豊島美術館

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ゼミ旅行四国1。豊島美術館(西沢立衛2010)。初めて訪れたのはあの忌まわしい原発禍の始まりの2011年だった。その時には入口の脇に仮設のテントがあってそこで靴を脱いだ。直後に設計者の西沢立衛さんとお会いする機会があって建築体験の感動をお伝えするとともにテントについては苦言を呈した。設計中は靴のままで入館する予定だったのが竣工後に靴を脱ぐことになったのが原因だとうかがった。確かにあの繊細な白い床に塵芥は相応しくない。長い舗装されたアプローチで靴底を浄化する狙いだったと推察されるが万全を期することになったのだろう。アプローチの始まりのチケットセンターで裸足にしてしまえば、と軽口を叩いて別れたあと一年も経たないうちに手が打たれたとの噂を聞いて流石だなと思っていた。入口の手前に新たに設けられたRCの流麗な構造物は靴脱ぎベンチになっていてその下に靴が収容される。スリッパが用意されていた。当初から計画されていたかのような納まり具合は流石だなと唸った。アプローチの途中には見晴らし用のベンチが新たに設けられていた。チケットセンター前の椅子は以前と変わっていた。細やかさが面白い。2度目の空間体験も新鮮だった。静謐な空間を歩き回っていて頭の真上が空になるところに至ると気持ちが動いた。面白い。特に屋根面がアイレベルの下に来ると気持ちは空間から外に出る。水の挙動をしつこく観察した。同じ穴から吹き出てくる水の量が微妙に違っていて流れる経路、速さがひとつひとつ異なっている。小さ過ぎる水滴は途中で停まって、後から来る水滴が引力の範囲内を通過する時に合体し流れていく。大きな水滴は細長い生き物のようになって速度を増して走って行く。大き過ぎると途中で尾が切れるように水滴が残る。見ていて飽きない。面白い。躯体の劣化が僅かに見うけられるが空間の本質にとっては些末なことだ。今度はここで雨を体験したい。
2017/12/05(Tue) 09:00:03 | doglog
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
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