gallery A4で開かれている「ちいさいおうち展」。子供の頃最も好きだった絵本なので感無量でした。建築、鉄道、犬、鳥、植物、定点観測。いろいろなものが今の私に刷り込まれています。作者のヴァージニア・リー・バートンの長男のインタビューで彼女の絵本以外の世界に触れることができました。インタビューに一役買っているのが初期ワークショップ仲間だったのもなにかの縁なのでしょう。
洗足池の集合住宅は8月中には竣工。呑川緑道を歩いて通う現場が終わってしまうのはさみしい。下の写真は現場監督作製の3Dプリンター「印刷物」。建築模型とは一味違う迫力です。1層打ち出すのに7時間かかるそうですが寝る時にセットすると朝にできているから問題ないそう。ぐちゃぐちゃになってしまっていることもあるそうです。この情熱がうれしい。私たちが見習わなければいけませんね。
他所の国から来たまだよく識らない君に語りかけることばが少しずつ解かってくる
花に似て美しい時はただ一度だけと唄った長い髪の乙女が砂浜を駆けて行った
すくすく育つ緑の帯の切れ目を抜けて出入りする仕事場の居心地のいい華やかさが好き
Sicilia series 12。ラグーザ。1693年の大地震で崩壊したヴァル・ディ・ノート(Val di Noto)の都市の一つ。ここでは崩壊した街のあった丘と谷を挟んで隣接する高台に新しく街がつくられた。イブラと呼ばれる古い街の入り組んだ細い路地の奥でランチ。石積みの家の中をを白く塗り込めてレスタウロした空間は素晴らしかった。街の中心のサン・ジョルジョ教会はヴァル・ディ・ノートでお馴染みのガリアルディの設計。荘厳な宗教的空間では私の視線はどうしても空間の周縁に向いてしまう。ここでは床の光と影。宿がある新市街は碁盤の目状につくられた純正ゴシック。夕食前の散歩で緩やかな坂道をイブラの方に暫く下ると視界が開けイブラの全容が眼前に現れた。ここからは街は急な階段で谷間に下っていく。下り切ったとこで目にするパラッツォ・コンセンティーニは、半日前にイブラを探索し始めた時には特徴的なバルコニーの持ち送りだけが印象的だったのだが、もっと多様な都市の文脈の中に確かに建っていた。だから街歩きは奥が深いのだと思う。
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小湊鐵道終点の上総中野駅から大原まではいすみ鉄道いすみ線。木更津と大原を結ぶ国鉄木原線が未成に終わって木原線と久留里線が残り、いすみ鉄道が前者を継承した。こちらは近代的経営で万年赤字から脱却して廃線の危機を免れている。車輌は新しいしムーミンや女子高生キャラもあるし車内アナウンスは人気の
西村文江さんだ。小湊鐵道とは好対照の戦略で、しかたがないとは思うけれど、永続きするのだろうか。大多喜という歴史ある町もあるのになあ。
市川市の冨貴島小学校に通っていた頃の遠足で来て以来の養老渓谷。おそらく4年生くらいだったはずだから56年ぶり。房総半島横断鉄道の旅の途中下車を養老渓谷駅一つにしぼって3時間の探索時間を捻出して渓谷を歩いた。上総地方では蛇行する川を短絡させて農地を開拓する「川廻し」がかつてさかんだったそうだが、昭和初期以降の養老川の川廻しの名残の細長い沼あたりの景観はよかった。出世観音の見苦しい商業主義が仇となったのか、温泉エリアに点在する宿泊施設のいくつかは休業していて、観光地としてさみしい雰囲気が漂っている。景観を破壊するような建物をつくらず渓谷の自然を生かす知恵があればこうはならなかっただろう。
鵜原へは外房線の便がいいのだが、この機会に房総半島横断鉄道の旅にトライしてみることにした。五井から小湊鐵道。全社一丸となってローカル線の楽しさをインターナショナルにしようとトライしていて全線話題満載。努力が功を奏しているらしくみんながいきいきとしている。この日は座れない人もいた。駅舎、車輌、標識などの古さを巧みに保全しているのは賢い。「小湊」はかつて安房小湊を目指して敷設された名残だそう。
7月16日、鵜原ビーチハウスの竣工宴。外房勝浦の少し先にある美しい浜に直面した敷地に二軒家アパートメンツ仲間のジュリアン一家が何年もかかってやっと家を完成させた。オーストラリアの彼と日本の彼女、Japanese wifeは国際的に定評が高くAustralian husbandも家庭的なことで知られているから最高の組み合わせなのかもしれない。土地を見つけ出したのは彼の弟さんで奥様はやはり日本人。パーティーにはほかに何組も同様な組み合わせのカップルがいた。優しい日本語を話す大男がいっぱい。お国からかけつけた母上が矍鑠としていて計画の首謀者だったことがよくわかる。息子たちのともだちがたくさんお祝いに駆けつけ、孫たちが浜辺を走り回る。彼女の夢が実現したうれしい日。幸せいっぱいの時間を共有させていただいてこちらまで幸せに。しかし私たちの文化のなかでは「いい海水浴場のひとつ」でしかない場所に新たな価値を見出したのが遠く海の向こうの人たちだというのは皮肉だ。設計はJulian Worrall Spaces+2.5 architects。構造は桃山ハウスと同じStructured Environment。機能に素直な形が、お世辞にも美しいとは言えない街並みに、自然に溶け込んでいた。鵜原の未来にとっても大きな一歩かもしれない。これで4日連続の美宴。楽しく飲めばからだは応えてくれると思い込んではいけないのだろうな。
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7月15日、38年前に竣工した事実上の処女作[bigdog house]に息子と娘がやってきてちょっとしたお祝いの宴。90歳近い母はこの暑さで参っているので他の場所でやるべきかとも思ったのですが、得るものの方が大きいだろうと、思い切りました。久しぶりの3世代の縁は楽しかったですね。子供たちの成長がうれしい。初めて設計した奥行きが80pのキッチンカウンターと直交するダイニングテーブルは意外に機能的で、包丁片手にいろんなメニューを思いつきながら、流れに合わせてテーブルを仕切っていくのは楽しい。細かいことをするには手がおぼつかないので、超大判の白い角皿にハランを敷いたりしてつまみを置いていく。鮨屋みたいなものですね。酒もあても無限にあるので、どうしても飲み過ぎてしまって翌朝の早起きは辛かったですね。
7月14日、私にとって13回目の居住空間コース新入生歓迎会。レクチュアラーは中川エリカさん。「バラバラに集まる」という題でどれも刺激的な5作品を語ってくれました。パブリック/プライベート、合理/不合理、可視/不可視、白/黒などのような対立項であると思い込んでいるものを併存混在させるというようなことなのかな。「桃山ハウス」体験で晴れきれなかったもやもやが少し薄れてきたように思いました。まさにthe times are changing。来年から非常勤に加わってくれるのがうれしい。横浜国大猫犬脈がつながる。引き続きの歓迎会の会場構成はこの「バラバラ」がテーマになっていて、歳を超えた交流が例年より円滑だったように思う。楽しかった。居住スタジオの立派なキッチンで用意されたメニューもよくできていた。こういった自発的「バラバラ」コミュニケーションを体験することはこれからの彼女たちの建築との関わりのなかで大きな糧になるはずだ。先生たちの仕上げは津田沼からのグリーン車での一杯。いつも必ず一緒だった顔が欠けているさみしさをゲストが補ってくれた。
7月13日、二軒家ペントハウス。14年前の竣工時からスタジオを置いている「二軒家アパートメンツ」には屋上テラスからアクセスするペントハウスがあって住人どうしの集まりなどにも使われている。集まるための場があるおかげか、大家さんも含めて住人のあいだの交流がさかんなのが楽しい。初期の頃ここに住んでいて今はオーストラリア在住のジュリアン一家の一時帰国に合わせて現旧住人が集まりました。トイプードルのソラちゃんと3歳のレオくんをだっこできたのもうれしかったな。幸せに飲み過ぎて終電を逃してしまいました。
レモンの皮を使いたかったのでデパ地下の自然食品屋へ行った。完全無農薬ノーワックス高知産\165税込。高いと思ったがほかの選択肢は見当たらないので思い切ってレジに行ってびっくり。\465の見間違いだったのだ。厚いしっかりした皮から霧のように飛び散るオイルの素晴らしい香り。十数年ぶりにレモンティーもつくった。砂糖漬けもおいしい。これはスーパーのレモンとは別のものだ。また買おう。
酒が好きというよりはちょっとおいしいあてがあってこその酒。新子の握り、4枚付け。いつでも出会えるものではないし、どこの鮨屋にでもあるというわけではない。幸せな時間。
食事をしながらテレビの習慣はないしNHKは今でも嫌いなので朝ドラは完璧に遠ざけていたのだが「あまちゃん」のおかげでなじみができてしまった。母との2人暮らしのなかでの数少ない共有できる番組でもある。今期の「ひよっこ」は私が育ってきたころの時代までは辛うじて残っていた人や街や里山などのぬくもりのようなものが細やかに描かれていて、惰性の域を超えて楽しんでいる。ヒロインのみね子の思いに恋という名がついたところで時間となって、次の番組の有働さんの恋心に心地よくつながっていった日にはこちらまであたたかくなって、自然に「65歳以上の栄養失調」に引きづり込まれてしまった。そこでは聞き捨てならないことが語られていて、曰く、総コレステロール値(基準値140〜199)は180〜250が理想、肉をもっと食べないと先は長くない、というのだ。で、いろいろ考えた挙句、山珍居でラオーバ(老肉)。これまで100回をはるかに超すランチで一度も食べたことがなかった。脂身いっぱいのとろとろ三枚肉はおいしかった。私とは違うとは思うけれど隣の卓の若い女性二人も私と同じメニューだった。
中川エリカさん設計の熱海「桃山ハウス」。30歳下の後輩の話題の住宅を北山さん谷内田さんと3人で見学した。素朴な疑問があちこちに散らばっていて、それらはどうでもいいことなのだということは理解できるのだが、では主題はなにかというのは私にはやはり見えなくて、みなと同じようにつまらない質問をした。今の「建築」はそういうものを超えているのだろう。乾さんの住宅建築賞の総評での「希望のある住宅」という表現は実に巧みで「精神の開放を求める意志」と解き明かされて納得できたような気もする。乾さんの確信には感心する。あの場を体験した小一時間に特に印象的だったのは周囲の樹々に棲むさまざな鳥の囀りだ。それほどにのびやかな空間だということだろう。駅前の居酒屋での酒宴にも澱みはなかった。
comma佐野ももさん設計の「隙間の家」。設計の途中で「新たな防火規制区域」の制限が加わったハンディを逆手にとった不思議な木造耐火住宅。外壁耐火の白い壁とそのほかの軸組小屋組が併存していることによって生じる外壁周りの隙間がテーマになっている。閉鎖的な外壁に開けられた2つの大きな縁側開口が住宅街の4m道路に直面しているところが興味深い。斜め向かいにある完全に閉じた平屋住宅に触発された結果ではないとのこと。木造で耐火がかかると面白くないという常識は怠け者の言い訳に過ぎないということがわかった。
アルテック阿部勤さん設計の集合住宅las casasの大家さん宅が空いたのをfbで知ってギャラリー「ときの忘れもの」がタイミングよく移転してきためでたくお披露目。縦長の小さな窓の繰り返しが印象的な外観。3階の壁に囲われた屋上テラスが好き。もともと住宅だった空間には細長い吹き抜けもあってギャラリーにぴったり。
森林公園で高木のてっぺんにしばらく留まっていたこの鳥は何だろう。ヒヨドリではない、ムクドリとは違う、カササギに似ている。地図で調べてみたら遠いと思い込んでいた津田沼駅とキャンパスの距離はたかだか3.5km。毎週通っている我が家と洗足池の現場の距離とほぼ同じということは寄り道抜きなら35分。時間をつくってまた行かなくっちゃ。
習志野市森林公園、固有種を育てているというだけのことはあって、しばらく居るあいだに珍しい鳥がカメラに収まった。キツツキのような仕草をしているが大きさがスズメに近いのでおそらくコゲラだろう。キツツキ目キツツキ科Picoides kizuki。学名は採集地杵築に由来。
日大生産工学部居住空間コースの非常勤講師を続けていることの魅力のひとつは仲間の先生たちとの交流にある。集まって飲むことももちろん少なくはないのだがSNSを介したちょっとしたやりとりのなかにも興味深い刺激が少なくない。習志野市森林公園についての山中祐一郎さんのfbもそんな刺激のひとつだった。直ぐに小川真樹さんが反応しまわりの写真もアップされた。どこかキャンパスの近くに古民家があるということは記憶のどこかにあったけれどその大沢家住宅が素晴らしい緑地の中にあって、しかもキャンパスから津田沼駅の途中ということは知らなかった。歩いてみたらなんということはない総行程で30分ちょっとの距離。トライした日は運悪く30℃を超す猛暑だったが森の中では暑さを感じることもなく鳥が遊ぶ池もある素晴らしい環境だった。私のfbにも旧学生からすぐに「固有種を育てているところなんですよ」と反応があった。こういうのもうれしい。ただし古民家そのものが月曜で休館だったという点では犬智慧と言えなくもない(笑)。
Sicilia series 8。エンナ。シチリア島中央部の卓状の丘にできた要塞のような都市。歴史はギリシア時代にまで遡る。南東に続くヴァル・ディ・ノートの都市群との違いは1693年の大地震による崩壊を免れたこと。ギリシア時代につくられノルマン時代にレスタウロされたロンバルディア城、ノルマン時代のドゥオモなど多くの歴史的建築物が現存する。無数の建築物の集合からなる山の景観は刺激的だった。ドゥオモや塔がランドマークとなってある秩序を形成している俯瞰の一角を占める死者の街ネクロポリスが印象的。
fbのmichio kinoshitaアカウントに別の写真もアップしています。
5月の初めの台湾の旅。台中の公園脇での情景。どこにもそれぞれの人生がありドラマがある。旅は面白い。また行きたいなあ。
群れの渡りからはかなり遅れて遥か彼方に仲良く向かう鳥2羽。美しい。冬鳥が戻ってきてにぎやかになるのはいつになるのかなあ。
原鉄道模型博物館のジオラマから海辺の2人。ただ並んで座っているのではなくて、何やらドラマが読み取れるようです。海は大きいからなあ。
またまたジオラマ。白色レグホンが小屋のまわりを歩き回っているのはイングランドの農家かな。のどかな情景にも鉄道模型はよく似合う。