豊島美術館

瀬戸内建築の旅¶豊島美術館での空間体験は想定を遥かに超えていました。写真では本質を伝えようのない空間なのです。建築の内部に入ったのは激しい通り雨が過ぎ去って陽射しが戻りシェルの白い表面からはまだ湯気が湧き出ている時でした。靴を脱いでひたひたと白い床に歩を進め思い思いのところに腰を落ち着けます。はだしになればよかったな、と後から思いました。大きな水たまりと小さな水たまりを中心に人は場をつくり囁きひとつない静かな時間が流れて行きます。未知の空間に出会った昂ぶりが落ち着いてくるとそこここに小さな水滴が吹き出てきています。床にはごく僅かな勾配がついていて吹き出てきた水滴はまるで生き物のように動き出し仲間と出会って大きくなり長くなってにょろにょろと流れて行くものもあります。ところどころにある小さな穴に落ちるかわいい水音、風に揺れる木立の音、空に輪を描く鳶の鳴き声、衣擦れの音。建築とアート、外と内の境が消えてしまう五感で味わう空間では、自然と自分の境もなくなってしまうかのようです。空、陽、影、水、風、陰、人、虫。空間は緩やかにうつろい続けていき時の経つのも忘れてしまいそう。稀有な体験。私たちの建築にも未来はあるのかもしれないと感じた一瞬でした。写真も撮ることは撮りましたが・・・。
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運営にかかわる瑣末なこと。想定していなかった靴脱ぎを導入したためにできてしまった仮設の靴脱ぎ場。靴は脱がないか、チケットセンターから裸足ではどうでしょう。もう一つ、できの悪い雑物を取りつけざるを得なかったカフェ棟。土産物、飲み物・・・、要るのかなあ?大きな建築の前で小賢しいことを考えることはないのでは。
2011/07/12(Tue) 06:45:19 | doglog
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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