雨の予報ははずれて、散歩に苦労はありませんでしたが、あいかわらずすっきりしない空模様です。元気いっぱいに葉が生い茂ったゴーヤに小さな実を発見。大きくなるのでしょうか。

そろそろしゃっきっと夏になってほしいな。これは米沢の生姜。からだを温かくするそうです。プロポーションが気に入って大内宿で手に入れたまな板の上にのっています。

散歩から戻ってくるころ、「ぽつり」というよりは「ちっ」という感じで時折灰色の空から落ちてき始めていた水滴が、今は盛夏らしからぬ小糠雨。静かな時がゆっくりと流れています。音楽は珍しくバルトークの繊細なピアノ曲。高橋悠治の音だからこの湿ったアジアの時間にぴったりなのでしょうか。「基礎的実験期」と分類される初期作品で、サティにも通じる隙間の多い音楽。SACDだから音もいいような気がします。ひとりだし窓は閉まっているし大きな音にしています。お茶はロンドンから持ち帰ったRussian Caravanと名付けられたKeemunとOolongのブレンド。冷やしてもおいしそう。傍らのテーブルの小さな鉢で雰囲気を出している小ぶりのクワズイモ(おそらくシマクワズイモAlocasia cucullata)の緑がきれい。葉の先に「ぷつっ」と現れた水滴をカメラが捉えました。よーく見ると水滴の中にもクワズイモの葉がまるごとおさまっています。フクもハヤもクウもほどよい間を置きながら静かにお昼寝です。朝日の「うたの旅人」は小津の「東京物語」の尾道の「夕の鐘」。読ませます。新聞の活字はほとんど読んでしまったし、そろそろ
「地図の歴史」の世界に入り込もうかな。

ユーロスターのロンドン側のターミナルは2007年からセント・パンクラス駅。1868年建設の古い駅舎を改装したもの。この巨大なアーチ状のガラス屋根には圧倒されてしまいます。大きな吹き抜けでホーム階と下階がつながっているので、下階のアーケードやウェイティングも快適です。地下にごちゃごちゃと売店を並べた東京駅とは大違い。

愛嬌のあるオブジェがあちこちに置かれています。

リニューアルで延長された部分の屋根は大屋根と対照的デザイン。ユーロスターとぴったりです。

村上から鶴岡へは海岸沿いの道を走りました。険しい山が海に迫り、数知れない切り通しやトンネルのあいだに小さな村落が繰り返し現れる楽しい道です。おまけに横を羽越本線が走っています。途中には笹川流れと名付けられた景勝地も。ほぼ真北に向かっているということは左手の日本海が西。晴れていればこの上なく美しい夕景になったに違いありません。途中小さな砂浜で一服。薄茶色の少し粗めのきれいな砂の上を渚に近づき、久しぶりの日本海の水を足にかぶってきました。海の上に微かに見えた島影は佐渡ではなく粟島であることが後でわかりました。海の気配を捉えようと構えていたカメラに、餌を漁るカラスの滑空がおさまりました。

カラスが羽を休める大岩の上には小さな海鳥の先客。緊張感のある対話のように見えました。

村上から海沿いを北上して鶴岡泊。酒田では土門拳記念館で亀倉雄策、勅使河原蒼風との三人三様展を観た後、山居倉庫へ。ここの中庭もいいなと思いました。雨上がりです。[doghouse]が懐かしくなってきました。フク、ハヤ、クウはどうしているだろう。

越後村上。ずっと気になっていた鮭の町にやっと辿り着きました。骨董市が開かれているわりには日曜にしては人の出が少ない目抜き通りに創業370年の店があります。暖簾も店構えも立派ですが、家の奥で歴史を刻んでいる、鮭を中心に展開されている生活空間の存在感には圧倒されてしまいました。

