南榎町の住宅 090815

大学を出て直ぐ、北山恒さんと谷内田章夫さんと三人で始めた設計事務所「ワークショップ」の最初の頃の少なかった仕事のほとんどは我々の回りの人たちの住宅でした。南榎町に建つそういった住宅のひとつを二十数年振りに訪ねました。その住宅で生まれ育って建築の道を歩み始めたばかりの増田信吾さんがその環境に付け加えた作品を講評しエールを贈ろうという趣向です。増田信吾さんも我々と同じように大坪克亘さんとのパートナーシップを組みすでに独立して仕事をしています。SD Review 2008に続き2009年も入選する元気いっぱいのすべりだしです。南榎町の狭い私道に面した新旧二棟が建つ敷地の道沿いに構築された環境が彼らの作品。公と私の境が曖昧になって、宴は自然に道に滲みだしていきました。久しぶりに爽やかな夏の夕空がひろがり、手づくりの料理を肴に、楽しい講評会が続きました。
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ステンレスのエキスパンドメタルを白く塗装したフェンスには不思議な奥行きがあって、古い木造家屋とのあいだにもほどよい隙間ができあがっています。その隙間からフェンス越しに道を眺めたところ。窓のようにも見える開口が効いています。
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少し暗くなってくるとフェンスを挟んだ環境の重なり合いがより認識しやすくなってきます。家の灯り、隙間に形成されている住まい手の「世界」、手前に奥に折れながら続くフェンス、そして道。「コミュニティとプライヴァシー」への優れて日本的な回答でしょう。
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Nothing comes from nothing。うれしい空間体験でした。よかったな。
2009/08/15(Sat) 11:51:58 | doglog
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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