京都東山建築めぐりH。最後にM教授推薦の京の味。上賀茂の
「なり田」のすぐき。「御すぐき處」と名乗るほどの専門店です。京の漬物の王様なのでしょう、M教授はどうしてもここに寄りたかったようです。こういうのに格別弱い私は、迷うことなく幾分小ぶりの同じものを買い求めました。夏前ならば「山椒の葉の佃煮」も絶品とのこと。覚えておかなくちゃ。向かいは伝統建築保存街区で、そこの陶器屋さんの門にかかる暖簾越しに撮った「なり田」。いい雰囲気でした。
京都東山建築めぐりB。
「碧雲荘」 (野村徳七別邸)。大正から昭和初期にかけて東山界隈に数多く作られた壮大な庭園を持つ別荘の一つ。琵琶湖疏水の水を引き込んでつくられた池を回遊する庭園は8代小川治兵衛の作。年に一度近くの白河院に泊まった朝は、この界隈を犬を伴わずに散歩するのが習慣になっているのだけれども、花菖蒲の小堀沿いの勇壮な塀の向こうの世界に足を踏み入れるのは初めて。NHKの特集番組で観て出来上がっていたイメージをはるかに凌ぐ「別世界」でした。「不許酒肉五辛入門内」(酒、肉、葱、にら、にんにく、はじかみ、らっきょうを門内に持ち込むな)というよく寺社の門の前に見かける石碑が客用の「不老門」を入って少し進んだ脇に置かれていたり、源氏香の模様が壁や石橋に刻まれていたり、半夏生を丸く群生させて上から三枚の葉が白くなって満月になったり、どこからか運ばれてきた国宝級の酒舟石が置かれていたり、流れの中に置かれた蹲を使おうと身をかがめると視界から池が消えてしまったり、遊び心いっぱい。蹲の底は池とつながっていて水が絶えることがない、「能舞台」の床下には音響効果のために甕が埋め込まれるなど工夫もいっぱいです。池には白鳥のほかに「蘆葉」と名付けられた舟茶室が浮かび「羅月」という舟舎まで用意されています。非公開の空間に足を踏み入れることができただけでなく、11代小川治兵衛さんが同行してくだったので、ことのほか貴重な時間になりました。いろいろとお話をうかがって作庭によって生まれる「ほんものの自然」とのズレが庭園空間の質を決定しているらしいとうことが、少しだけわかりました。奥は深い。非公開の私的空間ですので写真は庭からの東山の眺めだけにします。写っているのは借景の塔です。
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