ぐ赤の日本在来種の成長が望まれる。帰りの車内用に小公子をゲット。ディナーまでにはまだ時間があるのでワイナリーもう一軒と思った手の先にいい印刷物があった。勝沼界隈で食・酒・宿泊・アートを楽しめる古民家を集めた「山梨古民家倶楽部」の冊子。勝沼醸造、原茂、丸藤に並んで「くらむぼんワイン」が載っている。このワイナリーの変な名には好印象を持っていなかったのだが、冊子に宮沢賢治の童話に由来するとあって、調べてみたら
童話「やまなし」の動画に行き当たった。清流に棲む蟹がつぶやく言葉が「くらむぼん」。カムパネルラ、ザネリ、宮沢賢治の得意技だ。蟹は泳いでいる魚が翡翠に捕食される瞬間を目にする。動画でのこの瞬間は印象的だ。「自然環境と人間の共存を目指すワイナリー」だからこそのネーミングなのだと知れば行かないわけにはいかない。訪ねてわかった、2014年までは「山梨ワイン」だったから耳慣れなかったのだ。新参ではなく1913年開業。リリースされたばかりの蟹のエチケットの甲州と天然酵母無濾過の甲州を試飲して後者を選んだ。靴を脱ぎ座敷で寛いだ時間もよかった。勝沼は着実に成長している。
[二軒家アパートメント]ペントハウス[403]でスライド会。シチリア土産のチーズの出番がないほどのごちそうでジロールだけが役に立ちました。
2年ほど前、阿部勤さんのフェイスブックに「涼子が帰ってきた」で始まる一連のコメントが連載された。夢の中のはなしであるとの断り書きがどこかに消えてしまうほどのリアリティに弄ばれて涼子はラブラドールのトンボと共に私の中で一人歩きをし始めた。犬の散歩のために訪れるイケメンの韓国人青年には疎ましささえ感じた。その時に阿部自邸の「中心のある家」で撮影が行われていた映画「蝶の眠り」がやっと公開された。2度空間体験をさせていただいているあの魅力的な建築空間で撮影された映画を観ないわけにはいかない。主演は中山美穂で私の理解では彼女はアイドルだし、タイトルには甘い抒情が漂っていて、ポスターなどからも軟弱なメロドラマの感じがする。ま、建築を観るのだな、と覚悟していたのだが、見応えのあるいい映画だった。全篇を通して「中心のある家」が登場するから主役は建築かもしれない。あの建築が映画の舞台として魅力的なのは、積み重ねられた永い時間が丁寧に写し取られているからだと思う。川崎毅の陶芸の街(写真:2017年に阿部勤宅で撮影)もさりげなく登場。安心して眠っているさまを韓国語で「蝶の眠り」と言う、と映画の中で種明かしされる。主題は重苦しいけれども、記憶を失くした人や動物たちが集まる森が遠くにあって、そこではかつて愛し合った相手のことは分かるという一抹の救いも用意されている。上映は明日17日までらしい。
Sicilia series。母が好きな蛙の置物を旅の隙間に探すのを楽しみにしている。黒曜石が採れるリパーリ島でふと立ち寄った店に黒い蛙がいたのはラッキーだった。陶器で有名なカルタジローネでは同僚の
小川先生から譲り受けた蛙を彷彿とさせる一群に出会いはしたのだが彼らは大きな壺の淵にくっついていた。
Sicilia series。ミラッツォの北の地中海に浮かぶエオリエ諸島の一つが火山で有名なストロンボリ。どういうわけか長男が小さいころ火山が好きで学習に付き合わされて名前を鮮明に覚えている。1991年6月に普賢岳の溶岩流で亡くなったクラフト夫妻の原点がストロンボリだそうだ。現在も火山として活動中で丘の上の城跡から望遠で捉えた写真に写っている雲のようなモノは噴煙のはずだ。
学芸大学に集合住宅が竣工した縁でずーっと前から行きたかった[ri.carica]に立て続けに3回も通った。旬の食材、自然派ワイン、気の利くスタッフ、いい店だ。ri caricaはイタリア語で再充電という意味だそう。都立大学の2号店は [carica. ri]、近くの3号店は[あつあつri.carica]とおもしろい。珍しいイタリアのイワシ缶詰に店で出会った直後にシチリアのシャッカで同類品を見つけて、重たいのを持ち帰った。こっちはイワシの塩漬けだった。
Sicilia series。シチリアの都市はどこも個性がある。電信柱、看板、コンビニがない。地域性から遠いどこにでもあるアイコンの類が見当たらないのも幸いしているのだろう。カメラに収めたくなる場面が無数にある。ランダッツォの市庁舎の歴史を刻む開口部にはめ込まれた現代的なサッシには中庭のアーチや窓の実像もあれば広場の反対側の街並みの虚像も重なっている。反対側から街を撮った写真は実像のみだがガラスのひび割れが重なっている。写真は意外にモノを言う。
私たちが設計した[orange house]201が空きました。光が丘公園近くのミニマリズム空間です。廊下や玄関がないので面積の割に広いスペースを楽しめます。小さなアクセス・バルコニー付。たくさん実のなる夏蜜柑の木がシンボルツリーです。住んでみたい方は
tpoのサイトへ。寝室に入口が2つあって2人でシェアすることもできます。極限の2LDKでもあります。屋上のルーフテラスも利用することができます。どうでもいいことかもしれませんし、個人情報保護の上では問題がないとは言えないコメントかもしれませんが、歴代のお二人の居住者は新しい伴侶ができたことで転居されたのだそうです。
西鉄時代からのライオンズファンが西武球場のダグアウトテラステーブルを予約してくれて虎見物に出かけた。無死1,3塁でダブルスチールを決められ一死も取れずに得点されてしまうような素人野球で、予想どおりの惨敗だったが、屋根付きアウトドアの野球空間が気持ちよく、5人で卓を囲む宴は楽しかった。東京ドームの巨大な人工空間とは好対照だし負ける相手が讀賣でないのが何より。ボールパークは本来は露天で天然芝であるべきだと思うが、ここは人工芝のデメリットを活かして試合後の球場を開放しているのが楽しそうだった。藤浪の復調の兆しがあったのが虎の唯一の成果か。
Sicilia series。旅の楽しみの一つはその地の食。今回のシチリアでの最初の食事がカターニャのトラットリアのじゃがいも料理。じゃがいもの産地らしくどこでもよく出てきたが、いきなりの二連発にびっくり。左から牝豚の団子、干し鱈メッシーナ風だけれど大量のじゃがいもが共通している。こうして並べてみても大差なく見える。牝豚が美味しいのだそうでシチリアでははっきり区別されている。東京のスーパーで豚の性別が明記されていた記憶はない。素材の持ち味で勝負する家庭料理といった感じで、期待通りではあるのだが量が多いのにはこまった。
6月6日(水)13時〜18時
学芸大学に竣工した地下1階地上3階11ユニットの集合住宅の[modelia]による披露会が開かれます。飲み物等も用意していただいているようですので建築の雰囲気を気軽に体験していただけるかもしれません。私も現地におります。外観写真は集合玄関とその両側の地下長屋ユニット入口です。
Sicilia series。シチリアの中で大都市に入るカターニャとパレルモで目についたのが柔らかい紫色の花を咲かせるジャカランダ。オーストラリアもこの花で有名なのだそうで40年以上前のオーストラリア旅で見た記憶はあるのだが何故か紅い花として私の脳が覚えていた。
Sicilia series。シチリアでも鳥のつがいは仲良しだ。ソルントの丘の上の遺跡のシチリア独特の植物に留まっているのはカターニャの屋根の上のハトとは違う。
Sicilia series。なんだスズメか、と言ってはいけない(笑)。シチリアスズメもどこにでもいたけれどモツィア島で写ったこの写真を見ると確かにシチリアスズメだ。パレルモ考古学博物館中庭にいたツグミのような鳥はクロウタドリの雌のようだ。鳥は雄の方が派手な色合いで歌もうまい。
Sicilia series。ツバメもどこにでもいるけれど留まっている姿はなかなか撮れない。ミラッツォで電線に留まっている姿を見ると日本のとは趣が違う。カターニャで上空を群れ飛んでいるのもツバメだ。