最後の授業

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1月29日は日大生産工学部非常勤講師としての最後の授業だった。2004年に谷内田さんに誘われて居住空間コースを教え始めて15年になる。建築設計は他の建築家とペアを組んで教えることになっていて学生の設計を講評するなかで自分自身が学ぶことも少なくない。年を経るに従って学生たちの立ちどころが見えやすくなってきたのは私の息子と娘が同じ年頃を通りぬけて行くのを体験したからかもしれない。自分で言うのもどうかとは思うが教え方は15年間でかなり成熟したと思う。後半は通年で週一日通っていたから大学で教えることが日常の一部になっていて、実はこの3月は意外に大きな「切断」であることは確かなので、去年の後半くらいから心の準備を徐々に進めて来た。卒業後も大学でのイベントなどを訪ねる機会はあるはずなので街に縁がなくなってしまうわけではないと自分に言い聞かせている。

Make You Feel My Love

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最近届いたお気に入り3。福澤克雄監督の「七つの会議」主題歌にDylan のMake You Feel My Loveが使われた縁でDylanのラブソング集が発売された。1997年発表の終末観が色濃いアルバムTime Out of Mindの中でこの曲だけ曲調が異なっている。CDとは違う曲も入った4曲入りの青色アナログ盤も出る。どちらにも入手しにくい曲が混ざっているのだけれど私のライブラリーにはすでに揃っているから買う必然性は無いのだが、やはり欲しくなってしまう。レコード会社も憎いところを攻めてくるから、余所で無駄遣いをしないように常日頃から心がけていなくてはいけない。

「連動」する世界史

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最近届いたお気に入り2。高校で習った歴史は世界史と日本史に分かれていた。キリスト教を基盤とする西洋史観と国家を中心に据えた国粋史観はほとんどかかわり合いを持たない。どちらも都合よく脚色されていることだけは確かだ。年号と固有名詞を暗記するのにはどうでもいいことだったが、世界を正しく理解するためには役立たない。朝日新聞の書評で知った南塚信吾「『連動』する世界史」は岩波書店の「シリーズ 日本の中の世界史」7巻の1冊。今までにない視点が展開されていることを期待して読み始めた。出展を明示しながら進められる学者の論考は読み易いとはいい難いが私には興味深い。楽だからとAmazonで買ってしまったのはいかがなものか。

銀河鉄道の夜

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最近届いたお気に入り1。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のアニメは細野晴臣の音楽も含めて昔からのお気に入りでCDもDVDも段ボール箱のどこかにある。これは去年暮れに出た特別版で未発表音源が加わった2枚組CD。

濱鷸鴨

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動きのない鴨類の中をハマシギがちょこちょこと動き回っている。セイタカシギと比べてもかなり小さいハマシギと並ぶとカモは大きい。

鷸鴨鴨

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水に浮いておそらく眠っていたに違いない鴨類は暫くはじっと立ちすくんでいる。彼らを横目に先ずは鷸類が元気に歩き回る。とりわけセイタカシギの脚運びは軽やかだ。

鴨鴨鴨

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谷津干潟の潮の満ち干は2本の小さな川だけを経由しているので2時間くらいの時間差があるし狭くなっている部分の潮の流れはかなり速い。潮が引き始めると干潟はにわかににぎやかになる。

故立川談志

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退任展レセプションが終わると会場からあふれ出しそうだった人々は思い思いの二次会へ散った。私たちは室伏さんに誘われて彼の設計したmille nuitsに行った。RCの塔状住居の半地下部分に埋め込まれたコンパクトなバーはカウンターが巧みに湾曲していて客がみなまとまってしまう。3年前の今頃まだできて間もない時に行った時にはここで出会った阿部さんと語り合った。今度は1995年に竣工したワークショップ解散後最初の住宅のクライアントと十数年ぶりに再会した。不思議な縁。そう言えばその家に故立川談志師匠を案内して暫し二人で語り合ったこともあった。彼との家づくりは結局実現しなかった。懐かしいうたかた。

藝大美術館

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野口昌夫さんに誘われて藝大退任展のレセプションにも顔を出した。さすが藝大、宮田亮平、日比野克彦といった建築の外のスターのスピーチもあって華やかだ。90歳を超えた槇さんが出席されていたのに感心。laatikko訪問記を書いてくれた中山英之さんとお話しできたのもよかった。彼はスタッフの杉山の卒業制作を建築士会の優秀作選考会で推してくれたという縁もある。会場になっている学食がある藝大美術館の設計は六角鬼丈1999年。奇しくも1月12日に逝去されたばかり。会の冒頭に黙祷を捧げた。

岡田信一郎

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藝大の退任展に行った。ハイサイドライトがある天井の高い純白の空間にさぞかし費用がかかただろうと感心する巨大抽象オブジェが並ぶ2階が北川原温。備品の椅子や机で構成された薄暗い空間でレクチュアの動画を映写する1階がトムヘネガン。現代建築を俯瞰するトムの始点が記録されたカタログspeculationsをゲット。ザハをlandという章に収めてしまうところが大人だ。西洋的視点の近代建築史としてはかなり視野が広いと言える。会場は藝大美術館陳列館。建築の設計は岡田信一郎1929年。1986年にワークショップとしてリノベ設計したHeartlandつた館は彼の作品。私が通っていた頃の日比谷高校もそうだったそうだ。どちらも現存せず。意外な縁。そう言えば「探検バクモン」で今の日比谷高校の授業風景を見たがあの頃との共通点が少なくないことに驚いた。


[青葉台の集合住宅]openhouse

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1月26日(土)13時〜17時

中目黒駅近くの目黒川界隈に地上4階20ユニットの集合住宅が竣工します。クライアントのご厚意でみなさまに空間を体験していただく機会をもうけることができましたのでご案内いたします。開放的なガラスの箱と閉鎖的なRCの塊が周辺環境に合わせて絡み合う構成です。開放的な部分ではバルコニーの手摺を構成する部材にサッシの型材を使ってファサードが透明で平滑です。興味ある方は1月25日19時までに
ws@workshop-kino.com
にメールをください。ご案内pdfをお送りします。

鷸秋波

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谷津干潟にいるセイタカシギは脚が長いから他のシギ類が見当たらない潮位でも姿を見せることがある。日暮れ間際の美しい波紋を背景にセイタカシギがこちらを見つめている。

鴨着水

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海水とつながっている干潟は潮位が変化する。潮が満ちている時はシギ類はほとんど姿を消しカモ類ばかりが目立つ。鳥の着水は飛行機とは違って一瞬だからカメラにはなかなか収まらない。

鵯水吞

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永い正月休みが明けたと思ったらまたすぐに三連休があった。年々祝日は増えるし労働人口は減る一方だし休んでばかりで大丈夫なのだろうか。それはそれとしてその連休のおかげでゆっくりと鳥を観にいく機会ができた。葛西臨海公園鳥類園の水飲み場で楽しそうなヒヨドリ。

宮脇賞

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日大生産工学部居住空間コースの年間最優秀課題作品を選ぶ第20回宮脇賞。ゲスト審査員は吉村靖孝さん。作品が質、量ともにアップしているのがうれしい。審査員総数は19人で恒例の中村好文さんの名司会もあって熱のこもった審査会になった。もう年寄りの部類に入る私は思うままに偏った発言で楽しませていただいた。最優秀賞「とまり木」(3年堀内さん)は確かに群を抜く秀作なのだが、主題と無関係に(私には)思える形態操作の鮮やかさが先行しているのが気になって、ふたことも言ってしまった。木下道郎賞は2年荻野さん。3×3×5mの枠に押し込もうとする課題の枠を打ち破る心意気が好き。授賞式に続く懇親会での建築家と学生のダイアローグが居住空間コースの真骨頂。講師陣の層の厚さが効いている。学生たちもそれぞれに楽しんでいる。今回は吉村さんの早稲田の学生さんも参加してくれて興味深い意見を拝聴させていただいた。片付けが始まってもなお議論さめやらぬの前でパチリの圖。
 

木屋町

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お気に入りの割烹に向かって木屋町通に上がろうと御池通を西に向かっている眼の向こうをアオサギがさっと過って街灯の細い横桟に留まった。京の冬の旅はこれで締めようかな。

麩屋町

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京の冬の旅。せっかく来た旅先では新しい店を探したいものだと思いながらもついつい惹かれてしまう味の記憶も蔑ろにはできない。出汁へのこだわりを原点に定めた麩屋町の「ラディカルおでん」をまた味わえてよかった。ここは確かだ。「おにく」には唸る。

鴨川

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京の冬の旅。地図では出町柳で高野川とY字合流するまでは賀茂川、そこから南は鴨川となっている。よく見れば上賀茂神社、下鴨神社だ。まぎらわしい(笑)。その鴨川の夕暮れに群れるユリカモメ。夕陽は低く空はまだ青いので不思議な絵になった。ウサギの耳のような尾がかわいい。

宝ヶ池

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京の冬の旅。大原からの帰りの国際会館駅での乗り換えに時間があったのでぶらぶらした宝ヶ池畔で出会ったジョウビタキ♂。年末の保田から鳥の世界は続いている。

重森三玲

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京の冬の旅。3度目の重森三玲庭園美術館。既成の枠には収まりきれない才能がなんとか庭の世界で開いたということなのだろう。三玲がつくろうとしていたという茶道も華道も庭も含めた総合芸術大学ができていたら建築も今とは違っていたかも。三玲を写真で表現するのは意外に難しい。

大原

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京の冬の旅。かなり以前に行ったことはあるのだが記憶が朧げな三千院に足を伸ばした。暮れの28日に降った雪が屋根の上などに残っていた。気まぐれな粉糠雨に周りの山々が霧に煙っていた。寂光院に向かう途中でたまたまふらりと立ち寄った宝泉院のアヴァンギャルドが面白かった。

黒鯛鮨から

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「正月」が明けた直ぐ後まだ「日常」に戻り切る少し前の京都に行ってきた。「のぞみ」が6日まで正月価格でどうにもならないのを除けば、宿泊料金は穏やかで土曜に限れば普段より安いくらいで、正月休みもほとんど終わっている。京都駅に昼前に着いて駅ビルの「和久傳」での青竹酒から始まるのは今年も同じ。コースの締めの黒鯛鮨までつまみになるところがうれしい。

箱根駅伝ガイド

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母の希望で今年は恒例の「お正月」をやめにして二人正月だったのに酒は意外に減っていて元日にカクヤスに行った。カウンターにさりげなく置いてあった「箱根駅伝ガイド」を持ち帰って定番の「大七」は悪いなと思いながら即時配達をお願いした。街の酒屋がなくなるわけだ。初めて目にする「箱根駅伝ガイド」は月刊陸上競技誌の別冊でエントリー選手のデータが詳しく載っているばかりでなく、記者による下馬評座談会、チーム戦力表、放送の舞台裏の紹介など読み応えがある。5人の記者による予想は1位だけは全員一致で青山というほど青山盤石と誰もが思ったのだが結果は違った。途中で戦力表をよく見てみるとAランク人数は東海大1位青山2位になっている。データを冷静に読んでいれば結果を言い当てることも難しくはなかったはずなのだが、ほとんどの人は大きな流れに気を取られて、自身の判断が鈍くなってしまうということだろう。結果が出る頃に家を出て横浜に向かい中華街で高校同期と飲む慣習はもう十年を超えて続いている。まめに声をかけてくれる幹事さんに感謝。いつも決まった店だったのだが東横線が副都心線とつながってから予約がままならなくなり、繁盛しているのかと思っていたら閉店してしまったりして、場当たりで転々としている。みな先のことはわからない。

縁側

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「道の駅保田小学校」は小学校をリノベーションして道の駅とするコンペの成果。委員長は布野修司さん。北山さんたちのプログラムは宿泊、飲食、温泉、市場などの複合施設。北山さん担当のパートは2階建の教室棟南側に増築した「縁側」。1階では飲食店群のポルティコとなる屋外空間で2階は宿泊施設の中間領域となっている。中間領域は宿泊室の共用空間で室温調整機能を担っている。反射輻射面と吸熱蓄熱面が反転する手動パネルのアイデアがいい。寒い日だったけれど暑いと言っている人もいるくらいの効果だった。この中間領域を時間帯によって来館者に解放しているのもいいと思う。

山家

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保田には漁港があって美味しい魚があがる。漁れたての鯵や鰯を舟の上で叩いて味噌で和えた「なめろう」を鮑の殻に詰めて焼いて山仕事の時に食べるのが「山家(さんが)」だそう。山家は汁にすることもある。道の駅では山家は鯵、つみれは鰯だった。写真は鯵フライとつみれ汁。美味しくかつ安価だった。

平実

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平実檸檬。保田の別の道の駅でシークワーサーを見つけた。沖縄の柑橘類だ。江の浦測候所にこの実がなっていたなあ。思ったほど酸っぱくはない。

橙橙

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 「道の駅保田小学校」市場には安房の花、野菜がいっぱい。水仙、小松菜、ロメインレタス、橙2個でなんと\450。橙は正月によく合う。そう言えば「すずき」の赤ナマコには必ず橙で、今は亡き大将手製の橙絞りまで見せてくれたなあ。関西では一列に並ぶ干柿10個の上に橙が座れば「外はにこにこなかむつまじく」だ。

尉鶲

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水仙群生地には飯田市から贈られた「麻積の里 舞台桜」が植えられている。すっかり葉を落とした味わい深い桜の枝に野鳥がさっと飛んで来たのを私だけは見逃さなかった。腹が黄色いから黄鶲に違いないとネットの画像を確認してfbにアップ。「しばらくして「鳥の達人」が尉鶲♂であることを教えてくれて訂正。うれしいコミュニケーション。

水仙

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「道の駅保田小学校」がある鋸南町の山側には佐久間ダム親水公園がある。湖畔の水仙群生地が美しかった。

記憶

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ロンドン在住の旧き友の里帰りに合わせて北山さんが「道の駅保田小学校」を案内してくれた。しっくりと町に溶け込んだ建築がみんなに受け入れられて賑わっている様を楽しんできた。プログラム優先のいい建築だ。上総の向こうの安房の土地の恵みが体育館から生まれ変わった市場に並んでいた。新しい建築を感じる60歳を超えた私たちには40年来の旧交の遠い記憶がふと蘇って感無量。アクアラインをくぐって東京に戻って居心地いい蕎麦屋で宴。酔いが進むに連れ、想い出がふつふつと輪郭を露わに。瀬戸の海に浮かべた鯛舟の記憶のディテールは3人3様。時は決して戻らないことだけは確か。この旧い縁に新しい縁がそっと絡み始めている幸せ。いい一日だったなあ。

熟柿

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なんだ雀かと仰るなかれ。街の雀熟柿を啄むの圖。鵯などと同じようにからだを捻っていた。

己亥

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新年。つちのとい。音読みはきがい。冬は7時に家を出るとまだ朝陽だ。電線に居並ぶ椋鳥に真横から朝陽が当たってなんだか縁起もよさそう。今年がさらにいい年になりますように。

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木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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