Bob Dylan 21歳の時のライブ録音が突然姿を現しました。Witmark Demosと同じSP盤のレーベルを模したCDデザインが面白いですね。Columbiaのマークも古いものが使われています。待ちに待った9枚組CDセットMONO BOXも到着。中身の楽しさはbobdylan.comをご覧ください。もっともっと凝っている日本盤の素晴しさはHIGH-HOPESブログを。
THE DRAWN BLANK SERIESと意味ありげに名付けられた絵画展が六本木ヒルズのumuで6日から21日まで開催されます。アーティストはBob Dylan。そう言えばThe BandのMusic From Big Pinkとか自身のSelf PortraitとかのLPジャケットに作品?が使われていました。彼の音楽に惚れているから何でも付き合うというわけではありませんが、近くに行く用事もあることだからちょっと寄ってみようかな。
Bob Dylan初期の8作品モノラル・ミックスをCD化した9枚組ボックスセットThe original mono recordingsのリリースに合わせてこんなビデオがYouTubeに登場しました。映像も筋立ての拙さも50年代?風に作られているのが面白い。ColumbiaすなわちSonyが制作するとは思えないので速やかに削除されるはずですが・・・。SMEでは日本独自の紙ジャケボックスを制作とのこと。苦労の様子がHigh Hopesに載っています。外国製の紙ジャケはCDがハダカでジャケにつっこまれているのに対し、日本製は紙袋まで複製しさらに保護用のビニル袋もついています。さらにステレオ盤に付いていた帯の色を青に変えて複製。アメリカ盤初版に貼られていたステッカーまで付くのだそうです。マニアックですね。だけどCOLUMBIAの文字は使えないはずだからレーベルがおかしな感じだろうな。
5月24日。Bob Dylan、69歳の誕生日。1986年から毎年100回前後のライブ・ツアーが続いています。果てしなく続くライブでの試行錯誤の末に、類のない独自の表現世界に辿り着いたのでしょう。3月の公演でよく解りました。29日に欧州危機の発信地ギリシャからツアが始まります。トルコ、ルーマニア、ブルガリア、マケドニア、セルビア、クロアティア、スロバキア、チェコ、オーストリア、スロベニアと巡ってイタリア、フランス、スペイン。一緒に旅をしたら楽しいだろうなあ。ということで今日は1967年のGreatest Hitsに封入されていたMilton Glazerのポスター。Peter, Paul & Maryのロゴタイプをデザインしたのもこの人です。 designed by Milton Glazer
熱い嵐が過ぎ去りました。ディランの重さを思い知らされるとともに、ひとの縁の愉しさを噛みしめさせてくれる、かけがえのない19日間でした。サービス精神満点の前回の曲球選曲からは一転、最終日は直球勝負でした。アンコール前の固定曲に代わってForever Youngが登場したことと、ついにセカンド・アンコールに応えてくれたことだけを、取るものも取りあえず報告しておきましょう。ディランもライブの成果にご満悦のようすでした。写真は「祭りのあと」。 ライブ盤を出すのならこの日の録音という感じの手堅いセットリストでした。今回のツアーで4回以上登場になる、おそらくバンドとして手応えを感じている曲が並びました。The Levee's Gonna Break、Spirit On The Water、Cold Irons Bound、I Don't Believe You、Desolation Row、Can't Wait。Cold Irons BoundとCan't Waitの重く力強いサウンドは現在のディラン・バンドの持ち味を最大限に発揮した「燻水銀」の演奏です。どれも今年最高の出来と言っていいでしょう。驚いたのは前半唯一の初登場曲My Wife's Hometown。Together Through Lifeに収録されたWillie Dixonのブルースを下敷きにしてどうでもいい詞をとりつけた最近お得意の「クリシェ」が、CD収録曲とは趣がまったく異なるヘビーなブルースに生まれ変わりました。どうにも気になる趣味の悪い詞も、こう表現されればもうどうでもいい。ディラン・バンドの底力に打ちのめされました。最高のノリと裏腹に私がどうにも好きになりきれないのが固定曲として毎回必ず登場したThunder On The MountainとJolene。典型的ロックンロールにどうでもいい詞がつけられたライブ用の曲を要に配して「所詮、音楽は音楽。ノリがすべてさ」を貫いています。私にとっては遥か昔に作られたThe Lonesome Death Of Hattie Carroll 、John Brown、A Hard Rain's A-Gonna Fall、Master's Of War、Desolation Rowなどでのストーリー・テラーとしての歌い手ディランの力量のほうにより感動してしまいますが、そんなことを超えてしまえるところが、ディランの偉大なところなのでしょう。しかし、刻々と姿を変えながら盛り上がっていく演奏に乗せてめくるめくストーリーが語られる最終日のDesolation Rowには鳥肌が立ちました。2008年10月から歌われ続けていた定番のBallad Of A Thin Manに替えて2007年以降4回しか歌われていなかったForever Youngを登場させるサーヴィスは気まぐれディランならでは。そして、ついについに2nd encoreが実現しました。「one more」の大合唱。「ありがとう」の声、声。ディランも人の子、ほんとうにうれしそうでした。古い、新しい、他人の、自分の、に係わりなく、あらゆる音楽を今のかたちで表現することこそが自分の音楽であるというディランの確信がこの感動のフィナーレにつながったのでしょう。
Dylan東京6日目。オープナーは待ち望んでいたGonna Change My Way Of Thinking。素晴らしい出きでした。2曲目と4曲目が2009年には一度歌われただけのLove Minus Zero/No LimitそしてSimple Twist Of Fate。Workingman Blues #2とNettie Mooreが原曲をより力強くシンプルに2010年式に再構築され、2010年初登場がなんと5曲。バンドはそんな事とはまた別にますます絶好調。4度目の登場のHigh Waterも最高の盛り上がり。固定曲Thunder On The Mountainは別の曲かと錯覚してしまうほどの仕上がり。ラストは前回に続きBlowin' In The Wind でヴァイオリンがより強調されたアレンジでした。センターステージで歌い始めたSimple Twist Of Fateの3コーラス目からディランがキーボードに戻るとノリが突然変わったのが印象に残りました。いつもより少し長いあっという間の2時間。最後の挨拶?でディランはいつになく左へ右へとせいいっぱいの気持ちを伝えていました。気持ちよくノレたのだと思います。半世紀前の曲でも去年の曲でも、定番曲でもレアな曲でも、鉄壁のディラン・バンドにとってはすべてが「今のディラン」です。ちょっとは疲れたけれども、2階指定席よりずーっと1階がいいと感じました。気持ちよくからだも動きましたが、前の男性が直立不動で拍手もしないのが少しだけ気になりました。録音していたのでしょうね。これで13日で64曲。東京6日で54曲。最終日はどうなるでしょう。Dylan通いが続いて、気持ちの片隅で小さくなってしまっている桜。家の前の通りの古木ももうこんなに花開いています。