
会場は東京で一番嫌いな建物の一つ六本木ヒルズの52階。ゲーリー展で少し寒くなりかけていた建築心が真っ向勝負の模型の群れで俄かに熱くなりました。大小、新旧さまざまな用途の作品をギミックなしの模型で表現してくれているのがうれしい。ロンドンで体験して感激したRoyal Academy of ArtsのあるBurlington Houseとその裏にある別の建物との間の隙間をギャラリーにした
サックラー・ギャラリーの模型はなかったかな。地下鉄、交通システム、火星の住居、家具、ブロンプトンなど仕事は多岐に渡っています。形に拘らずにひとつひとつ最適解を常識の枠を超えて求めて行く姿勢がいいと思いました。模型群にしても形態上の統一感は希薄でまとまりはありませんが、建築が置かれているコンテクストが多種多様に異なっているのだから当然のことです。会場は展望台と一体になった不思議な構成で、展示する側にとっては迷惑な環境かもしれませんが、禍転じて福となす、フォスターの家具が点在するバーTokyo City Viewはすっかりフォスター空間に溶け込んでいました。そういう柔らかさもいいなあ。澄み切った冬の夕景が闇に溶け込んでいく時の流れを思わず楽しんでしまいました。帰途の頭は展覧会の模型で埋め尽くされ、手は模型手伝い探しのLINEを迷わず発信していました。大いなる刺激をありがとう。

ふと見たテレビにある女性アイドルのデビュー前のオーディションの映像が写っていて、歌っているのがなんと南沙織の隠れた名曲「ふるさとの雨」なのでした。ある種の感動。南沙織の1971年のデビューアルバムに収められた1曲。作曲はもちろん筒美京平。写真は日曜日に行ったフォスター展の会場から望遠で捉えた富士山。心優しく懐かしい気持ちが同じ、かな。