山下公園の水辺にはいろいろな鳥が群れをなして浮いていてのどかだ。うねりがありながらも穏やかな海面を背景として切り取ると、生き物の愛おしさがひときわ引き立つような気がする。キンクロハジロが属するカモ科ハジロ属の英名はdiving duck。ふっと海中に姿を消すと思わぬところにかなり間を置いて姿を現す。見ていて飽きない。
非常勤講師をしている日大生産工学部は津田沼の郊外にあってキャンパスには木もそこそこに育っているから鳥がたくさんいる。足早に教室に向かうなかでの咄嗟の写真は望遠コンデジでないと撮れない。シジュウカラが撮れたのは久しぶりだ。そう言えば高校同期の脳クリニックのキャッチフレーズは「脳は四十から」。
渋谷での東横線とJRの乗換の経路があまりにも不条理なので渋谷と事務所の間は定期券を買わずにフレキシブルにした。運動になるのは間違いなくJR経由なので往きは階段5階登りを楽しんでいるがたまたま副都心線内急行に乗り合わせると渋谷の次は新宿三丁目。この日は乗換のタイミングで一番後ろになったので歩きは中野坂上から。神田川に架かる橋で出会ったのは調理済みの魚と格闘中のカモメで暫く撮影タイム。上から狙っているのが気になるらしく首を気味悪く回転させて視認していました。ユリカモメとは違う。
夕暮れの洗足池に姿を現し水辺を歩きながらなにやら捕食していたコサギ。オオサギなどを含めてシラサギと呼ばれている。純白ゆえに目立つことには慣れているせいか警戒心が薄いようだ。鳥にしては珍しく終始単独行動だった。
スリランカ原産のワカケホンセイインコ。ペットとして輸出されたのが解放されて世界中あちこちで野生化しているそう。新宿御苑、洗足池、めぐろ区民キャンパスで見かけたことがあるし愛読冊子「めぐろのいきもの」にも載っている。2007年の
アーメダバードの階段井戸では写真に捉えている。ワカケダンスと呼ばれる不思議な集団挙動が面白いとのこと。この派手さはここの植生には合わないな。
17年前に竣工した「伊豆高原の家」を再訪する機会を得た。想定されていた宿泊容態が軌道修正されたほかは増改築もなく成長し続けているさまを確認。まわりの林には東京では珍しい鳥がいろいろといる。運よくカメラにおさまったのはコゲラのようだ。伊豆高原に通うことになりそうな成行きなので[bigdog house]の車庫に車が入れられるように断捨離ミッションを加速させよう(笑)。
雪。[bigdog house]の1階からの登り庭の眺め。犬は喜ぶだろうな。東京は48年振りの寒さだという。[bigdog house]にとっての最低気温のせいか深夜電力による貯湯式給湯が停止。今日中に復旧できるかな?
雪。パーシモンホール西側の並木。モノトーンの中央にかすかな緑。
葉の落ちたプラタナス並木の冬。AKB的に言えば鈴懸の木。私的には子供の頃聞いた「鈴懸の径」のクラリネットを思い出す。スズカケノキPlatanus orientalis。葉が繁っている頃にこのあたりでワカケホンセイインコの大群を見たことがある。今はどこに潜んでいるのだろう。陽が落ちるとからだも冷えてくるから御苑近くの行きつけの店での鍋を楽しみにしていたのだが土曜5時なのに満席。こういうのは堪える(笑)。
冬の新宿御苑は閉園時刻の4時半になると日が沈みかけている。くっきりと澄んだ冬の夕暮れが美しい。右端に不愉快な物体が写ってしまったのは間違いだが戒めのために切り取らずに置いた。
Sundown, yellow moon, I replay the past
と唄われるDylanの悲恋の歌のアウトテイクが収録されるはずの待望のbootleg seriesは今年出るのだろうか。
枯枝にきりっと輝く黄色はカリンの実。色味をほとんどなくした新宿御苑で遠くから目を引く。これも中国由来で英名はChinese quince中国マルメロ。学名Pseudocydoniaは偽マルメロの意。植物分類も西洋に仕切られている。近くの日当たりのいいベンチで龍野土産の最中を食べた。ほんのりと醤油風味なのはヒガシマル醤油の縁。西洋とは違う味わい。
透明感のある黄色が新宿御苑のモノトーンに消え入りそうな奥ゆかしいソシンロウバイ素心蝋梅。ロウバイ、蝋梅、唐梅、唐から渡ってきたのだ。英名はwinter sweetこれはいい感じ。バラ目サクラ属ではなくクスノキ目ロウバイ属。臘梅は晩冬の季語だそう、日本語も奥ゆかしい。
新宿御苑によく行く。冬は人出が少なめなのがいい。池に氷が張るほどの寒さでも鳥たちは元気だし葉が落ちているので挙動を掴みやすい。思った以上に花も咲いている。午後の西陽を受けた水仙群生の黄色が紛れていない白無垢に見とれた。地中海原産のフサザキスイセンの一種に付けられたpaper whiteという名は趣きには欠ける。
うちの事務所には教え子が3人いる。いつものように火曜日のランチに[lunette]に行ってカウンターが混んでいたので一人でテーブル席へ座っていると19期と18期がそろってやってきた。18期がすかさず23期に誘いの電話を入れて幸せな4人ランチ。知らないうちにチームワークも固まってきているようだ。コミュニケーションはたいせつだなあ。[lunette]には女の子に人気の独特な雰囲気があってここで愛を育みながら幸せになったカップルが知っているだけで3組もいる。
山下公園からみなとみらいまでシーバスseabassに乗ってみた。海側から街を眺めるのは新鮮だ。特に大さん橋のこのアングルは珍しい。この船のアイレベルが海面にかなり近く設定されているのも良い。鴎や鵜が時々波の上を横切っていく。一方、船着き場に流れている大音響の音楽は邪魔以外の何物でもない。悲しい。
横浜の水辺に遊園地はいらない。こういうことを社会が平気で許すから、私たちの国の観光は二流から抜けられないのだ。その遊園地の中の夜には光害を放ち続けている観覧車には乗るまいと思っていたが、もう何十年も乗っていない乗り物だから特別に乗ってみることにした。木曜日はその観覧車の定休日になっていてネットでも「本日休業」だったおかげでまったく並ばずに乗れた。上がっていくと富士山が見えた。日経新聞日曜版のなんでもランキング「個性派観覧車」では堂々の1位に選ばれている。
一度気に入ると繰り返し通い続ける習性は昔から変わらない。だから中華街の粥は「安記」。路地にちょっと入ったところにひっそりと変わらず在る。巷の今の流れは別の店にあるから行列まではできないので幸いしている。「時菜粥」という字に惹かれて「やさい粥」を選んだ。レタスのシャキシャキ感がうれしい。幸せな朝食。
正月に高校同期と中華街は恒例。こうして時間を過ごす友がいるのは幸せだ。横浜の中華街は長崎に比べてもかなり広いから表裏だけではなくさまざまな表情がある。この写真の関帝廟の通りを東に行ったところにある「新楽」は学生時代に通った中華食堂。あの当時は中華丼とラーメンというような食べ方をしていた。そこには戻れないな(笑)。
かわいい里の鳥が出たついでにかわいい海の鳥。背景は正月の大さん橋に停泊するasuka。横浜らしい写真になった。海辺にはたくさんの鴎がいて、内緒で餌をもらうのを楽しみにしているのだが、激しく鳴き飛び群れるのですぐに摘発される。写真を撮るのも共同正犯だとは思うが我を忘れるほど面白い。アップするのは控えておこう(笑)。
中目黒の現場に歩いて行く経路が決まった。柿の木坂―野沢交番―下馬通り―蛇崩川緑道。3.5km35分。行程の3/5くらいはバス通りなのだが後半の緑道のたくさんの鳥に惹かれて前半の足取りは軽い。元旦に出会ったところの近くで今回も鶯を見つけたと思ったがジョウビタキの雌のようだ。かわいい。下馬通りではなく蛇崩通りにする手もあるが始まりが駒沢通りになるし距離は僅かながら増える。この路は初期ワークショップ時代に車やバイクで通った経路。ピシピシと細かく折れているものだから北山さんが絶妙な名前を付けたがここには書けない(笑)。今日は居住空間コースの宮脇賞選考会。1年間の最優秀作品を全学年から選ぶ。去年のゲスト審査員は北山さんだった。
広場では子供連れが凧揚げを楽しんでいる。小振りな洋タコほどの正月風情。
競技場では高校サッカー試合中。Jリーグ並とまではいかないけれど応援の歌が聞こえる。
母が寝込んだ正月休みは[bigdog house]に缶詰め。からだを動かしに2日は近くの駒沢公園一周。この塔は好き。駒沢公園管制塔(芦原義信1964)。「外部空間の設計」を想い出しながら撮った全景写真。
田原桂一・田中泯の原美術館で出会ったマウスパッド。マウスは外袋でマウスパッド本体の内側の微量の液体の中に猫が5匹。挙動が動物っぽくて面白い。
居住空間コース渡辺研亀井研ゼミ旅行の金比羅山で求めたお守り。神頼みはしないのが原則なのだが、戌年だから、いいじゃないですか。15年目の居住、いろいろとお世話になっています。見回してみれば渡辺教授の縁、大きい。
居住空間コースのマスコット渡辺教授は「未来工房」でのモノづくりが好き。年末にはHeartlandの空壜を800℃で焼成したオブジェをいただいた。ガラスにエンボスされたラベルがセンターからズレているのも味わい深い。上に乗っている透明の犬指輪も彼の作品。ありがとう。居住の人の繋がりも大きいな。
キリンビールのHeartlandが1986年に誕生する時にWorkshopとしてパイロットショップの設計に携わった。社名を前面に出さずCMを打たないという戦略は画期的でそれだから「若手無名」建築家とした私たちが選ばれた。六本木の期間限定店舗は大成功をおさめ幸せなことにその後もマスコミに露出せずに僅かずつ売り上げを伸ばしながら30年以上を経た今もHeartlandはマーケットに在る。その時に生まれた人の繋がりは思った以上に大きいしマイビールは変わらずHeartlandだ。去年当たった特製グラスで新春に乾杯。開業時の手作りジョッキが懐かしいなあ。横にいるのは一昨年熊澤酒造で出会った犬。
iPhoneの計測ではあるのだが2017年は1日平均8.1km歩いた。休みに入ってからは母が体調を崩していることもあって家に籠りがちになっているので現場巡りの散歩に出た。学芸大学、中目黒、青葉台とすべてが通勤経路の東横線沿線である。歩き飽きたらどこからでも定期という気楽な気持ちだったのだが晴天静謐な街歩きは思った以上に面白くて結局往復歩き通した。経路には建築家の仕事がいっぱい。特に下馬界隈の密度はすごい。中目黒下馬間は暗渠が遊歩道になっていて快適。中目黒の現場に歩いて行くのもありだな。距離的には洗足池とほぼ同じだ。遊歩道でウグイスを撮ったと思ったがジョウビタキの雌のようだ。鳴き声は何度も聞いているが姿を見たのは初めて。新春早々大収穫。
陣内さんの法政大学最終講義に先立つ対談シリーズで東京の川の話が出てきてネットで日本橋クルーズに出会った。日本橋から神田川を巡るコースが興味深いのだが、海の方へ回る「クリスマス・クルーズ」に先ずは参加してみた。船着き場は日本橋。浅はかな土木行政の証である高速道路の下から船が出るのは戒めのためによし。2020年着工で高速道路を川の下に埋める計画だそうだが、過ちを認めて元に戻す姿勢は評価できる。人口も減るのだし除去するだけが最善だと思う。除去に反対する声も少なくないようなのが恐ろしい。出航の5時にはもう完全に日が落ちていて橋と街の灯りだけがきらきらと美しい。屋根付きの予定だった船が都合で屋根無しになって、クルーズ会社は平謝りでチケット代も5/7に減額してくれたが、水の上の空間を満喫できて私たちにはこちらの方がよかった。陣内さんが嘆いていたとおり楽しそうな水辺空間は日本橋界隈を除くとほとんどないが、持ち込んだ赤を飲みながら川風に吹かれるのは楽しいものだ。10月6日の移転が決まった築地の海辺の灯もきれいだった。余談だが今年2日しか予約できなかったお気に入りの魚の店の予約の一つが10月16日でキャンセルが確実。ついていないこともある。facebookのMichio Kinoshitaアカウントに橋の写真を何枚かアップしています。
新年。つちのえいぬ、音読みはぼじゅつ。ほかならぬ戌年。私が犬好きになった理由を谷内田さんが暮れのsometimeで正確に語ってくれた。大学1年の時に始めた家庭教師先で出会ったアフガンハウンドのボンちゃんは教えているあいだ優雅に私たちの傍にいた。それが始まりだ。今年の年賀状を仕切ってくれたスタッフが校了直前に犬は入れなくていいのですかと気遣ってくれたが、必要な犬は手で描くことにした。戌年とは無関係だが仕事納めのあと少し時間ができてアレックス・カーの「犬と鬼」を読み終えた。去年
小値賀を旅したきっかけをつくってくれた「里山と古民家を愛する親日家」がただ者でないことが分かった。痛切な日本社会批判である。「モニュメント派の建築家」もやり玉に挙げられている。官僚が諸悪の根源であることをはじめとして我が意を得たりの内容なのだが、日本の伝統のなかにある「トータルコントロール」精神が災いしているという指摘は新鮮。親日家が日本をどんどん離れて行っている現状も危惧されている。彼自身は祖谷を始まりにまだ豊岡に留まってくれているようだが、近年はバンコックも拠点としているようだ。17章にもわたってあらゆる分野の日本の問題を詳述してくれているが、諸悪の根源である官僚と抜き差しならない関係を堅持しているのが著者の出自の国家だというのは皮肉だ。原発は軽く触れられているだけで米軍基地の話は皆無で官僚制の屋台骨である日米合同委員会の影もないのはそういった背景によるものだろう。写真はゼミ旅行での香川漆器体験で造った漆の箸。面白い体験だったが犬を線で描いたのは失敗でずらっと並んだ25膳のなかでもひときわ精彩がない。犬は鬼と違って描きにくいのだ。戒めのためにも大切に使い続けて行く。今年こそは少しでも世の中もよくなりますように。