柳川の鴨 081120

訪れた11月15日は柳川の鴨場での狩猟解禁日。ハンターに仕留められた野鴨は39羽。これがその夜の食卓に並びます。宮内庁の鴨猟では胸肉をぶつ切りにするのだそうですが「御花」では薄くスライスしたものをバターを塗った鉄板で、葱のほか酸味の強いリンゴの薄切りも一緒に焼きます。今までに経験したことのないおいしさでした。まず鴨そのものが、今まで食べてきた合鴨とは色も含めてかなり異なったものなのです。しかも飛来したばかりなので脂が少なく臭みも少ないとのことでした。写真は「御花」特製の鴨焼鉄板です。焼き方も付け合せも永い年月のあいだに研鑽されたもののようです。もうこの一品に圧倒されて、有明海の珍味や舌平目や名物の鰻せいろ蒸しは、この夜は、霞んでしまいました。障子が開け放たれ「松濤園」の夜景が向こうに広がっているのですがカメラには捉えきれませんでした。
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翌朝は雨が上がって薄い靄の中に朝の陽が姿を現しました。「松濤園」の幸せな野鴨はまだ眠っています。下駄をつっかけて、「犬抜き」で、しっとりと濡れた庭園を散歩。アップしている写真の大半はこの小一時間で撮影しています。泊まりは熊本でという手もあったのですが、ここにいてよかったと感じられる濃密な時間でした。日曜の朝8時少し前、人の気配のほとんどない石の舗道を掃き清める人の姿がありました。掘割ではどんこ舟の仕度のようすを鷺が一羽見守っていました。
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時の流れを大切にした街並みに、しなやかに根付いた伝統・文化。情けないことばかりの日本だけれども、こんないいところもあるのだなあとしみじみ感じました。店頭の床几に猫が居眠りをしていて思わず足をとめてしまったおせんべい屋さんでは、景気の影響か急激に観光客が減っている様子をありありと聴かせていただきました。がんばらないとなあ。
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今日でフクは12歳。ハヤも一緒に元気に散歩しました。


2008/11/20(Thu) 08:32:20 | doglog
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
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