sur lie

勝沼のぶどうの丘へ甲州市主催の「甲州ワインを愉しむ会」に、各駅停車で高尾でのとろろ蕎麦をはさんで、出かけました。丸藤の大村さんと勝醸の有賀さんのお話を聴いて、勝沼で育った葡萄「甲州」がますます好きになりました。「甲州」は糖度が低めで香りも派手でない葡萄で、生まれるワインは「楚々とした」「料理に寄り添う」「大和撫子」などと形容され、その控えめさ故に醸造手法による色付けに馴染みやすいのだそうです。確かに「きいろ香」「淡紫」「グリ・ド・グリ」「シュール・リー」「樽仕込み」とさまざまなヴァリエーションがあります。色も香りも仄かで繊細だから和食にぴったり。20年以上前にたまに口にしてお世辞にもおいしいとは言えなかった甲州のワインが飛躍的に成長したのがフランス語で「澱の上」を意味するsur lie製法の導入をきっかけにしていることも教わりました。その立役者のお隣で「甲州」をティスティングできたのは幸せでした。酔いに浸る間もなく、渋谷でのヘッケルさんのトークと東京ボブのライブに急行。勝沼ぶどう郷駅からの刻々と茜色に深みを増していく夕空に、まるで線路があるかのように白い短い飛行機雲が次々に流れて行きました。食事ができなかったので最後は近所に最近見つけたワインバーcalvetに寄りました。赤白各5種類くらいがグラスで飲め、本格的で手頃なつまみがあるので、気に入っています。骨付き子羊のローストには「甲州」というわけにもいかず最後の一杯はスペイン国境沿いカタロン地方の重めの赤になりました。鉄道、蕎麦、ワイン、ディラン。いい一日でした。
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2010/02/22(Mon) 06:54:12 | 勝沼
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木下道郎 ・ 建築家
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