Ray Coffee House
ずっと気になっていた「千住博美術館」に出かけた脚で高校同期が第二の人生を送るRay Coffee Houseへ。大学で一緒に教えている渡辺康さん設計なのは奇遇とも言えるのだが、少し冷静に考えると、ここのところ数年の人の縁の要がほかならぬ彼なのだから、ここに導かれて来たのは必然であるのかもしれない。まっすぐな木のアプローチを設けることで路際の樹木群とカフェのあいだに森の陽が集まる場がつくられている。鳥の餌台と栗鼠の皿にはヒマワリの種や胡桃が置かれていて、一時間ちょっとのあいだだけでも3種の小鳥たちを目にすることができた。梁に使われていた古材のカウンターがその庭に向き合って配されアプローチ側の屋外まで伸びている。暫くすると2階の住まいで待機中だった柴犬の松吉が連れて来られて半屋外カウンターの向かいに設えられた彼の場に就いた。1歳8ヶ月、看板犬修行中だそうだ。光が美しい優しい空間でいただく自信に満ちたストレートコーヒーは文句なく旨い。目の前を行き交う鳥に気を取られて時の経つのを忘れる。客がほかにいなかったあいだコーヒーを淹れながら話をきかせてくれた。床は大工さんが骨をおってくれたタモの木煉瓦。白い吹き抜けに浮く木の枝でつくったモビールは10年前の渡辺一家がオープンのサプライズで贈ったものだそうだ。柔らかい影が壁を彩っていた。高校同期が設計者に完璧に満足していることがよく解かってこちらの気持ちまで優しくなる。いい時間だったなあ。
2017/06/09(Fri) 09:09:10 | doglog