笛吹郷

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小値賀ぶらぶら 4。かつて海の交易や鯨漁で栄えた小値賀の豊かさの片鱗が今の笛吹郷にはまだある。空き家となって廃れてしまいかけていた建物を「古民家」として活かすことで街が息を吹き返しかけているのではないかと思う。明治後期に建てられた商家跡を改修した地域交流スペース「商家尼忠東店」も同じ流れにあるのだろう。街並みに溶け込んだ開けっ放しの場は旅行者にも開放されていて、私たちが残った食材でつくった「島弁当」を食べていると、中学生がぱらぱらとやってきて、テレビをつけてゲームをして彼らなりの交友を楽しんでいた。管理者がいないのだからのびのびとしている。その昔卓越した判断力で小値賀の地域繁栄に貢献し造り酒屋などで財をなした小田家の屋敷跡は「歴史民俗資料館」に生まれ変わっている。展示はかつての小値賀の港が東シナ海全域に深く繋がっていたことを物語っている。柳田国男によって「困窮島」と命名された島特有の制度についてはここで初めて知った。小値賀の17島のひとつ大島で享保の飢饉の頃から続いていた制度で、大島の最困窮世帯を隣の宇々島に移住させて税制上の優遇措置を与えて立ち直らせるというもの。群島としてひとつの社会を形成している小値賀の物語に触れて、こまごまと錯綜する狭い路地歩きがよりいっそう味わい深いものになり、何匹もの街猫にも出会って、もう少しでも深く街を知ってみたいと思い始めた。街を訪れた人がその街の暮らしぶりや歴史や自然に触れてその街に興味を抱くようになることが街の未来にとってたいせつなのだと思う。そういった意味で「おぢかアイランドツーリズム」の試みを評価したい。fbのmichio kinoshitaアカウントにほかの写真を数枚アップしています。
2017/09/06(Wed) 09:01:18 | doglog
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木下道郎 ・ 建築家
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