Forgetful Heart



大阪の熱いオーディエンスへの返礼が大阪最後のライブで曲目にあらわれました。なんと8曲が初登場。これで5日通った人は通算48曲を聴くことができたわけです。私は今日も最前列。待っていたForgetful Heartがついに登場。コントラバスとヴァイオリンの弦の響きをバックに感傷的な詩がグリズリーの唸りのような声で綴られます。間奏のハープがまた素晴らしい。感動でした。Masters of WarもJohn Brownも言葉の意味を一つ一つ噛みしめるように伝える唄が、力強いリズムにはきちっとのっていました。どんなに盛り上がってもライブの最後はステージに6人がただ並ぶだけ。ディランが踵を返すのを合図に風のようにステージから消えて行くのですが、今夜のディランはからだをかがめ、踵を返すのに一瞬の間を残して、去って行きました。手応えを感じたのでしょう。よかった。
コンサートでの楽しみの一つは人との出会い。私にとってこれだけ趣味性の強いディランの場合は本来は「独り」なのですが大阪での一日は中村好文さんとご一緒しました。跳ねた後はまたまた「森清」そしてホテルのバーと続きひときわ味わい深い夜になりました。開場前には立見伸一郎さんとも再会。メールだけの仲だった「東京ボブ」を紹介していただきました。そう言えば32年前の初来日もちょうど今頃で、銀座のヤマハに徹夜で並んでチケットを求め、8回の武道館公演に日替わり仲間と通ったことを思い出します。ディランという細く強い糸で辛うじてよりを戻しかけようとしていた彼女と一緒に行くはずの一夜に、あろうことか振られてしまうという、苦い出来事も一緒に思い出してしまいました。それで10kgも痩せてしまうくらいナイーブだったということです。写真は中村さんのパリ蚤の市からのお土産。「ドッグ ハウス」。うれしい。
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2010/03/17(Wed) 06:13:39 | Dylan
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木下道郎 ・ 建築家
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