神田川にはカモもいる。なんだカモかと言わずに細かく見るといくつかの種類があって雄雌や夏冬で色違いもあるから見分けるのが容易ではない。ここにはキンクロハジロ、カイツブリはいないからカルガモ、コガモ、マガモ、オナガガモのどれかな?。ただいま学習中。
事務所界隈の味気ない神田川にほぼ例外なくいるのがセキレイ。毎朝会っているうちに個体の色模様にかなり違いがあることがわかってきた。セグロセキレイとハクセキレイの違いなのかもしれないが大概は番のはずだから単なる個体差なのかもしれない。飛び方歩き方仕草にも個性がある。そのうちかわいいコが見分けられるかも。
事務所の裏手の渋谷区新宿区中野区が接するあたりの神田川は垂直の護岸で水量も少ない大型用水路で風情のかけらもない。中野坂上駅から歩く時もずっとただ渡るだけだったのだが、鳥がいることに気づいてから少しルートを変えて180mくらい川沿いに歩くようになった。もう満開の寒桜にヒヨドリが留まっている。
小学校の課外授業で新宿御苑に来た時に温室で「パンの木」という変な名前に出会ったという記憶だけが残っていた。次に御苑を訪れたのはそれからおそらく50年後の2011年。3月に東京に多量の放射能が降り注いだ2ヶ月後で、居住のランドスケープの課外授業への飛び入り参加だった。その時にこの都市公園の魅力に目覚め、いくつかの設計課題をこの公園周縁部に設定したし、ほぼ季節ごとに脚を向けるようになった。雑然と密集した東京の街のなかにあるいくつかの大きな緑地の役割は大きい。
淀橋浄水場跡につくられた新宿副都心西隣の中央公園も時が経つにつれ緑が地に着いてきた。鳥もたくさんいるし通勤途中にここを歩き抜けるのは楽しい。都庁の手の込んだ高価なファサードも墓碑だと思って見ればなかなかのものだ。この写真を撮ったあたりは1606年に大小二つの十二社池が造られ18世紀には料亭・茶屋が立ち並び隣接する十二社大滝とともに江戸の景勝地となっていたそうだ。花街の面影だけが裏手の街区の細い路地や怪しい木造建物に僅かに残っている。
photo:三鑰彩音「曖昧」(部分)
三鑰彩音の「曖昧」。髪の毛の表現に現れる不思議なトーンが私には新鮮。技法欄には岩絵具・水干・金箔・高知麻紙とある。水干を調べたら岩絵具の一種だそう。もし自分の思うままに理想の女性を描くことができるようになったとすると私はどうするのだろうか。
photo:石橋暢之「有楽町」(部分)
石橋暢之の「有楽町」は写真を元にボールペンで描きこまれた細密画。鐡道ファンにはたまらない画題に引き寄せられる。それにしてもよくこんなに細かく描けるものだ。鐡道ファンがある一線を越えて深みにはまるとしたらおそらく一眼レフが引鉄だろう。警戒。