
六本木ヒルズ。合州国の組織設計事務所に頼んで生まれたファサードは侍の兜がモチーフだと言うから笑ってしまう。低層部には大手企業の宣伝のための空間がひしめきあっていてそこそこに賑わっているから商業的には及第点なのだろう。こんなに不愉快な処でも足が止まってしまうこともあるから街歩きは忙しい。まあなんでも繰り返し並べると目は驚くものだ。ウヰスキーはストレート、百歩譲って水割り、と思い込んでいるので、我が意を得たり。

「あゝ、りんだうの花が咲いてゐる。もうすっかり秋だね。」と言ったのはカムパネルラだった。映画「銀河鉄道の夜」の細野晴臣の音楽も好き。ますむらひろしによる猫仕立てもはまっていた。段ボール箱のどこかにDVDがある。季節だ。ジョバンニや鷺捕りのおじさんは元気だろうか。

「パンパスグラス」という異国情緒の名も悪くないけれど「白銀葦」はより深く秋を感じさせる。早いもので変わってもう4年目になる朝の路の秋にシロガネヨシが優しい。あたりにはムクドリやオナガやヒヨドリも棲んでいる。すれ違うだけの犬たちがみんな挨拶をしてくれる。Long Ago Far Away。