牛 松茸 ワイン ディラン
食の好みについて他愛ない議論をするのは楽しいものです。いたって穏やかな性格であるにもかかわらず、食の好みに関しては一歩も譲らないような相手だとなおさら熱が入ります。そんな中に松茸はすき焼きに入れるのが一番であると主張して譲らない男がいて、私は同意しかねていましたが、そう言えば亡くなった父の松茸定番もすき焼きだったのです。私が子供のころの関西では牛肉も松茸も東京の今とくらべればずっと身近なものでしたから、この取り合わせもそう酔狂なものではなかったのかもしれません。小学校一年の時だったか、祖父母も一緒に六甲山の山荘に泊まった折りにいただいたすき焼きにも当然松茸が入っていました。その山荘のメザニンのある吹き抜けに、普段の空間とは違う昂揚感を味わったことと共にその取り合わせが深く記憶に残っています。そういった記憶の断片がいつもの四人組の酒の席でふいに鎌首をもたげ、そのままの勢いで何十年振りかの松茸すき焼きを囲むことになりました。お店でではなく[二軒家アパートメント]のペントハウス吹き抜け空間。食材も築地と米沢から手分けして仕入れました。合わせる酒は赤ワインに限るとのことだったのですが、真に受けて外れた時の痛手の大きさを考慮して、淡麗な純米酒も用意しました。杞憂。常識とは違って、醤油味の牛肉や松茸に赤がしっくりはまって、ワインのほうを飲みきってしまいました。赤の本命はPlanet Waves 2003。美しいラベルです。アドリア海側マルケ州産のしっかりしたボディでBob Dylanのお気に入りだそうです。サインが印刷されています。Planet WavesはDylanとThe Bandの唯一のスタジオ録音盤のタイトルです。Robbie Robertsonの鳴きのギターも素晴らしい。
結論。すべてに納得。
お付き合いくださったみなさん、ありがとう。
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お付き合いくださったみなさん、ありがとう。
2009/11/01(Sun) 07:00:22 | doglog