宮脇檀
但馬・丹後の旅。主題は宮脇檀。建築家人生の最後の18年間に4つの作品を遺している出石を居住空間コースの学生たちと訪ねた。彼はこの町で1981年に「斎藤隆夫記念館」の設計依頼を受けている。1983年に竣工し「静思堂」と名付けられた建築で「静思塾」が開かれ、彼も講師として参画するなどして町づくりにかかわっていく。その成果を踏まえて出石町に提案された冊子「出石らしさをつくりだすために」が彼と出石町とのつながりを深める基礎となっているように思う。竣工後35年経った建築を訪れた私たちはここで町の人たちからたいへんな歓待を受ける。お話しをうかがったあとの交流会でごちそうになったのは近くの山で獲れた鹿と猪。お酒も入っておおいに盛り上がり楽しく興味深い時を過ごした。学生たちにとってもいつも遠くにいる宮脇さんのことを深くからだで理解する貴重な体験だったと思う。「静思堂」の発端となった斎藤隆夫は出石町出身の政治家で衆議院議員当選13回、戦前に「粛軍演説」「反軍演説」をし議員を除名処分になったあと選挙で返り咲いた硬骨漢。現在の私たちが必要としている政治家は彼のような人なのだろう。
2018/07/14(Sat) 07:59:03 | doglog